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日曜日の午後

新作アップですが催眠じゃないです。
実はとあるサイトに触発されて書いたいじめ?物。
理不尽羞恥みたいな感じですかね。
なんと今回の本編は【続きを読む】から読めちゃいます!





「ずず!ずっと前から好きでした!付き合って下しゃい!」
か、噛んだあああ!
恥ずかしくて顔が上げられない。
初めての告白と数秒前噛んだのとで、顔が破裂しそうなほど熱い。

入学式で挨拶をしていたのを見た時からずっと憧れだった。
我が校の生徒会長である彼は、本当なら私なんかが声を掛けるのすらおこがましい程の存在だ。

格好良くて頭も良くて、人望もあって尚且つ優しい。
そんな彼のファンはこの学校の女子の半数を超えるのだ。※当社比

それに引き換え私は子供っぽくて取り得も無くて、欠点だけは上げてたらキリがないという絵に描いたような劣等生だ。
未だに仲のいい友達も出来ないし、男子に至っては話しかけられたことすらない。
そしてもちろん、入学してすでに半年が経過するのにも関わらず、未だに先輩と話したことすらないという……。

あれ?私はなにゆえ告白なんていう大それたことをしているのかな?
あ、そうそう思い出した。

ハンカチ落とす

先輩拾う

肩を叩かれ渡される

パニクる

告白

今ここだった……。

ま、拙い……いっそ死にたい……。
隕石落ちろ!隕石!おい!隕石仕事しろ!
いや、隕石の仕事ははたして落ちることなのか?
しかし宇宙から落ちてくる石のことを隕石と言うのだとすると……なるほど、隕石が落ちるというのは仕事と言うより存在の根幹を握る……。

「あ、あの……僕に言ってる……よね?」
「い!隕石は!あの!その!違うくて!隕石悪くなくて!」
「え!?隕石!?」
「うにゅ!あの!そのその!えっと!」
「君、一年の加藤さんだよね?」
「加藤!?え!?な!えぇ!?」
「あ、あれ?違う?」
「いや!加藤です!所詮加藤です!」
「加藤リムさんでしょ?」
「そうなんです!キラキラです!リムとか名乗ってすいません!え?リム?どれどれ?可愛いんじゃね?なんだよあいつかよ!……そうです!私が加藤リムです!すいません!」
あ、私終わった。
だってさっきからホタルノヒカリが頭の中で流れてる……。
帰らなきゃ……きっとママがキイチゴのジュースを作ってくれている。
それを緑の旅人と一緒に飲むんだ、橋の上などで。

「実は僕も……その、なんて言うか……気になってて……」
「で!ですよね!?私がトロール気取るとか三千年早いですよね!?中国始まる前にタイムスリップして出直しですよね!?……あれ?気になって?」
ようやく頭を上げると、そこには相変わらずのイケメンが顔を赤らめて笑っている。

「あは、なんかちょっと想像とは違うな」
「想像?」
「実は……僕加藤さんのことずっと見てたんだ」
「マークされてる!?生徒会に!?ち!違うんです!私悪いことなんて!」
「違う違う!そうじゃなくて……可愛いなって……」
「河合里奈?」
「誰だよ」
「加藤リムです」
「だよね?」
「私……可愛い……ですか?」
「と、とっても可愛いです……」
どこで世界が変わったの?
知らない内に世にも奇妙な世界に迷い込んだ系?
きっと目の前で恥ずかしそうに顔を赤らめているのはエイリアンなのだ。
あ、でもこんな格好良いエイリアンなら喰われてもいい。

「こんなこと言うと引かれちゃうかもだけど、入学式で始めて見てからずっと気になってた。それから見かける度に目で追っちゃうようになって、今じゃ暇な時間は加藤さんがいそうな所ウロチョロしてみたり……ってこれじゃストーカーじゃん!忘れて!ごめん!」
「わ!私先輩がエイリアンでも嫌ったりなんかしません!」
「僕が地球人だった時の反応が知りたい!」
「そんな……だって私なんか……チビでバカで、スタイルだってよくないし、顔だって可愛くないし、髪の毛切るの失敗したし朝ごはん抜いちゃうこと多いしJ-POPより演歌派だし母方の祖母が血糖値高めだし図書館で借りた本返却期限過ぎてるし春のパン祭りにすら参加できなかったしチビだし!」
「その髪型似合ってるし、僕もたまに朝ごはんは抜くし、演歌渋くて格好良いし、お婆様に至ってはお大事にとしか言えないし、言えばパン祭りのシールぐらいあげるし、それに……小さくて可愛い加藤さんが……僕も好きなんだ」
先輩の手が切るの失敗したと定評のある私の髪に触れる。
一瞬ビクッとして、落ち着くのを待ってくれた後にそっと頭を撫でられる。

「でも、図書館で借りた本は今すぐ返しなさい」
「は、はい!」
こうして私は先輩と、小池真人さんとお付き合いをすることになった……のだろうか?
昼休みの廊下、集まりに集まった大勢の観衆の前で……。

「って!凄く注目されている!?」
「あ、やっぱ気付いてなかった?」
「あわわわわ」
リムは目の前が真っ白になった。
所持金を半分失った。※気のせい

「おいおい小池!お前加藤さんと付き合うとか!」
「会長!抜け駆け無しって暗黙のルールでしょうが!」
「そうだそうだ!加藤さんは観賞用なんだぞ!?」
「くっそおおお!俺も加藤さん狙ってたのにいいい!」
「美男美女カップルじゃん!羨ましい!」
「あの子って噂の一年でしょ?」
「そうそう、お人形みたいに可愛くて、あまりに世界観が違いすぎて未だに誰も話しかけられないという」
「喋るとあんな感じなんだ……」
「やばい、更に好きになってしまった」
「なんか面白い子だね、ちょっと仲良くなれそうかも」
周りの人たちがなにか盛り上がっている。
恐らくは私への罵詈雑言なので聞かぬが仏なのさ。

「と、とりあえず!皆!聞いて!」
先輩がなにか言ってる。
恐らくはマジックの種明かし的ななにかだろう。

「なんだよ小池!言い訳は聞かんぞ!」
「会長おめでとー!」
「あぁ!もう!羨ましい!」
先輩は一拍置くと、いつもの笑顔で言うのである。

「もう授業が始まるから各自速やかに教室へ向かうように」
「真面目かああああ!」
「せめてなんか申し開けやああ!」
「つまんなーい!」
「あはは」
こんな時でも笑っていられる先輩……格好良い!





という出来事があってから早や一週間。
今の所一週間前と変わったことと言えば、お昼を一緒に食べるようになったことだけ。

まぁ進展って言えば進展だ。
付き合うとかっていうのはまだちょっと実感湧かないけど、今まで会話もしたことがなかったので、お昼を一緒に食べるのは非常に嬉しい。
パン喰い競争で噛り付いたパンが自分の好きなパンだった時ぐらい嬉しい。

ちなみに私が小学生の時、パン喰い競争に出たはいいが飛べども飛べども掠りもしなかったのはいい思い出だ。
たかだか二年前だけども……身長変わってないけども……。

「あ、リムちゃんまた違う世界行ってるでしょ?」
「え!?あ!ちゃんと競技が終わった後に貰えました!」
「やっぱりね……」
「はい、さすがに私だけ貰えないのは不公平です」
「あぁ、リムちゃんは今日も絶好調に可愛いなぁ」
「可愛く……ないもん……」
「可愛いよ?」
「ぁ……ぅぅ……」
真人先輩はよく頭を撫でてくる。
今も時に優しく時にしっかりと緩急をつけながら撫でまわされている。
これやられるとくすぐったくて、暖かくて……死ぬほど嬉しい。

「でも真人先輩、生徒会室使って本当にいいんですか?」
「ここぐらいしかゆっくり出来る所ないからね」
「他の生徒会の人とか来ないんですか?」
「絶対来ないよ?」
「え?でも用事があったりとかで……」
「来たら僕への反逆と見なすと言ってるからね」
うん、真人先輩はこういう所普通にダメだよね。
でも色んな顔が見れて嬉しい。

昼休みのひと時、生徒会室で二人で過ごす時間。
お互い少しずつ、恋人になっていっているような感覚。
次の目標は一緒に帰るとかかなぁ。
でも先輩は生徒会の仕事で忙しいから、帰るのいつも遅いんだよなぁ。
待ってるって言ったらダメだって言うし……。

「そう言えば来週の日曜日って用事とかある?」
「来週?うーん、別にないですね」
「じゃあデートしよっか」
「あ、いいですね!そうしましょう!」
「よかったぁ、断られたら地味にショックだったよ」
「あはは、そう言えばさっきデートしようって言いました?デート?で、で、で、でぇ?デートおおおお!?リムと!?リムとデートするの!?なんでえ!?」
「なんでって。あの……僕らって恋人同士……でいいんだよね?」
「あぅ!そ!そうでひら!恋人です!あの!あの!いいんですか!?」
「うん、というか凄くしたい。リムちゃんと遊びたい」
「あ!遊んでください!真人先輩とだったらどこでも行きます!サファリパーク(徒歩)でも!」
「そこまで難易度上げないよ?」
「お!おてわやらにか!」
「きっとお手柔らかにだね。リムちゃんってさ、たまに自分のことリムって言うよね?」
「ちっさいからではありません!」
「そうは言ってない」
「む、昔は自分のことリムって言ってたんです……でも子供っぽいから……」
「リムちゃんが治したいなら協力するけど、僕はそれも可愛いと思うしリムちゃんらしいから好きだよ?」
「好きとかあああ!もう!もうう!えへへぇ!」
「露骨に喜ぶなぁ……。でもホント、リムちゃんって思ってたのと全然違うね」
「あ……あの、こんな私は嫌ですか?」
先輩といると舞い上がってしまって、いつも素の状態になってしまう。
これでも普段はもうちょっと真面なのだ。

「今のリムちゃんの方が自然でいいと思うよ?普段から素でいけばいいのに」
「ダメなのです。私は見た目がお子様だから、行動ぐらいは大人にならねば」
「リムちゃん周りからどう思われてるか知ってる?」
「駄目出しキタぁ……」
「違う違う、リムちゃんはね?周りからはお嬢様だと思われてるよ?」
「はっ!見え透いたお世辞を!」
「急にやさぐれたね……ホントだよ?大人しくてあんまり表情が無くて、お人形みたいな見た目と相まって近寄りがたいみたいな?現に僕もその一人だったし」
「あんなに笑っているのに!?」
「いや!普段は一切笑わないじゃん!僕伊達にストーカーやってないよ?」
「ストーカー先輩でも知らないことはあるのです。クラスではよく笑う子だと評判で……」
「いやいや、壁作りまくってるじゃん」
「だってええ!緊張したら黙っちゃうし固まっちゃうじゃないですかぁ!」
「僕といる時は普通なのに?」
「ストーカー先輩といる時は……緊張もしますが舞い上がってもいますゆえ……」
「とりあえず呼び名戻そうか」
気付いてはいたんだ。
クラスの皆が私をどう思ってるかなんて。
昔から人付き合いは苦手。
友達にはなりたいけど恥ずかしいし……。

「あ、そろそろ時間だね?行こうか」
「あう、もう終わっちゃいました」
「また明日も会えるでしょ?」
「えへへ!はい!」
リムは真人先輩といると、緊張して舞い上がって……でも安心して暖かくもなるのですよ?
とはまだ恥ずかしくて言えそうにない。





結局午後の授業は頭に入らなかった。
あ、いつもは入っているかのような言い方をしてしまった。

あの後普通に分かれて教室へ向かい、席に付いた所辺りで思い出したのだ。
日曜日はデート!
今日は月曜日だからまだまだ先だが、もうこれで頭がいっぱいなのさ!

放課後になり帰り支度をして、辺りを見渡す。
クラスの子たちが数人さよならって言ってくれた。

みんなとも最近少しずつ話せるようになってきた。
これも真人先輩効果なんだろうけど、これからは自分の力でもっと仲良くなれたらいいな。
とか思ってはみるけど学校終わったら速攻帰ります!



日曜日はなに着て行こう!
新しい服買うべき!?
え!?まさか着る機会が無いと言われていたあの伝説のフリフリスカートを!?

妄想は妄想を呼び、ふと気付くと見知ったコンビニの前まで歩いてきていた。
そうそう、郵便局の隣の……あれ?隣民家じゃね?
いや、違うわ、これは……あ、うん、知らないコンビニだね。
あ、迷子か。
よくあるよくある。

でも挫けなーい!
なんせ日曜日はデートだから!

コンビニの前にメイクバリバリのちょい怖い女の子が、二人たむろしてるけど気にしなーい!
なんせ日曜日はデートだから!
リムちゃん知らないコンビニでベリベリ君買っちゃうよぉ!?

「ふふーん」
「おい、ちょっと待て」
そうだ、ベリベリ君だけだと味気ないから、まさかのダイエットおしるこ買っちゃう!?
需要なさ気で来月あたりにはもうお目に掛かれなさそうだし買っちゃう!?

「待てって言ってんだろ!おい!」
「ふぇ?」
急に大声を出されたので後ろを振り向く。
たむろしてた女の子の一人がメッサ怖い顔でこっち見てる。
……マジか。

「あ、あの……」
「お前今私のこと見てただろ!」
お、おい、嘘だろ?
見てただけで怒れるってもうそれどこのジャギ様だよ。
いっそ南斗聖拳でもやってろよ。

「なんとか言えよ!あぁ!?」
なんで最後ちょっと疑問形なんだよ、なんにも言ってないよ……。
しかし少し地の利が無かったようだな。
ここはコンビニ前、一見不良におあつらえ向きと思いきや一度店内に入ると大人がいるというバリア的な扱い。

私は咄嗟に店内に滑り込み、店員に無駄に大きな声で助けを求める。

「す!すいません!あの!」
「おい!なに逃げてんだ!?」
「あ、あの!あの!」
店員の男の人は哀愁漂うおじさん。
これは熱い一言で彼女たち改心しちゃうかも?

「すいません、揉め事は外でやってください」
てっめ!山崎!←名札見た
裏切りやがったな!?

「お前私舐めてんだろ?ちょっと来いよ」
ま、まずい。
これは本当にまずい!

「ご!ごめんなさい!本当に悪気とかなくて!」
「んなことはいいんだよ、早く来い」
「ちょっ!い!痛い!」
髪の毛を乱暴に捕まれその場から離れていく。
丁度コンビニの裏手にある空き地。
周囲から見えない死角になっていて、これじゃあ助けが……。

「おらっ」
「くっ」
壁に頭を押し付けられる。
なんで?私そんな悪いことした?

「あんたちょっと自分が可愛いからって調子乗ってるタイプ?」
「いや、私ホントそんなんじゃないんで……」
さっきから私の髪を掴んでいる子は、金髪で見るからに怖そうな女の子。
だけど後ろにいるのは髪も黒いし、短髪でちょっとスポーツマンっぽい感じの子。
あの子に止めてもらうしか……。

「あ?なんかこいつさっきからこっち見てるぞ?」
「あ、あの……」
「ウザい目でこっち見んな!」
「っ!?」
咄嗟のことで声も出なかった。
生まれて初めてだったかもしれない。
頬を思いっきり殴られた。
しかもパーですらない、グーでだ。
だめだ、こいつら二人ともおかしい……。

「サキちゃんいきなりグーとか面白すぎ!」
「こいつなんかムカつくから罰ゲーム決定だろ」
「いいね!やっちゃおやっちゃお!」
罰ゲーム?
なに?どういうこと?

「お前その場で全裸になれ」
「……え?」
「おらっ!」
「いぎっ!」
今度は声も出た。
さっき殴られたところをまた同じように殴られたのだ。

「質問するな、次はこれな」
サキと呼ばれた短髪の少女は煙草に火をつけてユラユラ揺らす。
これってどういうこと?

「ほら、脱げよ」
「いや、急にそんな……あっつ!」
「ひゃはは!今の見た!?メッチャ飛んだよ!?」
う、嘘でしょ?
本気なの?
今この人私の顔に煙草の火を……。

「次は押し付けるぞ?」
「私はサキちゃんと違って優しいから、もう一回だけ言ってあげるね?服を!脱げ!」
「う!いぎ!」
掴んだ髪を引かれて、二度壁に頭を打ち付けられる。
血が出てるかもしれない……だって凄く痛い……。

私は全身を恐怖と痛みで支配され、言われるがままに震える手で服を脱いでいく。
幸いここは外からは見えない。
この場には女性しかいないし……。

スカートを脱いで、更に上着に手を掛ける。
流石にブレザーを脱ぐ時は髪を離してくれたが、下着一枚になった時にまた掴まれた。

「あ、あの……あぎやああああ!」
肩に煙草を押し付けられる。
涙ながらに見たそこは完全に火傷になっている。
私は言われる前に慌てて下着も脱ぎ捨てて裸になる。

「よし、土下座しろ」
私は一瞬戸惑ったが、すぐに膝を地面につける。
頭を下げてとりあえずは土下座の形を取る。

「そのままだぞ」
サキの方だろう、なぜか後ろから声がする。
しばらく経った後、後ろの方から携帯のシャッター音が聞こえる。

「ちょっ!ちょっと!」
私は咄嗟に頭を上げて後ろを見る。
そこにはつまらなさそうに私を撮影するサキの姿があった。

「なんだ?文句あるのか?」
「あ、あの……写真は……」
「選べ」
「え?」
「次はどこに押し当てて欲しいんだ?」
その言葉は明らかに煙草のことをいっているのだろう。

「ご、ごめんなさい……」
「ごめんじゃねえよ、どこだって聞いてやってんだ。言わないなら右目潰すぞ」
確証は無いが、この子たちならやりかねないと思った。
私は咄嗟に痛くなさそうな場所を選ぶ。

「ひ、膝……」
「よし、じゃあお前やれ」
「え?」
「逆らった罰だ、自分で自分の膝に押し当てろ。火が消えるまでやらなきゃ右目にする」
やばいって……このままじゃ本当に……。
一か八か大声を出して助けを呼ぶしか!

「あったあった。へぇ、リムちゃんって言うんだぁ」
「なっ!?」
もう一人の金髪の少女が持っているのは私の学生書!?

「住所までバッチリだね」
「もし大声出して逃げたりしたら家燃やすからな」
逃げ場が……ない……。

「ほら、火が消える前にやれよ」
「な、なんでもします……もう逆らいませんから……」
「ちゃんと命令通り出来るのか?」
「はい……」
「今日だけじゃないぞ!?これから一生!どんな時でもだ!」
「ひゃ!はい!」
「そこに立て、写真撮るから」
「はい……」
私は震える足を無理矢理動かし、裸を隠す余裕も無いまま立ち上がる。

「楽しそうに笑え」
「はい……」
ぎこちなく笑う私は、小刻みに揺れる身体を止めることが出来ない。
サキの後ろでは金髪が私の携帯を見て遊んでいる。

「お前は今日からあたしらの玩具だ」
「はい」
話しながら写真を撮られる。

「連絡があったらいつでも命令に従え」
「はい」
何度も何度も、同じ写真のはずなのに、撮られるごとになにか大切な物を失っていっている気がする。

「お前の中に恥なんて言葉は無い、あたしたちの命令なら迷わず従え」
「はい」
「ピースしろ」
「はい」
「足を開け」
「はい」
「膝を曲げろ」
「はい」
「腰を振れ」
「は……い……」
言われるままに実行する。
なにも考えるな、ただ言われるままにするんだ……。

「ピースのまま鼻に指を入れろ」
「はい」
「腰は振り続けろ」
「はい」
「豚の鳴きまね」
「ブー!ブー!」
「本物っぽくやれ」
「ふ、ふがっ!ふががっ!」
「その枝ケツに突っ込め」
「……は、はい」
出来るだけ唾をつけて……お尻の穴に出来るだけ……。
あれ?私なにしてるんだろう……。

「今すぐ突っ込め」
「は、はい……い!痛い!」
「もっと奥まで!」
「はい!」
「ちゃんと刺さったか!?」
「……は、はい」
手を離しても抜けないぐらいには……。
お尻がヒリヒリする、いや完全に切れているだろう。

「そのままケツこっちに向けろ」
「はい」
「ケツを振れ」
「はい」
「その枝が取れるぐらい振れ」
「は、はい!」
なんなんだ……。
しかも二人ともピクリとも笑わなくなった。
ただ事務的に、私の痴態を携帯に収めていく。

しばらく振っていると痛みと共に枝が抜ける。

「思ってたより面白くないね」
「まぁ始めだしこんなもんだろ。よし、じゃあこれから基本事項を説明する」
「はい」
取れた枝のことなど完全に無視だ。
自分でやれと言っておいて……。

「お前今日からトイレ行った後拭くの禁止な?」
「は、はい」
「風呂入るのも禁止だ」
「はい……」
「じゃあ私からのプレゼントだ、これに履き替えろ」
プレゼント?

「これ……」
地面に投げられたのは安っぽい綿のパンツだった。
しかも明らかに子供用、お尻の方に魔法少女が描かれている。
私は見た目が子供っぽいのがコンプレックスなのだ。
それを……。

「ありがとうございます」
言葉だけは咄嗟に出た。
これ以上の暴力だけは避けたかった。

「在庫一掃セールで300円だったんだよ!」
「お前のパンツは今日からそれだけだ」
「そんな小さい胸なんだしブラもいらないだろ?」
「はい」
確かにAカップだけど、二人だってそんなに大きくない癖に……。
てかなんでこんなの持ち歩いてるわけ?

「今からお前の家に行く」
「は、はい……」
「大丈夫だよ、別に親がいる前でやばいことはしない」
「ありがとうございます……」
余計な心配だよ。
そんなことよりまだ続くって方が嫌だ。

その場を立ち去ろうとした時、二人がランドセルを手に取った。
まさか……小学生なの?
私……年下の女の子にこんな……。
それ以上は考えないようにして足を動かした。





「どうぞ……」
「あれ?誰もいないの?」
「両親とも海外出張だから……です」
「それは好都合だね!」
「いつまでだ?」
あ、なんで余計なこと言っちゃったんだろう……。
疲れてて頭が働かない。

「一週間は……」
「そうか、帰ってきたら連絡しろ」
「はい」
もしかして家に入り浸ったりしないよね?

「ここが私の部屋……です……」
「へぇ、結構デカいね」
「本物のお嬢様かよ、感じ悪いな」
「ご、ごめんなさい……」
そんなの私のせいでもなんでもない……。
二人は私のことなんて無視して部屋を漁り始める。

「あ、下着発見!」
「よし、全部紙袋に入れろ」
「了解!」
ま、まさか……。

「あの……」
「あ?なに?文句あんの?」
「いえ」
ブラもパンツも全部袋に入れられた。
この時間じゃ洗濯にも出してないし、このままじゃ本当にこの下着しか履くものが無い。

「一応もう一回言っとくけど、私らに逆らったらお前の恥ずかしい動画学校中のやつに回す」
「はい……」
すでに弱みは握られている。
先ほどたくさん撮られた写真は、一枚だって見られたらお終いなのだ。

「じゃあカメラの設置始めるね?」
「おう、私はこいつに新しい暮らしについて教えとくわ」
カメラ?なんのこと?

「おい、今から説明すること破ったら例の写真を回す。それを踏まえてしっかり聞いてろ」
「はい」
今はそっちを気にしている暇はない、説明を聞かなくてはこの人は本当にやりかねない。

「私たちから連絡があったらすぐ返せ」
「はい」
「あと明日から昼飯はカツ丼な」
「カツ丼?」
「5分以内に完食しなきゃ罰ゲームだから」
「そんなすぐには……」
「吐いてでも喰え」
「はい……」
「コンビニに売ってるやつでいいから」
お金は自分持ちなんだろうな……当たり前か……。
実は太りやすい体質だから、正直本気で嫌なんだけど……。

「晩飯はカップラーメン、夜寝る前にもカップラーメンな」
「え?」
「二つずつにしよう」
「いや、その……」
「嫌なのか?」
「いえ、大丈夫です……」
夜だけで四つも?
でもバレる訳ないし食べたってことにしたら……。

「設置完了!」
「お、早いな」
「これに関してはプロ並みだからね!」
「もう携帯で見られるか?」
「もちろん!」
なんの話?

「お、映った映った」
「あんたの私生活はこれからあのカメラで撮影するから、いつでも監視できちゃうってわけ!」
「言付け守れなかったらすぐバレるから覚悟しとけよ?」
そう言いながら私に見せた携帯には、確かに今のこの部屋の様子が映っている。
一見分からないが、本棚の辺りにカメラが設置されたらしい……。
こんなの……あんまりだ……。

「今日はこの辺にしておいてやるよ」
「明日から調教開始だから今日は早めに寝た方がいいよ?」
「カツ丼買って行くの忘れるなよ?」
「忘れたらその時点で罰ゲームね」
二人はそのままさっさと帰ってしまう。
残された私はただ茫然とそれを見つめるしか出来なかった。

駄目だ、本当になにがどうなったのか分からない。
あまりに急に色々ありすぎた。

監視されている恐怖で、その日は眠れなかった。





次の日学校に着いた私は、突然来たメールを見てビックリした。
添付されていた写真には、靴箱で靴を履き替える私が映っていたのだ。
あの二人は小学生ではなかったのか?
でもいつでも監視していると言いたげなそれを見て、不正を働くことは出来なかった。

それからの日々は悲惨としか言いようがない。
お昼休みは皆が見ている前でカツ丼を必死に食べなくてはならない。
5分以内に完食する為にはなりふり構っていられない。
必死に口の中に詰めて急いで噛んで、お茶で飲み込むようにして食べる。
正直周りの人に見られながらこんな食べ方するのは嫌だけど、それよりも先輩と一緒に過ごせる唯一のお昼休みを無駄にする方が嫌だった。
先輩とはあの二人の許可がないと話せない。
今では命令通り、お昼は友達と食べるからと言って教室にいるのだ。

ちなみに初日に食べきれなかった私は、放課後にトイレ掃除と称して便器を舌で舐めさせられ、その様子を携帯の動画で撮って送らされた。
命令はいつもメールですぐに送られてくる。
やはり監視されているのだ。

次の日も食べられず、男子トイレにある小便器の消臭ボールを口に頬張って舐めさせられた。
もちろんすぐに嘔吐してしまい、その後始末として全て口で啜って飲まされた。
何度も吐いてやり直しになっていく内に慣れてしまい、最後には不快感を感じないまでになっていた。

三日目にはお昼のカツ丼もクリアし、夜に食べるカップラーメンも四つとも食べられるようになっていた。
その代償としてたった四日でお肌は荒れて、体重も3キロ太ってしまった。



部屋にいても心は安らがない。
不意にメールが来て命令されるのだ。

『一時間以内に枕の上で小便漏らせ』
必死に水を飲んで、言われた通りに自分の枕の上にオシッコをした。
その夜はビショビショの枕に顔を埋めて眠った。

『鏡の前に立って笑顔で全裸コマネチ、オッケーが出るまで続けろ』
鏡に映る自分があまりに滑稽で泣きたくなった。
夜の10時、近所迷惑になるのではないかと思うぐらいの声で、叫ぶようにコマネチと繰り返す。
全力でやらないと後でどうなるか分からないから。

しかし5分ほど過ぎたところで、いつまで続くのだろうと思い始める。
10分、20分経ってもメールが来ない。
腕が疲労で痛くなってきて、がに股で立っていたからか膝もガクガクいっている。
笑顔が固まって表情が動かない。
結局オッケーが出たのは1時間以上経った後だった。

『もうすぐ家に行くから玄関の前で全裸でオナニーしてろ。自分の外靴でマンコ擦ってやれ。開けた時濡れてなかったら罰ゲーム』
いそいで玄関に行って、扉の前で全裸になって靴を擦り付ける。
時刻は夜の1時、自分でなにをしているのかも分からなくなってきた。
出来るだけエッチな気持ちになる様に努力し、不慣れな手つきで刺激していく。
5分ほどした後に扉が開かれ、逝くまで扉は閉めないと言われた。

「う、うぅ!逝く!逝っちゃいます!」
「早くしろよ、人通るぞ?」
「はいい!逝く逝く!んんん!」
とにかく必死に靴の裏で刺激し続けた。
砂のジャリジャリとした感覚が妙に癖になる。
そう思った時私は自分に諦めがついた気がした。

「今から明日の作戦会議するから」
明日、そうか明日は日曜日。
真人先輩とのデートの日だ。
どういうこと?デートには行っていいの?

「あの……」
「明日は彼氏とデートなんだよな?」
「はい、行っていいんですか?」
私の携帯は時折彼女たちに見られているので、情報は筒抜けであった。

「もちろんだよ、お前には明日死ぬほど楽しんでもらいたいからな」
こいつが笑う時にロクなことはない。
でも最早私がこいつらに逆らうことなど出来ない。
これでもかというほどの弱みを握られているのだから。





「あ、リムちゃん!お待たせ!」
「先輩……」
「えっと……なんかイメージと違ってラフな感じなんだね?」
「は、はい」
お昼過ぎの駅前、待ち合わせ場所に来た先輩はいつもより格好良く見えた。
私服だからなのかな。

それなのに私は最悪のコーディネートだ。
いや、コーディネートなんてもんじゃない。
スカートはお気に入りのピンクのミニスカートだが、上はボロボロのTシャツなのだ。
しかもこのTシャツ、一週間お風呂に入っていない私よりクサいだろう。

なにせこれはさっきまで浮浪者が着ていた服なのだから。
ここに来る前に河川敷にいる浮浪者に声を掛け、没収されていた私の下着一式と交換してきたのだ。
もちろん彼女たちの命令で。

ちなみに今私は耳に小型の受信機を付けている。
彼女たちの指令は常にこれに直接流れてくる。
一つでも破れば全てをネットに公開するらしい。
でも今日全てこなせば解放してやるとも言っていた。
鵜呑みには出来ないが、そう思うと少しは心が楽になる。

「行こっか」
「はい」
先輩は優しい、こんな汚い格好の私を見ても何も言わない。
それにこの一週間避けていたことも追及しない。
なんで私なんかがこんないい人と付き合ってるのだろう。
待ち合わせ場所から歩き出し、信号待ちの為に立ち止りながらそんなことばかり考える。

『ケツを掻け』
私は耳に伝わる声を聴いてビクッとした。
先輩の隣で……気付かれないだろうけど、後ろの人には丸見えだ。
チラッと後ろを見るとサラリーマンのような人が数人立っている。
私は深呼吸してから出来るだけ分かりやすくお尻を掻き毟る。

『スカートの中に手を入れて掻くんだよ』
こんな所で……。
私は言われた通りにスカートが捲れない様に手を入れる。

『後ろの男どもの顔を見ながらやれ』
どこまで人を追いつめれば気が済むのか。
お尻を掻きながらそっと後ろを見る。
男の人が二人気付いている、驚いたような顔をしてこっちを見ているのだ。

『ケツ突き出して穴をしっかり掻き毟れ』
少しへっぴり腰になりながら、開いた肛門を爪で掻く。
すでに三人目に気付かれた。
それでも私は男の人たちの顔を見ながらお尻を掻き続ける。

「リムちゃん?」
「ひゃっ!」
「どうしたの?また違う世界行ってた?」
「は、はい!そうみたいです!」
「ははっ!変わらないなぁ、信号青だよ?」
「はい……」
急に話しかけられてビックリした。
それでもなんとかバレずにすんだようだ。

信号を渡って繁華街に向かう。
始めの目的地は映画館だからだ。
ちなみに今日のプランは全て彼女たちが考えた。
私は無条件にそれに従うより他にはない。



「そう言えば今日ってどこ行くの?リムちゃんが考えてくれてるんだよね?」
「はい……映画館です……」
「そうなんだ、なんの映画?」
「な、内緒ですよ……」
「えぇ?そうかぁ、楽しみだな!」
いつ命令が来るかと思うと、そわそわして話に集中できない。

『そこの路地の前で止まれ』
「真人先輩……ちょっと……」
「ん?どうしたの?」

『ちょっとここで待っててと言って路地に入れ』
「ちょっとここで待っててもらえますか?」
「ん?いいよ?」
私は路地に入っていく。
意外と狭いそこは、私がギリギリ通れるぐらいの路地だ。
このまま歩けば向こう側に出てしまいそうだ。
向こう側は確か大通りになっている。

『そこで野ションしろ』
「……は、はい」
聞こえないはずの返事をしてしまう。
いや、彼女たちはどこかで見ているのだ。
後ろを振り向くと、真人先輩の後ろ姿が見える。
気を使ってくれたのか、こちらを見ていない。
どうやら今がチャンスのようだ。

一週間履いたままの汚い安物の女児用パンツを下ろし、その場に座り込む。
先輩の方を向いて座るも、後ろは大通りから見えてしまっているだろう。
狭い通りなので気付かれることも無いかもしれないが、もし見られたら……。

私はすでに泣きそうになりながらその場でオシッコをした。
最近ではいつでも少量ならオシッコが出せるようになった。
いたるところでさせられたからだ。
電車の中で漏らさせられたり、朝起きた時にオシッコで顔を洗わされたこともあった。
もちろん漏らしたパンツを洗うことも出来ないので、このパンツは非常に汚く、そして私の大切な部分は最近痒みが酷くなっている。

『スカートの後ろをパンツの中に入れろ』
言われた通りパンツの中に入れる。
きっと後ろから見たら、魔法少女のバックプリントが丸見えだろう。

『大好きな先輩にいっぱい小便出たって報告しろよ』
「せ、先輩……」
「あぁ、大丈夫?」
「はい、いっぱいおしっこ……小便出ました」
「……え?えっと……」
「行きましょう?」
「う、うん……」
少し歩いた所で通りすがりのおばさんにパンツを指摘される。
私は顔を赤くしてそれを直し、そのまま映画館に向かう。
それでも先輩は私に大丈夫だよって声を掛けてくれて、優しく撫でてくれたのだ。
それだけでまた涙が出て来そうになるが、せめて先輩の前では泣きたくなかったので我慢した。



「ここか、知ってたけど始めてくるなぁ」
「そうなんですか?」
「今日はなに見るの?チケット買ってあるって言ってたけど……」
「これです」
指を指したのはオタク向けのセクシーアニメ。
かなりきわどい作品であり、私は身分証を提示しなければ入れないぐらいだった。
それでもやはり先輩は文句を言わない。
こういうのが好きなんだねとか言って、なんとか話を盛り上げようとしてくれた。

席に着くなり命令で先輩にひざ掛けを取って来てもうようにお願いした。
私は落ち着きなく周りを見渡す。
なんか暗そうな男の人が多い。
隣に座っている人もなんだか少し気持ち悪い。

『隣に座っている男がお前の新しいご主人様だ』
……ご主人様?
どういう……。

『気付かないか?そいつ、お前のクラスメイトだぞ?』
恐る恐る隣を見る。
確かに見たことがある、気持ち悪い印象だったので忘れていたが確かに……。
まさかこの人が私の様子を彼女たちに伝えてたの?
それにしてもご主人様って……。

『そいつはちょっとシャイだからな、命令はあたしらが出す』
なにを言ってるの?
この人がご主人様?
だってもうすぐ隣に真人先輩が……。

「おまたせ」
「ひゃっ!」
「ど、どうしたの?」
「な、なんでもありません!」
「そう?ほら、ひざ掛け」
「ありがとうございます……」
よく見ると隣の気持ち悪い人もひざ掛けをしている。

それから命令も無く映画が始まる。
始めっからセクシーシーン満載で、内容なんてほとんどないようなものだ。
正直見ていて不快にさえ感じる。
それでも先輩は私を気遣ってか苦笑いをしながら画面を見る。

『ご主人様のチンポを手で擦れ』
……い、今この場で?
隣を見ると男がニヤニヤしている。
本当にあの子たちと通じてるんだ。

男の手が私の手を取る。
ひざ掛けの下なので先輩には気付かれないだろう。

男の手に誘導されるように私の手が男の膝に……。
しかも触れたのはズボンではなく素肌。
な、なんでこの人ズボン脱いでるの?

徐々に私の手が男の中心に近づけられていく。
心の準備も出来ていない状態で、私の手に熱い物が当たった。
身体中の毛穴が開き、吐き気さえ催してきた。

『ちゃんと手扱きしてあげろよ?満足してもらえなかったら、どうなるか分かってるよな?』
やらなきゃ……やらなきゃ全部終わっちゃう。
今日頑張れば終わるんだ、だから……。

私はすでに固くなっているそれをそっと握る。
男の顔をチラッと見たら、気持ち悪い笑顔でこっちを見つめていた。
咄嗟に目を逸らしてそれを上下に擦る。
多分これでいいんだと思うけど……。

『ちゃんと相手の顔を見てやれよ、媚びるように笑うんだ』
言われた通りもう一度相手の顔を見る。
媚びるようにって……?
よく分からないからとりあえずぎこちなくだが笑ってみた。
男のそれは先っぽから出てくる汁で徐々にベチョベチョになり、不快感が増していく。
手の感覚を意識しない様に、出来る限り歯を食いしばる。
それによって私の笑顔はより不自然になっているだろう。

映画の音が虚しく響く中、私はただ先輩のことだけを考えるようにする。
男は映画が佳境に入ったからか、私の顔を見るのを止めて映画に夢中になっている。
私もそれのおかげで今は先輩の顔を見つめるようにしているのだ。
幸い命令は来ないので、このままでもいいらしい。

私が縋るように真人先輩の顔を見つめていると、先輩はそれに気付いて笑いかけてくれた。
しかも開いている方の手を、少し顔を赤らめながら握ってくれたのだ。
本来なら飛び上がるほど嬉しい出来事だ。
しかし今私は先輩を裏切るような行為をしている。
その後ろめたさから素直に喜べない。

「ひゅっ!?」
「どうしたの?」
突然声を出した私に驚いて小声で先輩が聞いてくる。

「い、いえ……大丈夫です……」
「そう?」
先輩は優しく笑うと、私の手をギュっと握り直してくれた。
優しくて格好良い、私の大好きな真人先輩。
でも……ごめんなさい……。

今私は下半身を隣の男に触られている。
パンツの上からだが、確実に大切な部分を弄ばれている。
咄嗟のことで声を上げてしまったが、私はこの人には逆らえない。

この一週間で変なオナニーを何回もさせられて、敏感になってしまっているそこを。
汚いパンツを擦り付けるように、何度も何度も無遠慮に……。
少し痒かったそこを擦られることで、徐々に気持ちよくなっている自分がいる。

「ん、はぁ……」
次第に男の指は私の中を刺激するようになり、それと同時に声が漏れてしまう。
自分ですら数日前は触ったことのなかった内部。
そこを今ほぼ初対面の男に許している。
おかしくなっているのは分かる、だけど……少し興奮してしまっている自分がいる……。

先輩の手を握る手に力が入る。
男のそれを握る手に力が入ってしまったからだ。
強く、速くそれを擦りだす。
それと連動して男の手も速くなる。
私は自分の快感を貪るように男のそれを扱いた。
そして先輩がもう一度私の握る手をギュっとした時……。

「っん!」
私は軽い絶頂を迎え、男も全てを私の手の平に吐き出した。
最後に見ていたのは、先輩でも映画でもなく男の顔だった。
自分の逝く時の顔を見せてしまった、それが酷く興奮する。
もう私は……戻れないのだろうか……。

『ザーメンをたっぷり手に取って、残さず全部顔に塗れ』
私は朦朧とする頭でその命令を聞き、言われた通り男の精子を顔にベタベタと塗った。
そしてそれから映画が終わるまでの時間、私は男の玩具として何度も逝かされながら精子の臭いを堪能した。



「お、来た来た!」
「おい!走れ!」
「はい!」
私は映画館を出てすぐに先輩と別れた。
用事があるからと言ったら少し残念そうに去っていった。
そしてサキたちの命令通り、集合地点にやって来たわけだ。
なんの変哲もない公園、時間も遅いので暗くなっていて辺りは見えにくいが、そこにいる二人を見間違えるはずもない。

「いやぁ、今日は面白かったよ!」
「お前にしては中々だったな」
「あ、ありがとうございます」
「じゃあ約束通り今日限り私たちはお前から手を引くよ」
「今までごめんね?怒ってる?」
「い、いえ……別に……」
怒ってるとかそう言う次元ではない。
しかし今更逆なでするようなことは、いくらなんでも出来はしない。
というか本当に解放してくれるのか?
あまり信じていなかっただけに喜びがいまいち……。

「てわけで、こいつがあんたの新しいご主人様だ」
暗がりの奥からやってきたその男は、先ほど映画館で会った……。

「私たちは手を引くから、今後はこいつの玩具にでもなって楽しんでくれ」
「じゃあ私達そろそろいくねぇ!?ばいばーい!」
私と男を放ったらかしにして、二人は去っていってしまう。
後に残されたのは気持ち悪く笑いながら、ブツブツ一人で喋っているこの人と私だけ。

「じゃあ、始めの命令……」
先ほどの独り言より少し大きめの声、それでもやっと聞き取れたぐらいの小さい声で彼は言う。
そこには絶望と恐怖を感じながらも、少しだけ興奮してしまっている私がいた。
[ 2014/04/11 18:34 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

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