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ワンサポンな時間~美女と野獣~

久々の更新です。
ショートって言ってたのに長くなっちゃった。
ってことで本編は【続きを読む】から!



むかしむかしある所に、気の優しい父と、三人の娘がおりました。

父は毎日仕事に追われ、それを支えるように娘達が家事をしていました。

「じゃあお父さん行ってくるからね」
「あ!お父さん!忘れものだよ!」
「ああ、わるいわるい」
長女はしっかりもので、すっかり今では母親代わりでした。

「お父さん、今日の晩ご飯はなにがいい?」
「ん?そうだなぁ……なんでもいいかな」
「なにそれ!私の作るご飯なんか、なんでもいいってこと!?」
「違うよ、お前が作るご飯はなんであっても美味い。だから今日は我が家のシェフのおまかせで頼むよ」
「も、もう……お父さんったら……」
次女は料理がとても上手く、村でも評判になるほどでした。

「じゃあ今度こそ行ってくるよ」
「うん!行ってらっしゃい!」
「美味しいご飯作って待ってるからね!」
父親は気の弱そうな外見で、実際少し頼りがいのない面もありましたが、娘たちから愛される良き父でした。

「ふぅ……じゃあ私掃除するわね?」
「私は買い出しに行こうかなぁ……」
「むー……」
その時リビングに出てきたのは三女のベルでした。
上の二人とは年が離れており、まだタンスの上の段には手が届かないほど小さな娘です。

「あれ?ベル?」
「ちょっとあんた今起きたの?」
「むー、おかしいのですよ」
「なにが?っていうかまず顔洗ってらっしゃい?」
「いっぱい寝たのにまだ眠いのです。これは魔女の呪いに違いありませんですよ」
「ベル……」
「姉さん、そっとしておきましょう?」
「むー!待つのです!姉様方!なぜベルの話しを無視するのですか!?可愛い妹が呪いにかかっているのですよ!?早く助けるのです!きっと美味しい朝ごはんを食べたら!……いや、ケーキを食べたら治るのです!」
ベルは大層残念な娘だと村でも評判でした。


その日の夜のことです。

「そうそう、実は仕事の関係で、明日から少し家を空けるんだけど」
「え?そうなの?どれぐらい?」
「2日ぐらいで帰れると思うよ。隣町に行くだけだからね」
「そう、気を付けてね?お父さんちょっとそそっかしい所あるから」
「はは、気を付けるよ。みんなも僕の留守中家を頼んだよ?」
「私がいるから大丈夫よ」
長女は自信と実績のある笑顔で答えます。

「じゃあ明日は特製のお弁当作ってあげる!」
次女はそう言うと、すでにメニューを考えるのに没頭し始めました。

「二人がいてくれると本当に助かるよ」
「父様……」
三女のベルが悲しそうな顔で父を見ます。

「あっ!ち、違うよ?ベルもきっと僕の助けに……」
「パンと一緒に舌を噛みまひた……痛いです……」
「あぁ……そう……」
ベルはきっと話を聞いていませんでした。


次の日の朝。

「じゃあ行ってくるからね!あ!夜はちゃんと鍵を……」
「わかってます!もう!心配性なんだから!」
「あ、そうだ!お土産!お土産はなにがいい?」
「えー?お土産?そうだなぁ……今は別に欲しい物なんかないわね」
「あ、お鍋が古くなってるから、新しいの買ってくれると助かる!でも邪魔になるし今度でいいよ?」
「まったく、二人は欲が無いなぁ。少しはオシャレでもしたらどうだ?」
「私はベルがもう少し大きくなるまで、そういうのはいいわ」
「私もあんまり興味無いかも。料理作ってる方が楽しいし」
「本当に二人とも、自慢の娘だよ」
父親は優しく微笑み、二人の頭を撫でました。

「父様……」
丁度部屋から出てきたベルが、元気のない声で言います。

「ベ、ベル。もちろんベルだって父さんの自慢の……」
「どこか行くですか?」
ベルはやはり昨晩の話を聞いていませんでした。
ついでに言うと、元気が無いのは寝起きだからです。

「ベルったら!お父さんは今日から隣町に行くって、昨日言ってたでしょ!?」
「むー、衝撃の事実です」
「ちゃんと話し聞こうな?」
「む!それではもしや!父様は隣町に行くのですか!?」
「寝ぼけてるのかな?」
「ベルはいつもこうだよ……」
「父様!ベルは薔薇の花が欲しいです!」
「さっそくお土産催促しちゃうし……」
残念なものを見る目で姉たちが見守る中、ベルは直も父親に詰め寄ります。

「父様!父様!薔薇ですよ薔薇!わかりますですか!?」
「あ、あぁ……知ってるよ?ベルは薔薇が欲しいのかい?」
「ええ!欲しいのですよ!あれはいいものです!」
「そうだね、綺麗だよね?」
「ベルが持ってると、なおベルの愛らしさがアップすることでしょう!」
「……うん」
上の二人がしっかりしてたから、そのままなんとなく育てちゃったけど、育て方を間違えたかもしれない。
父親は少し反省しました。

「じゃあベルの為に薔薇を一輪……」
「沢山の薔薇に囲まれたベル!ああ!さぞ愛らしいことでしょう!」
「いっぱい持って帰ってくるね……」
父親はベルの将来を心配しつつ、家を出ました。


隣町での仕事を終えた父親は、ベルの為に薔薇を探しましたが運悪く全て品切れ。
困りながらも帰路につきます。

「はぁ、ベル悲しむだろうなぁ……あんなに楽しみにしてたのに……」
なんだかんだ言っても、ベルのことが可愛くて仕方がないようです。

「ん?あれ?道に迷ったか?」
考えながら歩いていた父親は、ふと気付くと知らない道にいました。

「まいったなぁ、慣れた道だと思って油断したか……」
辺りを探るも元の道がわかりません。

「お?あれは……」
すると遠くに屋敷のようなものが見えました。

「……行ってみるか」
誰かがいたら助けになってくれるかもしれません。
父親は屋敷に向かいました。


「へぇ、立派な建物だ」
近づくとそこは思っていたより立派な屋敷でした。
豪華な庭を抜け、煌びやかな装飾が施してある玄関の前に立ちます。

「すいませーん!誰かいますか!?」
しばらく何度か呼びかけますが、返事はありません。

「仕方ない、自力で帰るか。……お?」
後ろを振り返ると、遠くに見覚えのある一本杉が見えます。

「あんなに大きな木は他にはないだろう。よし、あそこに向かえば帰れるぞ!」
安心した父親は、ふと周りの庭を見渡しました。

「しかし本当に豪華な庭だなぁ。手入れも行き届いてるし。もしかしたら……」
ここなら薔薇もあるかもしれない。
そう思いましたが、さすがに黙って持っていくのはいかがなものか。

「だけど断ろうにも人がいないんじゃ……まぁ、一本だけなら大丈夫だろう」
さすがに花束は持って帰れませんが、なにもないよりはマシです。


少し歩くとすぐに薔薇は見つかりました。

「よかった、じゃあ一本だけ……」
棘に気を付けながら、薔薇を一輪根元から折りました。

「貴様!なにをしている!」
「え?」
振り返るとそこには、自分のよりも二回りほど大きな影がありました。

「あ!ここの方ですか!?すいません!勝手に!」
「我が輩の大切な薔薇を折るとは!許さん!」
「あ……」
その顔に日が差し込みます。
現れたのはライオンのように毛むくじゃらで、大きな牙の生えた顔でした。

「ま……まさか……」
「驚くのも無理は無い、我が輩の姿は……」
「クリーチャーか!」
「え?」
父親はさっきまでの間の抜けた表情から一転、目つきが変わり狩られる者から狩る者の目になりました。

「クリ?え?いや、我が輩は……」
「ふふっ、軽々しく僕の前に現れるとは、運の悪い奴め……」
「あれ?なに?」
「僕の名前はアーサー・ヴァン・ヘルツォーク!今からお前を倒す男だ!」
無駄にテンション高く名乗った父親は、実は名うての退魔師でした。

「今からお前倒すけど、いいよね?」
「え?なんなの?」
「答えは聞いてない!」
上着から二丁の拳銃を素早く取り出し、構えると同時に発砲する。
弾は真直ぐ獣男へ向かい、右肩と左の太ももに着弾する。

「効かん!我が輩がそんな玩具で傷つくことなどない!」
「玩具か……言ってくれるね?」
「なに?うっ!?……あああ!」
急に苦しみ始め、右肩と左大腿部を押さえる獣男。

「これはいったい……」
「こいつは特別製でね、お前みたいなクリーチャーを倒す為のものなんだ」
発射された弾は純銀で出来ており、貫通せずに体内に残したのも計算の内だった。

「お前の名前を聞いておこうか?」
ゆっくりと歩き、獣男の前までやってきたアーサーは、額に拳銃を二つ突きつけ不敵に笑う。

「名前など無い……強いて言うなら、ビーストだ……」
「まんまやないかい!」
変なテンションで突っ込んだと同時に、二丁拳銃が火を拭いた。

「はああああ!」
するとそれと同時にビーストは頭をかがめ、弾を避ける。
少しかすったのか、こめかみから微量の血が飛ぶが、お構いなしにアーサーの鳩尾目掛けて頭突きをする。

「ぐっ!な、なんだと!?」
「許さん!」
アーサーがよろけた隙を見逃さず、ビーストは丸太のような腕で殴りかかる。
アーサーはそれを咄嗟に両手をクロスさせ受けたはいいが、衝撃で後ろに吹っ飛んだ。

「あがあああ!う!腕があああ!」
防ぎ切れなかったのだろう、アーサーの両腕はボロボロになっている。

「そんな腕では、もう拳銃は使えないな」
「く、くそおおお!」
なりふり構わず捨て身で体当たりを仕掛けるが、逆にアーサーの身体が後ろに飛び、ビーストは微動だにしていない。

「諦めろ人よ。しかしその勇気、見事であった」
「うるせえええ!終わったような口利いてんじゃねえええ!」
威勢よく叫ぶも、もうアーサーの身体は動かない。

「死に急ぐな、なにも捕って食おうなぞ思っておらん」
「クリーチャーの情けなどいらん!殺せ!」
「お前には帰りを待つ家族がいるんだろう?」
「……」
「その薔薇を届けたい人がいたんだろう?」
「……」
「行け、人よ」
「なんで……」
「よい、戦いだった。久々に心が震えたわ」
その時アーサーが流した涙は、悔しかったからか、それとも……。


負傷した両腕を庇いながらも、なんとか屋敷の出口までたどり着く。

「人よ、これを忘れているぞ」
ビーストはアーサーが折った薔薇の花を、上着のポケットに入れる。

「棘は取っておいた。渡した相手が喜んでくれると、我が輩も嬉しい」
「違う……」
「ん?」
「僕の名前はアーサーだ。人じゃない」
「あぁ、そうだったか。行け、アーサー。もう、会うことは無いだろうが」
「……じゃあな……ビースト」
アーサーはそれから振り返らず、まっすぐ一本杉へ向かう。
不思議と心は穏やかだった。
数々のクリーチャーを倒してきたが、心を許せると思ったものはいなかった。
彼らは敵であり、倒すべき相手だ。
しかし本当にそうなのか?
その答えは、当分出せそうにもない……。


帰宅した父は、驚く娘たちに事情を話した。

「もう!お父さんったら!また無茶して!」
「依頼されたやつじゃなかったんでしょ!?放っておけばいいのに!」
「そうはいかないよ……誰かに危害を加えてからじゃ遅いから……」
そんな父親のことを心配する半面、少し誇らしく思う娘たち。

「ベルは納得できません!」
「ベル……」
涙を流しながら声を荒げるベル。

「ベル、お父さんはみんなの為に戦ったの……」
「私も出来れば大人しくしてて欲しいけど、お父さんは優しいから……」
「ベル、大丈夫だよ?父さんは強いんだから」
「なんで……なんで薔薇が一輪しかないんですか!?」
返す言葉が見つからなかった。
いや、見つけようともしていなかったと、後の彼らは語りました。


「ベルがそのビーストさんに文句を言ってきます!」
「なんで!?超いい奴だって話しだったじゃん!」
「ケチケチすんなです!帰りに持たすなら花束用意しろよですよ!」
「父さん花束持って帰れる状態じゃなかったから!」
「じゃあベルが取ってきます!」
「ダメよ!危ないわ!」
「追わないで下さいですよ。ベルは今、怒っているのです」
そう言って家を出たベルを追う者は、本当にいませんでした。
多分、疲れていたからでしょう。


しばらく村の外れで待っていたけど、誰も来ないことを確信したベルは、父親が言っていた屋敷を目指します。

「と言っても道がわからんのです」
わからないならなぜ出て来たのか。
そしてなぜ歩みを止めようとはしないのか。
それはベルがベルだからでした。


「むー!迷ったですー!」
村を出てから数時間、歩き続けたベルは遂にそれを認めました。

「全く!でっかい屋敷って言ってたから、すぐに見つかると思ったですのに!なんなんでしょうか!もう!」
心なしか怒りの矛先が、父親に向いているような気がしないでもありません。

「あうっ!つめちゃっ!」
すると神さえも怒ったのか、大粒の雨が降り出しました。

「むー!最悪です!最悪ですー!ベル史上最も悪ですー!いや!ベル的最悪は、この前リビングの壁に頑張って描いた絵画を、落書きだと罵られ、あまつさえ晩ご飯抜きにされたことがランクインしてたです!あれには勝てませんなー!」
なにやら叫びながら、どこに向かうでもなく走り出すベル。
しばらく走ると、まさかの正解、屋敷が見えてくるではありませんか。

「む!あそこで雨宿りです!」
ベルはそのまま屋敷に突っ込み、庭を駆け抜けて遠慮も無しに玄関を開け、中に入って行きました。
恐らくこの時すでに、ベルは目的を忘れていたと考えられます。


「むー、セーフですかね?いや、アウトです!ずぶ濡れです!」
時代は清楚系であるから、これがマイベストと言って気に入っている白いワンピースが、びしょ濡れになっています。

「因みに黒と赤のワンピースは、ベル的に小悪魔ノリです」
……だそうです。

「むー、パンツまで濡れちゃってますですぅ」
ワンピースはピッタリと幼い身体に引っ付き、ピンクの綿パンツと、小さく可愛らしいピンクのポッチが丸見えになっています。


「なにものだ!」
「むっ!?まさか!」
「ん?貴様は……」
「まさかあなた!覗きですか!?」
「んー!違う!」
ビーストは早くもベルが面倒くさくなりました。

「私の幼い身体が目当てなんですか!?」
「違いまーす」
「濡れる幼女を見て劣情を!?」
「抱きませーん」
「ベル!襲われてしまうのですね!?愛らしすぎるから!」
「ちょっと爪伸びてきたかも……爪切りどこやったっけ?」
ビーストはこの子を無視しようと決めました。

「待ちなさいです」
ベルは後ろからビーストの裾を引っ張ります。

「なんだ?」
「ベルはこのままでは風邪をひくことでしょう」
「……」
「お風呂と着替えがあれば、なんとかなるかもしれませんです。あ、それと温かいスープ。……それとケーキ。苺のやつです。なければチョコでもかまいませんです」
風邪回避には、意外と多くの条件が必要なようです。

「……風呂はあっちだ」
「服がありませんです。まさか!ベルに裸でいろと!?破廉恥な!否!ヴァレンティノ!」
有名ブランドは恐らく関係ないと思われます。

「服ならタンスを開けば出てくる」
「あなたの服では困りますです!大きすぎま……まさか!大きめのワイシャツ一枚がお好みで!?部屋とワイシャツとベルですか!?」
「お前に合う服が出てくると言っているのだ……」
「な!なんてことでしょう!幼女に見合う服を、当たり前のように所持しているとは!お着替えごっこ用ですか!?お人形に着せて愛すのですか!?それとも履くよう!?被るよう!?嗅ぐよう!?どれなんです!?」
「……この屋敷は魔法の屋敷だ。望めば望むものが出てくる」
「あなたは少々疲れているようです。辛い時は休んでもいいんですよ?それは逃げなんかじゃないですから、次にまた走り出す為の準備なんです」
急に憐れみから優しくなるベルを、殴りたくなるのを押さえたビースト。
「我が輩は大人だ」と小声で何度も呟いていました。


「疑うなら、試しにやってみるがいい。しかし注意しろ。この魔法で出てくる料理だけは喰ってはならん」
「ここが桃源郷でしたか!ひゃっほーですー!」
「なあああ!?」
振り向けばそこには、山のような数のケーキを具現させ、文字通り埋もれながらそれを頬張るベルがいました。
そう、ベルは基本的に、自分に都合のいいことしか聞こえないのです。

「やめろ!喰うな!」
「止めてくれるなです!ベルは今!モースト幸せです!」
「それを喰えばここから出れなくなるんだぞ!?」
「……へ?」
さすがに食べるのを止めて固まるベル。

「クソッ!もう遅い……」
「そ、そんな……」
実はビーストはベルを守りたかったのも半面、帰って欲しかったのも事実でした。

「残念だが、諦めるしか……」
「嫌です……」
口の周りどころか、身体中にケーキを付けながら涙を流すベル。

「そうは言っても、こればっかりは我が輩にもどう仕様もないのだ。なにを隠そう、我が輩とてその制約に縛られているのだから……」
「そんなのって……たかがケーキを食べたぐらいで……」
「その気持ち……我が輩も同じだ……」
同情では無く、自分も同じ状況だからこそ、ベルの気持ちがよくわかったのです。

「だって!だってそれじゃあ!」
「心配するな!一人では無い!我が輩が!」
「それじゃあ薔薇を探せません!」
「……そっち?」
「ちょっと忘れてましたが、ベルは薔薇を探しに来たんです!なんてことでしょうです!」
「あの……その薔薇って、あれのことか?」
「むー?」
ビーストが窓を指さします。
その先には庭があり、丁度そこは薔薇の区画が広がっていました。

「あ!あれは!なぜ薔薇がここに!」
「いや、だから、お前はあれを目当てにここに来たんじゃないのか?」
「まさかあなたがビーストです!?」
「アーサーから聞いたのだろう?なぜすぐ気付かん」
「はぁ……そう言えばちょっと毛深いですかね」
「自分で言うのもなんだが、かなり毛深いぞ?あと牙あるだろうに」
物珍しそうにビーストを観察し始めるベル。

「へぇ、ふわふわですねぇ」
「……み、見るな!」
しかしビーストはすぐにその身をひるがえしました。

「なんでです?」
「……くっ」
ビーストの屋敷に人が来ることは、そう珍しくはありません。
しかしその全てはビーストを見て恐怖し、そうそうに逃げ出しました。
たった一人、アーサーだけを除いて。

「我が輩は……野獣だ……」
「そうですねぇ、もふもふです」
ビーストは寂しかったのです。
一人この屋敷に縛られ、人々に恐れられる日々は、彼の心を蝕みました。

「醜いこの姿を……人は恐怖するのだ……」
「あ、枝毛はっけーん」
そして今日、自分の姿に怯えず、立ち向かって来てくれる男と出会ったのです。
その男の娘に嫌われるのは、怖がられるのは耐えられません。

「もう……嫌われ、恐れられるのは……」
「このマント格好いいです。ベルも欲しいです。あ!出てきた!ホント便利ですー」
「聞いてるの!?」
「え?あー……消費税引き上げは、避けられそうにありませんですよ?」
「少なくとも金に困ってはねーよ!って……お前、我が輩が怖くないのか?」
「ビーストさん、ふわふわもふもふで気持ちいいですー」
ベルは遂に耐えきれず、ビーストに抱きつきました。

「お、お前……」
「ベルはベルって言うですよ?」
自分を見上げるその娘の表情は、陽だまりの様に温かく、ビーストの冷え切った心を溶かしました。
そして、それはそれとして、ビーストの腰回りは、ケーキと水滴でグチョグチョに汚れてしまいました。

「風呂に入ってこい。風邪をひいたら困るんだろ……ベル……」
「はいです!ビーストさんも着替えた方がよさそうですよ?なんだかズボンが汚れてますです!」
ビーストは今日まで、人の名前を呼ぶことなんてありませんでした。
それが今日、名前を呼び合える人間が出来たのです。
それも二人も。

「なんだ……こんな顔になっても、存外笑えるものなのだな……」
窓に映る自分の顔を見ながら、ビーストは優しく微笑みました。


「はぁ、ということは、ベルはお家に帰れないですね?」
「ああ、そういうことになるな」
「そうですか。それであの薔薇はベルの物ってことでいいんですね?」
「そんな話はしてないが、欲しいならくれてやる」
「父様の時は大切なものだからって怒ったのにですか?」
「ベルになら……あげてもかまわん」
「おまわりさーん!ここでーす!」
「ベルが幼女だからではないのだが……」
「冗談です、ベルジョークです」
「あの薔薇は、いや、あの花は全て我が輩が育てた物なのだ」
「育てる?願えば出てくるのにですか?」
「そう、この屋敷では願えばなんでも出てくる。だからこそ、育てたかったのだ。作りだしたかったのだ」
「ベルまだ小さいので、宗教のことはよくわかりませんですよ?」
「うん、宗教では無いのだ」
「ビーストはよくわからないことを言うです」
この時ビーストは、あまりのさり気無さに、いつの間にか呼び捨てになっていることについて、言及する機会を失いました。

「いいのか……」
「ん?なにがです?」
「ここから……出られないのだぞ?」
言ってからビーストは後悔しました。
それを言っても、仕方がないことだと分かっていたのに。

「え?なんで帰るのですか?」
「ん?」
「ここなんでも出てきて便利ですよ?」
「あぁ、そうだが……」
ベルはまだ分かっていない。
ここに住むということは、もう家族とは暮らせないということを。

「ベル、実はこの屋敷でも呼びだせないものはあるのだ」
「なんですか?」
「命ある物は呼びだせない……」
「命ある物?別にいいですよ?」
「つまり、お前が家族に会うことはもう出来ないのだ……」
「父様一回ここに来てますです。ベルはちゃんとここに来ること言ってるので、迎えに来ますですよ?そしたら事情を話して、みんなで暮らせばいいです」
「無理なのだ……」
「なんでです?」
「ここには、一人一回しか辿り着けないのだ……」
「へぇ、残念ですね」
「ベル……」
「小腹が空いたので、焼きおにぎりでも食べるとするです」
「ベル!もういい!悲しい時は泣いてもいいのだ!お前のような幼い子が!家族と離れて一人きりで!不安じゃないわけがなかろう!無理をするな!」
「あにがれすかぁ?」
ベルは口いっぱいにおにぎりを頬張っていた為、あんまり話しを聞いてませんでした。

「ベルは一人じゃありませんです。ビーストが一緒です。だから大丈夫ですよ?」
「……ベル?」
「ベル、父様や姉様方のこと大好きです。でも、同じぐらいビーストも好きです」
「な、なぜ?さっき会ったばかりの我が輩を……」
「猫っぽいから」
「まさかのペット感覚!」
「我が家に足りなかったのはペット成分でした。それをビーストは補うことが出来る。ペットは家族同然、すなわちビーストもベルの家族です。家族がいれば不安じゃないです」
「ベル……」
次第に心が惹かれていくのを、ビーストは確かに感じていました。


「それにしても、ビーストはなんでそんなにもふもふなんです?ご両親ももふもふですか?」
「いや、我が輩も昔は普通の人間だったのだ」
「ベル知ってます。成長期ですね?男子三日会わざれば、刮目して見よです」
「成長の範疇ではないのだ……。実は我が輩、この屋敷に来たのには理由があるのだ」
「ケーキが食べたかったからです?」
「強く……なりたかったのだ……」
「ビーストは充分強そうですが?」
「昔の我が輩は弱かったのだ。誰も守れない、弱虫だったのだ」
「気にすんなですー。ベルなんて一人で出来ることが、数えるほどしかないですが、胸を張って生きてるです!」
「そうなのだ、気にしなくてよかったのだ。しかし愚かな我が輩は、強さを求めた。その結果、守るべき者も失ったのだ……」
「この屋敷の魔法でですか?」
「いや、この屋敷には、秘宝が眠っていたのだ」
「秘宝です?」
「触った者の身体を、徐々に化け物に変えることが出来る秘宝だ」
「化け物に?望んでなったのですか?」
「それしか、我が輩の国を救う方法がなかったのだ……」
「で?ビーストはいつ化け物になるのですか?」
「ベルは……優しいのだ……」
「よく言われますです」
「秘宝は我が輩の部屋に保管してある。くれぐれも触るな」
「どんなです?」
「小さな水晶玉だ。中には薔薇が入っている」
「ふむふむ、確かに薔薇が入ってますです」
「我が輩の部屋のタンスに……って!それそれ!それだから!」
「え?これです?」
「なんで持ってんの!?」
「お風呂から帰る途中、探検したです。これは戦利品です」
「なに勝手にパクッてきてんの!?てか触ったらダメだって!」
「……やっぱり拙いですか?」
「これは……さすがに……」
「ベル、どうなっちゃうです?」
「我が輩と同じように……」
「猫に!?すごいです!ベルのなりたい職業第3位です!」
「猫は職業として認められては無いのだ!」
「上級職なのであまり知られてませんが、レズビアンになればなんとかなるそうです」
「違う!それ違うやつ!」
「にゃーにゃー!あ!もう猫化が始まってるのです!」
「嘘っぽい!あと我が輩は猫では無い!」
それから数日、ベルとビーストは騒がしく毎日を送りました。
特にベルの身体に異変は無く、秘宝の力はもはや無くなっていたのだと、ビーストは安心し始めていました。


しかし変化は突然現れます。
ビーストの知らない所で。

「むー、やっぱり変ですよね……どうしましょう、これ……」
お風呂でベルは一人悩みます。
ベルが悩むのはこれが人生で二度目です。

「因みに一度目は、ケーキ屋さんで姉様に、どっちか一つにしなさいって言われた時です」
……だそうです。

「これって、おちんちんですよね……」
湯船の下、ベルの股間には、確かに小さいながらも立派なおちんちんが揺れていました。

「この成長は予想してませんでした……おしっこは下から出るですが……」
朝起きたら生えていたそれのことが気になって、今日はケーキが3ホールしか食べられませんでした。

「ビーストに言うのは……ちょっと恥ずかしいです……」
さすがにおちんちんが生えたとは言えないようです。




「考えててもしかたありませんね。湯あたりする前にさっと身体洗うです」
ザバッと湯船から出て、身体に石鹸を付けていく。

「ここも洗っておくですか……」
少し怖いのもあり、未だ一度も触れてはいないそれ。
おちんちんに恐る恐る手をやる。

「んん!なんか変な感じがするです……」
触ったと同時に頭に電気が走ったような気がする。
こそばいような、ちょっと気持ちいいような感覚。
手に泡を付けて、しっかりと表面を洗っていく。

「あぁ……なんか、これ……」
癖になりそう……。
握ったら、気持ちいいかも……。

「ひゃっ……」
軽く握っただけで解る。
これは擦ると気持ちいいんだ……。

「ひぃ、はぁ、はぁ……」
前後に擦る度に変な声が出てくる。
あれ?こんなに大きかったっけ?

「パンパンに腫れてるです……」
しかし不思議と痛くは無い。
それどころか……。

「気持ち……いいですぅ……」
ふと目の前の鏡を見ると、そこにはトロンとした目で、だらしなく口を開いた自分が映っている。
椅子に座って、足を大きく広げ、恥ずかしい所が丸見えになっている。
女の子の大切な所からは、おしっこのようなものが出てきてて、その上には大きくなったおちんちんを掴む小さな手がある。

自然に手を退けると、おちんちんがピンと天を向いているのがよく見えた。
歪なそれは、なぜかいやに卑猥に見え、ドキドキした。

椅子から降りて、地べたに座り込む。
手で身体を支え、腰を突き出してみた。

「なにこれです……すごいエッチぃです……」
自分の身体なのに、見たこと無いぐらいエッチに見える。
もっと、エッチな自分が見たい……。
腰を横に揺らしてみる。
おちんちんがだらしなく揺れる。

「あぁ……あぁ、恥ずかしいのにぃ……ドキドキするですぅ……」
我慢できなくなり、またおちんちんを握る。

「ふぅ!はぁ!はぁ!もっと!もっと速く擦るですぅ!」
握る手に次第に力が入る。
丁度いい強さを覚えてからは、馬鹿みたいにひたすら擦り続けた。

「ひぃ!ひゅうう!なんきゃ!なんかくりゅうう!」
経験したことのない感覚が股間を襲う。
お漏らしする時のような、いや、それ以上の解放感。
なにかが解き放たれるのを感じる。

「でりゅうう!なんかでりゅうう!うにゅうう!」
頭の中に今まで以上の電流が走り、おちんちんはなにかに到達した。

「はぁ、はぁ……これ……おしっこです?」
おちんちんから出ていたのは、粘々した白い液体だった。

「クンクン……知らない臭いがするです……」
手に付いたそれを臭うも、どうやらおしっこではなさそうだ。

「この臭い……好き……です……」
徐々に脳が操られているような感覚。
この臭いを嗅いでると、またドキドキしてくる。

「どんな味がするですかね……ペロッ、んはぁ……」
自分で出した声に驚いた。
妙に大人っぽい、エッチな声が出た。
それほどに、美味しかったのだ。

「はぁ、はぁ、ぺろ、ぺろ……」
夢中になって手に付いたそれを舐める。
一度縮んだと思われたおちんちんは、また大きくなっていく。
それに合わせるように、またおちんちんを握り、擦っていく。
まるでおちんちんに操られているように……。

「おちんちんにいっぱい付いてるです……」
一度握った手を開くと、白い液体がまたベットリついている。

「ハムっ!ふぅ!ふぅ!じゅるるる!足りないです!もっと!もっとこれ欲しいです!あ!床に!」
床に飛び散ったそれも舐めとっていく。
不様に這いつくばって、ペロペロ床を舐める。
その行為すら、今は快感につながる。

「もっとぉ……もっとぉ……」
さっき出した分は全部舐めとってしまったらしい。
もうあの美味しい液は無いのか?

その時、目の前に風船のようなものが現れた。

「なんですか?これ……」
恐らくは屋敷の魔法で出てきたのだろう。
しかしこれはなんだ?
ゴム風船?
先が縛ってあり、中になにか液体が……。

「液体?まさか……」
試しに縛ってある先の部分を臭ってみる。

「あぁ……これ……この臭い……」
さっきのやつが入ってるんだ……。
形状を見て思い当たる。
これをおちんちんに被せてたんだ。

これにおちんちんが入っていて、中にあれをいっぱい出したんだ。
そう思うとこれが愛おしくて堪らなくなった。
たとえそれが誰のおちんちんかはわからなくとも……。

「はぁはぁ、レロレロ。はぁ、おいひぃれすぅ……」
ゴムの入り口を舌で舐めまわす。
ゴムとあれが混じった味がする。
これはこれで美味しい。

「この中に……あれが入ってるのですね……」
ゴムを愛おしい目で見つめる。
ゴムの中が透けるほど見入り、気付いた時には舌を伸ばしていた。

「はぁ……レロ……」
外から舐めてもやはりゴムの味しかしない。
じゃあ……。

「はむ……」
意を決してそれを口に頬張る。
口の中にゴムの味が広がる。
しばらくその味を楽しみながら、また大きくなったおちんちんを擦る。

「ふぅ、ふぅ……ふぃ!ひゅう!」
ゴムを傷めないよう、歯を立てずに味わう。
時折快感でゴムを破りそうになるのを我慢しながら行為を続けていると、またあの波がやってきた。

「ひゅうう!ひ、ひへぇ!くりゅううう!はむぅ!」
おちんちんがなにかに到達すると同時に、ゴムを噛み切る。
中から生臭い液体が出てくる。

さっき自分で出したのとはまた違う味。
癖が強いというか、正直苦い。
出したばかりでは無いからだろうか。

でもこれも美味しい。
鼻から抜ける臭いも、吐きそうになる感覚も、全てが愛おしい。


永遠とも思える余韻が終わり。
気が付いた時には口の中は空になっていた。

慣れた手つきで今出した液を舐める。
全て床に出てしまっていたが、躊躇せずに舐めとる。
それが当たり前のことだと、おちんちんが言っているような気がした。

その瞬間理解する。
このおちんちんは、自分より偉いのだと。
自分はおちんちんに従わねばならぬのだと。

「おちんちん様……」
それから心配したビーストが声をかけに来るまで、何度も何度もおちんちん様を愛で続けた。
それがベルの存在理由なのだから、当たり前のことだ……。



「ベル……最近様子がおかしくは無いか?」
「そうなのです?ベルはいたってファーブルですよ?」
「昆虫好きなのか?それともノーマルと言いたかったのか?」
「全然もーまんたいですよー」
ベルのなにがおかしいと言うのだろう。
なにもおかしなことは無い。
だってちゃんとおちんぽ様の言うことを聞いているのだから。

あれから屋敷の図書室へ行き、おちんぽ様について色々調べたのだ。
学術書なんかではなく、もっと俗っぽい読み物で。
その方がおちんぽ様が喜んでくれたからだ。

それらの本から色々学んだ。
泌部のいやらしい呼び名や、エッチなこと、もっと気持ち良くなる方法など。
幸いここは望めばなんでも出てくる屋敷。
欲しい物は願うだけで出てくる。

「ご馳走様です」
「なんだベル、もう食べないのか?」
「お腹いっぱいですし」
「やっぱり調子が悪いんじゃ……」
「心配せずともよよいのよいです」
ビーストの心配を振り切り、自分で自室と割り振った部屋に籠る。
最近はビーストと話すことも、遊ぶことも少なくなった。
なにせおちんぽ様の命令が最優先なのだから仕方ない。

「今日はなにをしようですか……」
昨日は大好きなケーキを出して、それにおちんぽ様を突っ込んだ。
そのまま生クリームとスポンジに逝かされて、ケーキに跨ったまま放尿した。

もちろんケーキは完食。
ひざまずき、手を使わずに食べたのだ。
そうした方がおちんぽ様が喜んだから。

最近はオナホールにハマってしまい、そればかりだったので、昨日のプレイは新鮮だったと言える。

オナホールの存在を知ってから一週間。
殆ど寝る間も惜しんで、猿のようにオナホールオナニーに没頭していたのだから無理もない。

ローションとザーメンで常にベチョベチョになっていたおちんぽ様が、風邪をひかないようにと言い訳しながら、オナホールを抜かなかったせいでもある。

初めのころより明らかに大きくなっているおちんぽ様が、少し小さめのオナホールに収まり、スカートを捲れば年相応のパンツが卑猥な形に歪んでいるのが見えた。

何度かおちんぽ様の命令で、ビーストのいる前でスカートを捲らされたこともある。
もちろんビーストが気付かないようにだが。

あのドキドキは癖になるだろう。
おちんぽ様も気に入っていたし。


しかし向上心の高いおちんぽ様は、すぐにその快感にも慣れ、新たな刺激を求め始めた。
そこで昨日はオナホールを封印し、他の物に突っ込むことを試したのだ。

大好きなケーキならきっと気持ちいいだろう。
その発想は悪くは無かったが、おちんぽ様を満足させたとは言い難い。
今日はもっと激しいことをしなければ……。


部屋を見渡してアイデアを模索する。
道具を使うというのは悪くないのだが、それだけではもう満足してくれそうもない。
もっと違うアプローチが必要だろう。

ふと鏡が視線に入る。
部屋に置いてある、全身が映る身だしなみ用の鏡。

鏡……か……。
そういえばビーストが面白い話をしていたのを思い出した。

ビーストが初対面の自分を、父様の娘だと知っていた理由。
それは見たい所を、どこでも見ることが出来る鏡があるからだと言う。

一度使わせて貰ったが、確かにあれは凄い。
父様や姉様方を久しぶりに見られたのは嬉しかった。

姉様方はベルを探して森の探索を続けているらしい。
でも、この屋敷はそう簡単に辿り着ける場所では無いのだが。


あれを使って何か出来ないか……。
考えながら鏡のある部屋に向かう。


「これこれ、これです」
魔法の鏡がある部屋に入り、中から鍵を閉める。
埃よけのカバーを外し、ビーストに教えてもらった通りに呪文を唱える。

「魔法の鏡よ、我が見たい世界を映し出せ……です」
見たい場所を思い浮かべながら、呪文を唱えるとその光景が映る。
うん、成功のようだ。
そこには生まれ育った村が映し出されている。

村の中心地であり、人通りが一番多い場所。
噴水広場である。
狭い村なので、そこを通る人々は見知った顔ばかりだ。

懐かしむ気持ちを一旦沈め、ゆっくりとスカートを持ち上げる。

「ひゃぁ……」
なぜだろう、ただそれだけですごく恥ずかしい。
別に向こうから見られている訳ではないのだが、そう錯覚することですでにおちんぽ様は大きくなっている。

スカートを腰紐の所に引っかけて、両手を空ける。
パンツを脱ぐと、元気になったおちんぽ様が顔を出す。

脱いだパンツはザーメンと愛液でグチョグチョになっている。
なぜならこのパンツは、もう5日は変えていないからだ。

もちろんこれもおちんぽ様の命令である。
汚いパンツを嗅いだり舐めたりすると、おちんぽ様は興奮してくれる。
ここまで汚れた今では、履くだけで高ぶる時もある。

汚れたパンツを両手で広げ、鏡の奥にいる人たちに見せる。
いやらしく、汚らしいそれを見られているようで、胸の高鳴りがどんどん大きくなる。

「ベルの汚いパンツ、見て下さいです……」
口に出すとより興奮出来る。
今きっとすごくだらしない顔をしているんだろう。
そしてその顔は、このパンツよりいやらしいのだろう。
そんなことを考えていると、鏡の中の人と目が合った。

「ふへっ!?」
偶然だ。
それは分かっているが、ドキッとした。
靴屋さんのおじさんだ。
じっとこっちを見ている。
なんで?

あ、そうか。
このアングル、きっと向こうから見てこちらは、マリア様の像がある場所なんだ。
そういえば靴屋さんのおじさんは、信心深い方だったか。

おへその辺りで手を組み、こちらをじっと見つめている。
まるで自分が見られているかのような……。

「べ、ベルのおちんぽ様、見てくだしゃいです……」
口に出してみると、泣きそうなほど気持ちいい。
おちんぽ様もピクピク揺れながら喜んでいる。

正直靴屋さんのおじさんは、あまり好きな方では無い。
脂ぎった頭に、臭くて太った体、口臭も酷かったのを覚えている。

その上まだ小さいベルを、いやらしい目で見ていたのだ。
まだ小さいけれど、それぐらいは分かる。
頭を撫でたり、肩を触ったり、それだけならまだしも、その触り方が妙にいやらしかった。
たまに肩から腰に、そのまま少しお尻を触られたこともある。

普段はいい人なので、大っぴらに嫌いだとは言えなかったが、二人の時は酷かったものだ。
ベルがなにもわかっていないと思い込み、好き勝手していた。
ベルはただ、怖くて動けなかっただけなのに……。

そんなおじさんに、ベルの恥ずかしい所を全てさらけ出している。
父様やビーストさえも見たことのないこのおちんぽ様を、嫌いなおじさんに見せている。

その背徳感が、矛盾が、心地いい。

「ベルの不様な姿を見て笑って下さいです……」
手に持っていたパンツを顔に被る。
ザーメンと愛液、排泄物の臭いが鼻に直接香る。

脳がクラクラするのを感じながら、足をがに股に広げて腰を振る。
腰を揺らす度におちんぽ様も同時に揺れる。
上下左右にだらしなく踊るおちんぽ様、更にはマンコからも愛液が飛び散っている。

「あぁ……見られてるです……ほらおじさん、ベルのこと汚して下さいです!嫌だけど、おちんぽ様の命令だから仕方ないです!」
聞こえるはずもない声をかけつつ、我慢しきれなくなってオナニーを開始する。
おちんぽ様はもうすでにパンパンになっている。

「しゅごいい!しゅぐ逝っちゃうれすうう!ちょっと触っららけれ!逝っちゃゆううう!ひにゃあああ!」
擦り始めて一分にも満たなかっただろう。
大量のザーメンを鏡に吐きだした。

もちろん出たザーメンは全て自分で処理する。
舌を突き出して鏡を舐める。

「そうだです……」
いいことを思いついた。

「魔法の鏡よ、我が見たい世界を映し出せです!」
すぐに鏡の映像が変わる。
場所はさっきと同じ、でもアングルが違う。

鏡には大きくズボンが映っている。
これは靴屋さんのおじさんのズボンだ。

薄汚れていて、きっと鼻が曲がるほど臭い。
鏡に付いたザーメンは、まるでおじさんのズボンにかかっているかのようになっている。

「おじさんのズボンを汚してしまったです。ベルが舐めて綺麗にするので、許して欲しいです」
それから誠心誠意ズボン、もとい鏡を綺麗に舐めまわす。
嫌いな人間の汚い所を舐めまわす。
それも相手に快感を与えるであろう場所を。

それがなんとも言えないぐらい気持ち良かった。



あれから一カ月、ビーストとはどれぐらい会っていないのか。
同じ屋敷に住んでいながら、まったく顔を合わせることは無い。

というか、ビーストに興味が無いあまり、会っていたのに気付かなかったのかもしれない。
なぜなら今のベルは、もはや誰も必要とはしていないから。

マンコを弄ることも覚えたが、不思議とビーストに犯して貰おうとは思わなかった。
好きではないとか、そういう次元では無い。
なぜなら理想のおちんぽ様は、すでにベルのそばにいるのだから。

おちんぽ様に犯して欲しい、そう思い続けてしばらくのこと。
おちんぽ様は成長し続け、遂に意志を持って動くようになっていた。

伸縮自在、ベルの意志とは関係なしに動くようになってからは、おちんぽ様の神性はさらに強くなる。

おちんぽ様が動けるようになって、初めに犯したのはベルのマンコだった。
嬉しかった。
おちんぽ様に選んで貰えたことが、涙が出るほど嬉しかった。

痛みなど無く、言うなれば快感よりも早く、感動が胸に広がった。
その後は泡を吹くまで犯され続け、一週間は離してくれなかったが。

おちんぽ様は私が寝てようがご飯を食べてようが関係無しだ。
勝手にスカートの中から出てきて、その辺の穴に自らを突っ込んだり、なにかに擦りつけたりする。
その度にベルは自分の行動の全てを中断され、強制的な快感に溺れるのだ。


時折この屋敷に迷い込んでくる人間とも会った。
それが男なら、おちんぽ様の命令でご奉仕させられた。

どんなに醜悪な男でも、ケツの穴まで舐めて綺麗にしたし、自らマンコを開いて犯して下さいと懇願した。

男達は皆ベルのおちんぽ様を見て、化け物だと言った。
馬鹿にされ、玩具にされて、飽きたころに帰って行った。


女性が来た時はもっと大変だった。
若い女性を見るや否や、おちんぽ様は凄い勢いで女性を犯した。
女性の身体に絡みつき、口やマンコ、ケツの穴はもちろん、鼻の穴や耳の穴まで犯しつくした。
ベルは女性に謝りながらも、その快感に身を委ねていた。


そんな生活を続けている内に、おちんぽ様は新たに成長していった。
一本だったおちんぽ様は、根元から三本に分かれ、それぞれが独立して動くようになった。
感覚は三等分ではなく、三倍。
それぞれの快感が全てベルに注ぎ込まれる。
そうなってからは、まともに生活することは出来なくなっていた。


それからほどなくして、乳首からもおちんぽ様が生えてきた。
乳首のおちんぽ様は伸びはしないが、定期的に出してあげないとすぐにパンパンになる。
自分で動いてくれない分、ベルが面倒を見てあげないといけないのだ。

乳首のおちんぽ様が出したいと思えば、すぐにオナニーをしてあげる。
乳首のおちんぽ様は、オナホールも好きだが、最近ではベルのセルフフェラがお気に入りなようだ。
馬鹿みたいに舌を突き出して、おちんぽ様を気持ちよくしていると、気を効かせて下の三本のおちんぽ様たちもベルのマンコを犯してくれる。


今日もいつものようにおちんぽ様にご奉仕しながら犯されていると、誰かがまた迷い込んで来たようだ。
女性の声が聞こえる。

おちんぽ様たちはそれに反応し、動きを止める。
おちんぽ様の一本が、ベルの口の前に伸びてくる。
条件反射で舐めようとしたが、少し遠ざかる。
ベルは前へ前へと進みながら、おちんぽ様を咥えようと必死に舌を突きだす。

そのまま歩いていると、いつのまにかリビングに出ていたようだ。
そこでやっとおちんぽ様はベルの口の中に入ってくれた。
すぐにフェラに夢中になったが、女性の叫び声で気を散らされる。

「きゃああああ!」
「ま、まさか!ベルなの!?」
気いたことのある声、どこで聞いたんだっけ?

「あなた!ベルになにをしたの!?」
「ち、違う!我が輩はなにもしていない!」
「嘘つかないで!じゃあなんでベルはあんな!あんなああ!」
「殺す……殺してやるううう!」
「な、なにをする気だ!うがあああ!」
ビーストの身体に突然打ちこまれた銃弾。
何度も何度も、弾が全て無くなるまで、それらはビーストの身体を蹂躙していった。

「お父さんの銃よ、なにかあった時守ってくれると持たされていたの」
「まさか本当にあなたを撃つことになるとは、思って無かったけどね」
「ご、誤解だ……我が輩は本当になにも……」
そう言って倒れるビースト。
屈強なはずのその身体は、純銀の銃弾によって穴だらけになっていた。
ふさふさだった毛は血で染まり、巨大な身体は倒れ、最早目線も定まっていない。

「姉さん!そんなことよりベルを助けなきゃ!」
「そうね!で、でも……」
「どうすればいいの?」
あぁ、そうだ、思い出した。

「姉様方……」
「ベル!」
「意識があるのね!?」
「よく来てくれましたです……ベルは嬉しいですよ……」
「当たり前じゃない!」
「お父さんも心配してる!みんなで帰ろう!?」
「その前に、ベルのお願いを聞いてくれませんですか?」
「ええ!もちろんよベル!なんでも言いなさい!?」
「辛いのね!?私達が絶対に助けるから!」
「じゃあ……」
本当に嬉しい。
これで、これで……。


「姉様方の身体を、ベルに下さいです」
「え?」
「どういう……こと?」
その瞬間、ベルを犯していたおちんぽ様たちは、一斉に姉様方に向かって伸びていく。
茫然と立ちすくむだけの姉様方。

服を破く行為さえも快感、誰も触れたことのない二人の身体を這うことは幸せ、ベルの名を呼ぶ口も、綺麗で長い髪も、固く閉ざされた泌部も、排泄の為の器官も、鼻も、耳も、眼球を押しやってその窪みさえも、全てを犯しつくす。

何度も何度も精液を吐きだし、声も出なくなって、二つが汚い肉の塊になった時、ベルは気付いたのです。


「あぁ、これで……本当に一人ぼっちになってしまいましたですね」
わかっていたのですよ。
おちんぽ様の意思はベルの意志。
おちんぽ様はベル自身だったのです。

だからベルは独り。
でもそれでいいのです。

それでもベルは、幸せですから。

「ふふ……ふふふ……ひゃああ、また……逝きゅっ!」


めでたしめでたし。
[ 2013/08/24 20:04 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

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