とあるお方のリクエストで出来た今作!
ストーカー男の愛にご注目!
本編は【続きを読む】から!
「おい、流石に遅刻するぞ?」
布団を被ったままの私に、同室者の高杉が話しかけてくる。
不干渉が基本の高杉でも、流石にこの時間まで布団に潜る私を見かねたのだろう。
「ごめん、なんか調子悪いみたいだから今日休むって言っといて……」
「別に……それぐらいいいけど……」
なにか言いたそうだな。
なんかこういう高杉は珍しい。
「あのさ……」
「なに?」
「なんか……悩みとか……」
「え?」
あまりにもガラにないことを言うので、少し大げさに聞き返してしまった。
「いや!なんでもないから!私行くからな!?」
「う、うん……」
そう言って高杉は去ってしまった。
私はドアが閉まる音を聞いてから、布団から出て高杉が去った方を見る。
「ちゃんと先生に言ってくれるかな?」
まぁ……大丈夫か。
それにしても意味が分からん。
急に眠たくなったと思ったら、次の瞬間には頬が腫れるほど痛かったのだ。
ちょっと血まで出ちゃうぐらいに……。
「これはもしかして……」
眠気を我慢するために無意識に自分で頬を叩いた?
「これだ!」
てかどっちにしろこんな顔じゃ学校には行けない。
なんとかベッドの中で制服には着替えたものの、無駄になったかな。
てか心配かけそうだからお兄ちゃんの所にも行けないよぉ……。
「あ……れ……?」
お兄ちゃんの事を考えた時、なにか違和感を感じた。
いつもは思い出すだけでキュンとするのに、今日はなんだか……。
「嫌な感じがする……」
私がお兄ちゃんの事嫌なわけないのに。
嫌?と言う訳じゃなくて……警戒心?
みたいな感じかも……。
「昨日お兄ちゃんが怪しい催眠術とかかけてきたからかな?」
まったく、私は将来の伴侶を信じられないとは……。
「ふへへ」
いかんいかん、伴侶とか思ってみただけで顔がニヤける。
「うん、いつもの私か……」
と、今からどうしようかな……。
朝ごはんも食べに行けないし。
別に死ぬわけじゃないからいいけど。
コンコン。
「ふへ?」
窓を叩く音が聞こえる。
カーテンをしているのでよく見えないが、人が立っているのは分かる。
一階なうえに庭に面しているので、特に不思議もないが……。
もう学校始まりますよ?
って、人の事言えた義理じゃないか。
「はいはい?どなたかな?」
どうせどっかのあほが、私がいないとかって探し回ってるのだろう。
あんまり顔を見せたくないので、ちょっとだけカーテンをズラして外を見る。
「……ぇ?」
なんで?
なんで男の人がここに……。
「マモちゃん!開けて!ほら!僕だよ!?」
「あ……あぁ……」
嫌……なんで?
私、この人知ってる?
「古賀……さん?」
「そう!僕だよ!開けてよ!」
なんで?
なんでなの?
だって私こんな人と会ったことない……。
それなのになんですっと名前が出てくるの?
それだけじゃない……。
そんなはずないのに……。
「マモちゃんの恋人の古賀玉五郎だよ!」
「ゃ……いやぁ……」
そう、私はこの男を何故か恋人と認識したのだ。
そんなわけないのに……。
「あれ?おかしいなぁ……」
おかしいのはそっちだ。
だってここは男子禁制……。
「未来のゆで卵」
「う……」
まただ……急に眠気が……。
「開けてよ」
「はい……」
「おぉ、ちゃんと動くんだね?」
眠ってるんだから、自分では動けないのかと思ってた。
でも僕の言葉だからきっと心に直接届いてるんだろう。
窓から部屋に入り、久しぶりのマモちゃんの部屋の空気を吸う。
「はぁー!やっぱりいい匂いがするねぇ!」
「……」
マモちゃんは無反応だ。
照れてるんだろう。
「僕ね?この部屋来たことあるんだよ?」
そう、あれはマモちゃんがこの学園の生徒だというのを聞いて、追いかけてきて守衛になってからしばらくの事。
普段は門から遠ざかることの出来ない守衛だが、ある時間帯だけは別だ。
それは夜中、門を閉めてからである。
守衛のシステム的には、外からカギを掛けて、鍵をポストに投函してから学園を去るのが基本だ。
中から鍵を掛けるには別の鍵でなくちゃ無理で、それは持たされていないから、鍵を掛けるには外に出なくちゃいけない。
18時の完全閉門から数時間すると、見回りの人が鍵を取りに来るから、鍵が掛かっていて尚且つポストに鍵が入っていないと責任問題だ。
もちろん勤務時間内であろうと、僕ら守衛が門から遠ざかり学園の方へ向かっているのがバレてもアウト。
しかし抜け道もあるのだ。
だってそうだろ?
二人いればいいんだから……。
僕は口の堅いホームレスにお金を握らせ、幾度となく学園の中にいるまま鍵を掛けさせている。
そして夜の学園を散策するのさ。
始めは寮の場所も分からなかったから、大変だったよ。
寮と言っても沢山あるし、マモちゃんのフルネームも知らなかったしね。
でも学園の中は逆にセキュリティーは一切ないから探索は楽だった。
だって寮の生徒は寮長の下に夜間寮から出るなんて出来ないだろうし、外からの侵入者なんて想定してないだろうしね。
夜の女子校で好き勝手するのは楽しかったなぁ。
「はぁ、はぁ……凄い……宝の山だよ……」
時は夏真っ盛り、夏休みに入ったとはいえ寮に残る人間も多いのか、プールは常に解放されている。
水泳部の部室を突き止めた僕は、愛しのあの子を探すのも忘れてロッカー荒らしに夢中である。
だって部室の鍵が十円玉で開けられるんだよ?
入らない馬鹿はいないでしょ?
「ふぅ!ふぅ!近藤このみちゃん!この子小さい身体なのに、すごくマンコ臭いんだね!」
どうやら入ったのは中等部の部室だったようで、サイズはどれも小さめである。
でもこのみちゃんのは一際小さい。
「それなのにこんなにメスの臭いとか!ふぶぅ!また逝っちゃうよおお!」
チンコに巻いてるのは代田美琴ちゃんのスク水。
マンコが当たる場所にしっかりと精子を擦り込む。
年頃の女の子なのに、スク水は持って帰らずに部室で干しているのだ。
多分軽く水で洗ってから干しているのだろうが、全部パン喰い競争みたいに口で取ってやったよ。
「ひゃひゃひゃ!原田京子ちゃんのは臭いが薄いから、僕のケツの臭いを付けといてあげるねぇ!」
ケツの穴に擦り付けながら、これを明日京子ちゃんが着て、マンコを擦り付けながら泳ぐのだと思うとまた……。
「ふひっ!はぁ、はぁ……」
こんなに出しちゃったら、美琴ちゃん妊娠しちゃうね?
「初等部のリコーダーにザーメン塗りたくったり、貯水タンクに小便入れてみたり、高等部の新体操部にあったレオタードを無理矢理着て、走り回って汗を染み込ましたりもしたなぁ……」
僕はマモちゃんに武勇伝を聞かせてあげている。
魔法で眠っているので無表情で目を閉じているが、ちゃんと聞いてくれているのはわかってる。
「そうやってマモちゃんの名前と寮、そしてこの部屋を見つけたのが4か月ぐらい前だったかな?」
でも流石に夜マモちゃんがいるのに部屋に入れないからね。
ビックリさせたら悪いし、隣で寝てる女の子が騒いでも嫌だったから。
「それで僕、ずっと待ってたんだよ?ずっと、ずっと、朝になるまでそこの草陰でじっとしてたんだ」
皆が登校してからは逆に、寮の方が手薄になる。
そして朝になってからこの寮に潜りこんだんだ。
「寮長の人に見つかるかと思って冷や冷やしたけど、あっさり部屋まで来れちゃった!これも愛のキューピットのおかげだね!僕ね?マモちゃんの下着、全部知ってるんだよ?」
あの日は凄く興奮したな……。
「こ、ここがマモちゃんのお部屋……」
いい匂いがする。
女の子の甘い匂い……。
マモちゃんのベッド、マモちゃんの枕、全部を堪能しながら自分の汗を付けていく。
使ってない綿棒や歯磨きは全部唾液と我慢汁を付けておいた。
パンツはもちろん全部匂いを嗅いで、分からないぐらいにだがチンカスやザーメンを薄ら塗っておいた。
そしてパンツを一着拝借して、キツキツだが無理矢理履いた。
これはもう脱がずにずっと使おうと決めたのだ。
その後手早くカメラを設置した。
この部屋にはトイレもお風呂も付いている。
部屋全体を映せるように二つ、お風呂とトイレに一つずつ。
敷地外で電波をキャッチ出来るように、夜の内に中継機を寮の外にいくつかセットしておいた。
電源は寮のコンセントから拝借できるように細工してある。
まさか盗撮されるとは思ってもみないだろうから、気付かれることは無いだろう。
「こっそりこんなことしちゃうのは悪いけど、マモちゃんを見守るためだから許してくれるよね?」
その後授業中の手薄な時間に、見つからないようにこっそり門に近づいた。
これは博打に近かったが、なんとか無事に門までたどり着けた。
あまり熱心ではない守衛が居眠りしている隙に外に出て、部屋の様子が映るようにしてあるモニターがいくつも乗った車に乗り込む。
山の中に隠してあるこの車は、しばらく僕の秘密基地になるかもしれない。
だってやっぱりリアルタイムのマモちゃんを見守りたいもんね。
「だからマモちゃんのことは、なんでも知ってるよ?ついでに高杉って子の着替えやお風呂、トイレも見ちゃったけど、浮気じゃないからね?あの子はマモちゃんと違って胸が大きいけど、僕は断然マモちゃんみたいなペッタンコの方が好みなんだから!」
マモちゃんも褒められて少し嬉しそうに見える。
高杉さんでも何度か抜いたのは内緒にしとかなきゃね。
「そうだ、マモちゃんに聞きたいことがあるんだ、答えてくれる?」
「……はい」
「へへ」
無反応のマモちゃんも可愛いけど、やっぱり可愛い声が聞けた方が嬉しいよね。
「あの男、高杉博人って……ってあれ?高杉?」
同室の子と同じ苗字……偶然だよね?
よくある名前だし。
「あの、同室の高杉さんと高杉博人って……兄妹だったりする?」
「……考えたこともない」
いや、そこは普通に疑問に思えよ。
いやいや、マモちゃんは心が広いから、そんな小さなことで悩まないんだ。
「話がずれたね?高杉博人ってマモちゃんになにしようとしてるの?変な魔法掛けて……マモちゃんはなにか知ってる?」
「お兄ちゃんは……私の男性恐怖症を直そうとしてくれてる……」
うん、確かにそう言ってはいた。
でもきっとマモちゃんによからぬことをしようとしてるに違いない。
催眠がどうとかよく分からないことを言って、医者の格好までしてごまかしてはいるが、あれは完全に詐欺師の顔だ。
マモちゃんは騙されていることに気付いていない。
「マモちゃん、よく聞いて?君は騙されてるんだよ?」
「騙され……?」
「あの男は、君を騙してエッチなことをしようとしてるんだ」
「私は……お兄ちゃんとなら……」
「はぁ……」
呆れすぎて怒る気もしない。
最早操られていたとは……。
「そう思わされてるんだ。だってそうだろ?僕という恋人がいるのに、あの男とエッチなことをしたいわけがないんだ」
「エッチ……したくない?」
「そう、君はあの男とエッチなことなんてしたくない」
「そう……なの……?」
「絶対だ。あの男に触られるのが不愉快で、あの男の声を聴くとイライラする。顔を見たら悲しくなって、一緒に吸う空気は不味いはずだ」
「私は……お兄ちゃんが……嫌い?」
「そう、マモちゃんはあいつが嫌いだ。それとね?あの男のことをお兄ちゃんなんて呼ばなくていいんだよ?」
「お兄ちゃんは……お兄ちゃ……」
「あの男のことはそうだな……てか極力喋らない方がいいよ?」
「喋りたくも……ない……」
「そう、君はあの男が嫌いなんだから」
「私……」
「え!?え!?ちょっ!なんで!?」
マモちゃんの両目から、急に大粒の涙が溢れてくる。
「泣き止んで!ほら!大丈夫だから!ね!?」
「は……い……」
眉間にシワがより、険しい顔になっている。
あいつのことを考えるのがそれほどに嫌なのか……。
でも元のマモちゃんに戻ってくれてよかったよ。
「もう大丈夫、マモちゃんが好きな僕がいるんだから」
「あなたが……好き?」
「そう、マモちゃんは僕が好きなんだからね?」
「はい……」
「僕といると安心するし、楽しいし、どんどん好きになる」
「安心……楽しい……好きに……なる……」
「そうだ!僕のことをお兄ちゃんって呼べばいいよ!」
「お兄ちゃん……?」
「そう、今日からは僕をお兄ちゃんって呼んでね?」
「はい……お兄ちゃん……」
なんかちょっと違うな……。
いや、呼び方は嬉しいんだけど……。
「そっか、いつもの元気なマモちゃんに呼んで欲しいのか」
となればこの魔法を解くしかないな。
別に元々恋人同士なんだし、ここにいることにはビックリしたかもだけど、話せば分かってくれるよね?
「過去の直角」
「ふ、ふぇ?」
「起きた?」
「う、うえええ!?」
「ちょっ!静かに!」
もう、ビックリさせないでよ……。
「あ、あの……あなた……」
いつの間に部屋に入ったんだろう。
確か名前は……。
「お兄ちゃん……って!ご、ごめんなさい!あの!なんか!」
初対面の人になに言ってるんだろう……。
それに男の人なのに……。
「いいんだよ?僕のことはお兄ちゃんって呼んでいいからね?」
「あ、いいん……ですか?」
「もちろん!恋人だろ?」
「え!?い、いやいや!」
なんでだろう、絶対違うのになぜか否定しきれない感じも……。
「照れちゃってぇ!」
「あ、あはは……」
なんだろう、この人といると安心する。
「あの、どうやってここに?」
「マモちゃんに会うために頑張って来たんだよ?」
「え?な、なんですか?それ……ふ、ふふ!変なの!」
なんか話してるだけで楽しいし……。
「それより僕、マモちゃんとずっとこうやって話したかったんだよ!」
「え?ほ、本当ですか?う、うへへ……」
あぅ、変な笑い方しちゃった……。
なんか私、この人の事……ちょっと好きかも……。
話しやすいし、安心するし、楽しいし、お腹も出てるし髪も薄いけど、なんかそれも可愛く見えてきたかも?
もっとこの人とお話ししたいなぁ……。
「あ、あの!お兄ちゃんはなにしてる人なんですか?」
年はかなり上だろうなぁ、もしかして学校の人?
でも男の人なんて……。
「そんなことよりさ?キスしようよ!」
「……へ?」
キス?
キスってあの……。
だってそんなの、お兄ちゃんともしたことないのに。
え?お兄ちゃん?あれ?いや、あの人はお兄ちゃんじゃなくて、誰……確か……高杉……お医者さんで……私の……え?
あの人が私の恋人じゃなかった?
その人ともキスはしたことなくて、この人と……。
「ほら……」
お兄ちゃんの顔が迫ってくる。
い、いや……こんなの……。
「いやあああ!」
「なっ!?」
「はぁ、はぁ……ご、ごめんなさい……」
「なんで……嫌なの?」
「私……男性恐怖症で……」
「だってそれはあの男が適当に……そうか……クソっ!あいつううう!」
「あの……」
怒らせてしまったかもしれない……。
「ごめんなさい、私治しますから……その、男性恐怖症を……」
「全部あいつが仕組んだことなんだ」
「あの、あいつって?」
「高杉だよ!ああもう!ややこしいな!博人の方だ!あいつがマモちゃんを変にしたんだ!」
高杉……先生が?
私を……。
「もう!未来の卵!」
「え?なに……」
また眠気……。
「はぅ……っは!また寝てた!」
「も!もう!もう大丈夫だよね!?キス!キスしよう!ね!?ね!?」
「あ!あの!あのあの!む、無理です……」
「なんで!?男性恐怖症なんて嘘だって言ったのに!?」
「え?あの……こ、怖いです……」
「く!くっそおお!あいつ!自分しか解けないようにしてるんだ!」
「そうなんですか?」
「こうなったら仕方ない……あいつ一応治療とか言ってたから、一旦は任せてみるか……」
「高杉先生に診てもらえばいいんですか?」
「仕方ないよね……様子を見ながらだけど……でも!変なことされそうになったら逃げるんだよ!?」
「は、はい……」
凄く心配してくれてる……。
この人って……本当に私の……。
「あの、お兄ちゃんは私の恋人……なんですか?」
「え?うん!そうそう!恋人だよ!」
「え、えへへ……そう、なんだ」
「嬉しい?ねぇ!ねぇ!」
「は、はい……ちょっと、嬉しい……かも?」
「かもかよぉー!」
「うふふ!嘘です!嬉しいですよ?」
「ねえねえ!その敬語止めてよ!いつもみたいにさ?ね?」
「え?い、いいの?私あんまり言葉遣いよくないし……」
「いつものマモちゃんが好きだよ?」
「そ、そっか……うん!じゃあ普通に喋るね?」
なんか話せば話すほど好きになってく……。
やっぱこの人が私の……恋人なんだ……。
おかしいな……ちょっと前までは、高杉先生の事が好きだったような気がするんだけど……。
でもお兄ちゃんの話が本当なら、私あの人に騙されてたんだ……。
「じゃあ今日はもうちょっとだけ時間もあるし、男性恐怖症でも出来ることしようか!」
「え?そんなのあるの?」
正直自信無いなぁ……でも、お兄ちゃんが喜んでくれることなら、出来る限りはしてあげたいし……。
「マモちゃんは触られたりするのが嫌なんだよね?」
「あ、うん……高杉先生はそう言ってた」
「エッチに触られるのが嫌なんでしょ?」
「うん、ちょっと怖い」
「じゃあこれなら大丈夫じゃない?ちょっと待ってね?」
「……って!なになに!?なんで脱いでるの!?」
「待ってってば!」
お兄ちゃんは急に服を脱ぎ始める。
しかもズボンだよ!?
私は目を覆って下を向いてしまう。
「ほら、見てみて?」
「う、うう?ふへ?」
そこには女の子用のパンツみたいなのが……。
「これ見るだけなら平気?」
「あ、うん……見るだけなら……なんとか……」
あまり見ていて気持ちのいいものではないが、今すぐどうしろという感じではない。
「このパンツ見覚えない?」
「え?そういえば……あぁ!それと同じの持ってたような!」
「てかこれと同じの失くさなかった?」
「そうだ!結構前に失くしたやつだ!なんで!?」
「実は僕が拾って持っててあげたんだ!」
「そ、そうなの?でも……なんで……」
なんで履いてるの?
私が履いてたパンツだよ?
結構気に入ってたピンクのストライプ。
綿でよく伸びる素材だったけど、お兄ちゃんが履いてるからパンパンになってるし。
その……下の……あれが……浮き出るぐらいに……。
「だから返すね?」
「ええ!?いやいや!そんなの返されても!」
「じゃあ脱ぐねー」
「きゃっ!ちょっと待って!」
またも私は下を向く。
なになに?
なんで急にパンツ脱いでるの!?
「さぁ、返すよ」
「きゃ!いやっ!」
私は手渡されたパンツを手で弾く。
「な、なにするの?」
「え?いや、だって……」
「僕今マモちゃんに触った?触ってないよね?」
「いや、でも……」
「キスしたいのに!僕はマモちゃんにキスしたいのに我慢してるんだよ!?マモちゃんが男性恐怖症とか意味分かんないこと言い始めるから!付き合ってやってるのに!なんでこれぐらいも受け取ってくれないの!?そもそもマモちゃんが失くしたパンツ取っておいてあげんたんだよ!?お礼の一つぐらい無いわけ!?」
「え?あの……」
急に色々言われて訳が分からなくなる。
その上まだ下半身は裸だろうから、上を向くことも出来ない。
「そのパンツ、受け取ってくれるの?くれないの?」
声のトーンは落ちたが、怒気は高まっているような気がする。
そうだ、私はこの人の為にちょっとぐらいなら耐えようと思ったばかりだったのに……。
「ご、ごめんなさい……」
私はそっとパンツを拾い直した。
もちろんそっちは見れないが……。
「ちゃんと目を見て言ってよ!」
「う、うん……」
下を見ないように、お兄ちゃんの目だけを見る。
「ご、ごめんね?あの、あとありがとう……」
「なにを?なにが?全然分かんないんだけど!」
「あの……パンツ、せっかく届けてくれたのに、受け取らなくてごめん。それとずっと持っててくれてありがとう……」
しっかり目を見て、というかそこしか見れないので必死に見つめながらお礼を言う。
「うん!いいよ!そのパンツ!ずっと履いてたんだよ!一回も洗ってないんだ!」
「う……そ、そうなんだ……」
また手放したくなったが、今度は耐えて見せた。
これ以上落胆させるわけにはいかない。
「でもよかったね!これでまたそのパンツ履けるね!」
「え?いや……それは……」
いくらなんでもこんなの……。
正直近くにあるだけで臭い。
それにもう伸びちゃってるだろうし……。
「え?ま、まさか……僕が届けたパンツは履けないの?」
「なっ!ち!違う違う!履けるよ!?ちゃんと履くって!」
「そっか!安心した!」
ふぅ、とりあえずお兄ちゃんが帰ったら処分するしか……。
「じゃあ今履いてよ!」
「……え?」
「マモちゃんは一度決めたことはやり通すんだよね?」
「……で、でも」
い、嫌だ。
絶対嫌だ。
「大好きな人が履いてたパンツだよ?それに大好きな恋人が履いて欲しいって思ってるんだよ?キスも出来ないマモちゃんの為に、これぐらいなら楽しめるかもって、わざわざ僕が提案したんだよ?それさえも出来ないの?」
「え、いや……そう、だよね……」
私が悪いのに……。
これ以上悲しい思いはさせられない……。
「は、履くよ……」
「絶対に?今?ここで?」
「う、うん……」
「じゃあさ、まずは今履いてるパンツ脱がなきゃね?」
「え?」
ナニイッテルノ?
「大丈夫!スカートだからパンツ脱いでも中は見えないって!」
「あ、そ、そうだ……よ……ね……?」
もう、後戻りなんて出来ない……。
「あの、後ろ……」
「僕がしっかり見届けるから!あ!安心して!?僕マモちゃんがどんなパンツ持ってるかぐらい全部チェック済みだから!」
「そうなんだ……」
好きな人が自分の事を知ってくれているのは嬉しいこと。
そうだよね……嬉しいことなんだ……。
私は受け取ったパンツを一旦床に置き、スカートの中に手を入れて、今履いているパンツに手を掛ける。
「ぬ、脱ぐね?」
「うん!うんうん!」
「ちょっ!なんでカメラ向けるの!?」
「え?恋人なら当たり前でしょ?」
「え?……そうなの?」
「そうか、マモちゃんって男の人と付き合った経験あんまりないんだよね?」
「う、うん……」
「こういうのは記念に撮っておいて、いつか二人で見て笑いあえる日が来るんだよ?」
「そう……なんだ……」
出来ればそんな日は来て欲しくないが……。
お兄ちゃんが言うならそうなんだろう。
私よりずっと長く生きてそうだし、色々知っているんだろう。
「く、くぅ……」
「お!おお!真っ白の綿パン!マモちゃんは綿好きだね!」
「う、うん……」
「他のもほとんど綿だもんね!可愛いよ!」
「あ、ありがと……」
「おおお!汚れがちょっと見えるよ!?」
「や!み!見ないで!?」
「だめ!ちゃんと見せてね?」
「う、うぅ……」
いちいち恥ずかしいことを言わないで欲しい。
あとなんで私の下着の事知ってるの?
「ぬ、脱げたよ?」
「じゃあまずは僕のチンポに謝って?」
「……は?」
私は驚いて直接見てしまった。
今まで意識的に見ないようにしていた、お兄ちゃんの下半身のそれを……。
「い、いや……」
あからさまに嫌がって他所を見ると、お兄ちゃんが不機嫌そうな声で言う。
「ねえ?今僕のチンポ、マモちゃんのせいで裸なんだよ?」
「え?あ、あぁ……」
ずっと履いてたパンツを脱いじゃったから……。
「なのにマモちゃんは謝りもしないの?」
「あ、あの……ごめんね?」
「ちゃんとチンポを見て!なにがごめんなのかしっかり言ってよ!納得出来ないよ!」
こっちだって納得は出来てないよ……。
「あの……」
私は恐る恐るそれを視界に入れる。
恐ろしいほどに大きいそれは、中に針金でも入っているかのように固そうで、ブラブラ揺れている。
「パンツを……」
「こいつのことはちゃんとチンポ様って言えよ?」
「え?な、なんで?」
「女はチンポを敬うもんだろ?常識だぞ?」
「そ、そうなの?」
なんでこんなグロテスクな物を……。
「あの、チ、チチ、チン……ポ様……私がパンツを取ってしまったせいで、裸にさせてしまい……その、申し訳ございませんでした……」
「で?どうやって落とし前付けるの?」
「え?どうやってって?」
「なにか履くものないと寒いでしょ?」
「あ、じゃあ……これあげる……」
さっきまでお兄ちゃんが履いてたパンツだ。
もう私は履きたくないし……。
「それはマモちゃんが履くんだろ!?約束破るの!?」
「ご、ごめんね?じゃあ……あの……」
「今手に持ってる新しいのがあるよね?」
「こ、これ?」
私は手に持った白い綿のパンツを握りしめる。
「履かせろよ」
「で、でも……私男の人に触れない……」
「その汚いパンツをチンポに巻き付けるぐらいなら、触らなくても出来るだろ?考えろよな!トロいんだよ!」
「ご!ごめんね……」
怒らせちゃった……。
私は急いで自分のパンツを広げ、恐る恐るそれに近づく。
お兄ちゃんのそれにパンツを掛けようとするが、近づくだけで拒否反応が出る。
でもお兄ちゃんの顔を見ると、不機嫌そうな表情で私を睨んでいる。
仕方ないので意を決して、パンツをそれの先に引っ掛ける。
そこでようやくお兄ちゃんの顔が笑顔に変わり、自分で私のパンツをそれに巻き付けてくれた。
「ど、どう?」
「うん!これ暖かい!マモちゃんの体温だね!」
「あ、ありがと……」
これも……嬉し……い……んだ、よね?
「じゃあ次はそこに落ちてるの履けよ!」
「こ、これ……だよね?」
私は落ちているパンツを拾う。
かつて私のパンツだったそれは、全体的に伸びてしまっていて一回り以上大きくなっている。
臭いもさることながら、黄ばみやよく分からないカピカピした汚れも目立っている。
人差し指と親指で摘まんで持つのが精いっぱいで、これを履くのはとてもじゃないが……。
「履かないの?」
お兄ちゃんの笑顔が怖い。
脅迫されているような……。
私、本当にこの人が好きなの?
正直に言おう、私のことを好きな人なら分かってくれるはず。
「これは……履けない……」
「は?」
「あの、だから……」
お兄ちゃんの顔が悪魔の様に歪む。
殴られる……。
「未来のゆで卵」
「え?」
な……に……?
「だいぶ理解したよ」
この魔法を掛けている間は、マモちゃんが素直なマモちゃんに戻っている時なんだ。
普段のマモちゃんはあいつの影響を受けているから、僕の言うことを聞いてくれないこともある。
でもこの状態の時にちゃんと僕のことを思い出させてあげれば……。
僕の情熱を本当のマモちゃんに届けるんだ。
「マモちゃん、よく聞いて?」
「うん……」
「マモちゃんはあいつに、博人に騙されているんだよね?」
「そう……です……」
「本当のマモちゃんは僕の事を愛している」
「愛し……」
「本当のマモちゃんは、僕の言うことならなんでも喜んで聞いてくれる」
「喜んで……」
「だって僕の全てが好きだから!」
「好き……」
「僕の臭いを嗅ぐのが好き!」
「臭い……」
「僕の全てを見るのが好き!」
「全て……」
「僕の声を聴くのも!僕に命令されるのも!僕を喜ばせるのも!全部!全部!僕の為ならなんだってしてくれるんだ!」
「なんでも……する……」
「わかるかい?」
「うん……」
「過去の直角」
思い出してくれよ、マモちゃん……。
「あれ?私また……」
「大丈夫?」
「あ、うん……」
なにしてたんだっけ……。
あ、そうだお兄ちゃんの履いてたパンツ……。
私はいつの間にかまた床に落ちてしまっているそれに目をやる。
「お兄ちゃんがずっと履いてた……私のパンツ……」
「そうだよ?僕の臭いがいっぱい付いたパンツだ」
「お兄ちゃんの……臭い……」
私はそれを両手でしっかりと持つ。
大切に、大切に……。
そしてゆっくりと自分の顔の前に持ってくる。
外から見ても分かるぐらい汚れたそれは、最早元のピンク色が分からないぐらいに……。
「クン……」
軽く臭いを吸い込む。
「はぁぁ……」
なに?これ……。
オシッコやよく分からない生ぐさい臭い。
普段なら不快で吐きそうになるはずなのに、お兄ちゃんの臭いだと思うとなんだか……。
「私、この臭い好き……」
「そうなの?」
「ずっと嗅いでいたい……幸せ……」
気付くと私はパンツに頬ずりしていた。
もっと臭いを嗅ぐために裏返し、顔を拭くように擦り付ける。
チラッと見たお兄ちゃんは、大きくなったそれを握っている。
私のパンツをしっかり巻きつけて、上下に動かして……。
「なにしてるの?」
「これは好きだって思ったら自然にする動きだよ?」
「じゃあそれをしてるってことは……」
「僕がマモちゃんの事を好きだってことだよ」
「嬉しい……」
男の人に触れない私を、それでも好きだって思ってくれてる……。
私はお兄ちゃんの臭いでいっぱいになりながら、幸せを噛みしめる。
「さぁ、いつまでも嗅いでないで履いたら?」
「あ、うん」
そうだった。
私はパンツを跨いで足に通す。
お兄ちゃんに大切な所を見られるのは恥ずかしいので、見えないようにスカートの中でそれを履く。
大切な所に汚れたパンツが付く。
お兄ちゃんがさっきまで履いていたパンツが……。
「なんか……ドキドキする……かも……」
「マモちゃんが僕を好きな証拠だね」
「そうなの?」
そうなんだ……。
嬉しいな……。
「ほらマモちゃん、顔にチン毛付いてるよ?」
「え?」
急に手を伸ばしてきたからビックリしたが、お兄ちゃんは顔には触らないようにそれを取ってくれた。
「はい、あぁーん」
「え?あぁー」
言われるままに口を開けると、なにかを入れられた。
「うぇ……なにこれ?毛?」
「飲み込んで?」
「う、うん……」
吐きそうになるが頑張って飲み込む。
お兄ちゃんのお願いだから。
でもそれよりこのパンツ……。
「このパンツ、大きくなってて落ちてきちゃうよ?」
「そうなの?見せてみてよ」
「うぇ!?む!無理無理!恥ずかしいじゃん!」
「なに言ってんの?そのパンツなら、さっきからずっと見えてたじゃん」
「え?」
まぁ……それも……そうか……。
「大切なとこ……見えちゃわない?」
「見えないようにしっかりと持ち上げておいてね?」
「うん……」
私はパンツを持ち上げて、大切な場所にしっかりとパンツを引っ付ける。
お兄ちゃんは私に近づき、スカートの先を握る。
「お、お兄ちゃん……」
「分かってるよ?身体に触ったら嫌なんでしょ?」
「う、うん……」
「あいつの呪いが解けるまでは我慢だね」
お兄ちゃん優しいな……。
高杉先生が悪いのに……。
あれ?あの人が悪いんだっけ?
うん、多分……そうだったような……。
「さぁ、お願いしてみて?」
「え?なにを?」
「これ捲って落ちないようにして欲しいんでしょ?」
「あ、あぁ……」
そうだよね、お兄ちゃんにちゃんとお願いしなきゃ。
「あのね?お兄ちゃん……私のスカート捲ってパンツ見てみて?すぐに落ちちゃうの……」
「いいよ!うひひ!」
お兄ちゃんなんだか楽しそう。
私も嬉しいな……。
お兄ちゃんがスカートを捲り、私のパンツを見る。
やはりブカブカなそれは、私が引っ張ってないと落ちてしまいそうだ。
「うん、これなら大丈夫だね」
「え?でも落ちちゃうよ?」
「横を結べばいいんじゃない?」
「あぁ、そっか」
「その前に写真を撮るね?」
「う……それも記念?」
「もちろん!」
お兄ちゃんは何枚も写真を撮る。
私は出来るだけ可愛く写れるように笑顔を作るが、あんまり上手く笑えてないな……。
「よし!じゃあ横で結んでみて!」
「こ、こうかな……」
私はパンツが落ちないように、余った布を腰の横で結ぶ。
確かにこれで落ちないが、なんだか不恰好だ。
「なんかだらしない気が……」
「僕はだらしない子が好きだよ?」
「え?そ、そうなの?」
「うん、お風呂に毎日入る子とか、トイレでちゃんと拭く子は嫌いだな」
「うう!?そ、そうなんだ……」
聞いといてよかった……。
私両方やってたよ……。
「さて、じゃあこれから大事なお話をするね?」
お兄ちゃんのあれに巻き付いていた私のパンツは、いつのまにか白い液体でドロドロになっている。
お兄ちゃんはそれを取って私のベッドへ投げる。
あれってそのまま置いていくのかな?
それなら後で……。
「マモちゃん聞いてる?」
「うへ?あ!あぁ!聞いてるよ!?もちろんだよ!」
「マモちゃんは博人に騙されている。それはもう分かったよね?」
「うん……あの人、いい人だと思ってたのに……」
「マモちゃんは変な魔法で男性恐怖症にされたんだ」
「酷い……」
「しかもそれはあいつじゃなきゃ解けないみたいだ」
「じゃあどうすれば!」
私はお兄ちゃんに触りたい……。
そして出来れば……触ってほしい……。
「簡単だよ、あいつは今なぜかそれを解こうとしてる」
「そうなの?」
そういえば、あの人の所に通っていたのはその為だった……。
「だから今まで通りあいつの所に行って、魔法を解かせるんだ」
「う、うん……やってみる……」
あの人の所に行くのは怖いけど、お兄ちゃんの為だもんね。
「でも僕がこのことに気付いたのは内緒だよ?もちろんマモちゃんが気付いてるってことも」
「そうだよね」
バレたらなにされるか分からないもん……。
「じゃあ約束!ちゃんと魔法が解けたら、僕とエッチなこといっぱいしようね?」
「うん!約束!えっと……」
私は小指を差し出す。
これぐらいならお兄ちゃんにも触れるもんね。
「指切り……」
「いいよ!うへへ!」
「魔法が解けたらいっぱいエッチなことしようね?指切りげんまん嘘ついたら針千本飲ーます!指切った!」
お兄ちゃんとの約束、絶対守るからね!