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壊れちゃった世界01

壊れちゃったラジオさん共同制作の作品が出来ました!
その名もずばり『壊れちゃった世界』!
三話構成でドドンと全部持ってけ泥棒!
第一話は【続きを読む】から!


どうしよう、かなり緊張している。
正直ここまで緊張するのは想定外だ。

私はそこまで社交的な人間でもないが、友達が少なかったわけでもない。
新しい学校でも上手く出来るだろうと、なんとなく考えていたが……。

実際に教室の扉を前にして、嫌な汗が止まらない。
ここを開いて入って行ったあと、口を開ける自信がない。

いや、ミヤコは出来る子、元気な子。
自分を信じるのよ!ミヤコ!
大丈夫!やればでき……。

「では転校生を紹介します、矢部ミヤコさんです」
出来ないー!
もはや足が動く気配もないー!?

「あれ?矢部さん?入ってきてね?」
先生が心配して再度呼びかけてくる。
ダメだ!もういい!
こうなりゃ自棄だ!なんとでもなれ!

たとえ教室の中に入ったら、生徒全員異星人でも友達になってやる!
私は勢いよく扉を開き、カクカクした動きで教壇の隣へ向かう。

シーンとした教室に、ランドセルが無駄にガシャガシャと音を響かせる。
勇気を出して教室を見渡すと、みんながこっちを見てる。

どうすればいい!?
なんか喋らなきゃ!

私は静かに拳を握り、両手をゆっくり挙げて、満を持して叫ぶ。

「かかって来いやー!」
……うん、やってしまったな。

「……」
世界の時が止まる。
どうやら私は時魔法の素質があるようだ。

「ぷっ!なにそれ!?」
「きゃはは!矢部さん面白い!」
奇跡、それは前に進むものの前にのみ現れる物である。
私は幼いながらも大切なことを学んだようだ。

「ど、どうもー。矢部ミヤコでーす」
「よろしくね!」
「色白ーい!」
「可愛いねー!」
「あ、あざっす、あざっす」
「じゃあ矢部さんの席は、そこの空いてるところね?」
周りに会釈をしながら促された席に向かう。
はぁ、なんとかなった……か。

「えい!」
「はぎゃ!」
席に座ると同時に、頬を棒状の何かで刺された。
早速のイジメなのか!?

「あれぇ?かかって来いって言ってたのにぃ」
「はわぁ……」
自分でも混乱しているんだが、説明しよう。
私の右隣の席、そこには妖精がいたんだ。

不思議そうな顔で私を見るその子は、短めの黒髪に和風の顔立ち、日本人形を萌えでデフォルメした様な奇跡の工芸品である。
でも服装は柔らかそうなピンクのワンピースで、ギャップの合わせ技で一本です。

控えめなボディーは未だ大人への成長を感じさせず、小さな身長と相まって破壊力抜群。
ごめんなさい、ミヤコ、生きててごめんなさい。

「ちょっと伊織?ダメでしょ?転校生困っちゃってるじゃない」
逆隣りの席から誰かが話しかけてくる。
誰じゃい!私と妖精との邂逅を邪魔する輩は!

「ごめんね?この子悪気はないのよ?」
「へさぺー」
思わず私が謎の呪文を吐いてしまう程の美少女、否女神がそこにはおらしたのじゃ。

揺れるツインテールは金色に輝き、きめ細やかな肌はモッチリと潤い、その唇はサクランボのように赤い。
妖精が和の美少女ならば、女神は洋の美少女と言えよう。

何てことなさそうなTシャツと、黒のミニスカートは恐らくお高いんでしょう?
ええ、これはそりゃあお高いものです。

はい!ミヤコこれ知ってます!
雑誌に載ってた人気のブランドのやつですよ!?
私のお小遣いの何十倍もするやつですよ!?

「あ、アバンギャルドですね!」
「え?……あば?」
アバンギャルドってなんじゃい!
意味知らねーよ!

「クスッ!ホント面白いわね!」
「ありがたき幸せ!」
「私は結城真珠、よろしくね?」
「結城さん……」
「真珠でいいわよ?」
「う、うん!真珠さん、よろしくね!」
真珠さん……なんて麗しいお名前……。
私ごときが呼んでも死なないかな?

「伊織は吉木伊織だよぉ?」
「吉木さん、よろしくね?」
「伊織だよ?」
「よろしくね?伊織さん」
伊織さん、マジ天使。
抱きしめたい……。

「ほらほら!続きは休み時間ね!授業始めるわよ!」
何はともあれ、私の学校生活は順調に始まったと言えるだろう。
てかこの席贅沢すぎだわー。



休み時間の質問攻めも終わり、給食の時間になるころには、ある程度私も落ち着いて周りを見ることが出来るようになってきた。
判ったことは伊織ちゃんと真珠ちゃんも、一応人類であるということ。
そしてクラス全体が可愛い子ばかりだということだ。

なんだこのクラス、顔で選んでるのか?
なんて発言をしたら、自意識過剰に思われるので止めておく。

でもその代りなのか、男の子達はなんだかパッとしない子が多い。
ちょっと言い方は悪いけど、暗そうな子とか、女子に嫌われそうな子が殆どのようだ。

うら若き乙女である私は、少しばかり新天地での出会いに期待していたので少し残念。
美少女は全世界の宝なので大好きだが、普通に男の子に恋したい年頃のミヤコなのです。

「ミヤコちゃん、一緒に食べましょう?」
「うん!はぁはぁ、真珠ちゃんとご飯だぁ、はぁはぁ」
「ミヤコちゃんは早々に自分を隠すことを止めたわね……」
私が女でよかった!
男だったらアウトですからね!

「ミヤコはすでにアウトですよぉ?」
「心が読まれてるっ!?」
「でも好きー」
「タギルワー!」
腰に抱き着いてきた伊織ちゃんを、高速で撫でまわす。

「もう、落ち着きがない子ねぇ」
「真珠ちゃんは大人だなぁ」
「そんなことな……どこ見て言ってるの?」
「乳ですがな」
「乳言うな」
「真珠おっぱい大きいのぉ」
「ちょっと!恥ずかしいんだからあんまり言わないで!」
「照れる真珠ちゃんを写真に撮ってお守りにしたい」
「なんで!?てかせめて心の中で思ってて!」
「私のこと思っててとかそれもう告白じゃん!」
「違うわよ!」
「真珠ばっかりミヤコと仲良しなのは、腑に落ちないのさぁ」
「伊織ちゃんも愛してる!」
「ミヤコ、苦しい……」
伊織ちゃんを抱きしめてついでにお尻も触っておく。
合法ですよね?

「ミヤコちゃんも可愛いのに、そんなんじゃ男の子に引かれちゃうわよ?」
「ミヤコは下賤の民ゆえ……」
「えぇ?ミヤコ可愛いよぉ?髪ふさふさぁ」
「これはテンパですのよ……」
よくパーマを掛けていると勘違いされるこの髪は、ちょっとしたコンプレックスである。
セットが大変だし、似合わないし最悪だ。

「お人形みたいで可愛いわよ?お金を掛けずにそんな髪型なんて羨ましいぐらいよ」
「そう……かな?」
「それにエクボがキュートだよぉ」
「え、えへへ……」
「肌も真っ白だし」
「インドアなもんで……」
「ギュってするといい匂いがするぅ」
「安物のボディーソープですが……」
やめてー!
これ以上ミヤコを褒めないでー!
居た堪れない!

「そうだ!ミヤコちゃん、今日暇なら放課後遊ばない?」
「え!?いいの!?」
「街を案内するわよ?」
「伊織も行く!」
「伊織ちゃんまで!?」
「じゃあ三人でブラブラしましょ?」
「うん!ありがとっ!」
本当にこの街に来てよかった。
こんな可愛いお友達が、一度に二人も出来たんだもん。
ミヤコは幸せ者だ。



この時は明るい未来しか見えなかった。
いや、想像なんて出来るわけない。

確かなことは、幸せな学校生活は、そう長くは続かなかったということだけだ。



あれから一か月、学校に行くのが楽しみで仕方ない私は、駆け足で家を出た。
見慣れない街は、三人での思い出に彩られて、私の住む街に変わっていた。

いつもの通学路を抜けると、校門で待つ美少女が二人。
こちらに気づいて手を振っている。

「おはようミヤコちゃん」
「ミヤコおはよぉ」
「おはよう!二人とも!」
いつものように挨拶をして、いつものように校門を潜る。

そしてふと何か違和感があり後ろを振り向く。
私が目にしたのはあり得ない状況だった。

「おはよ!」
「おはよー。あ、サチ髪切った?」
「前髪だけね?」
ふと足を止めて見てしまう。
多分上級生である二人は、なにか顔に被っている。

「結構似合ってるよ?」
「え?ホント!?よかったぁ!」
いやいや、それ本当に前髪見えてるのか?
いや、問題はそこじゃない。
あれって……パンツじゃない?

「あ、じゃあこれ……」
「うん、私のも……」
二人はやっと顔に被ったパンツらしきものを脱ぐ。
そしてお互いに交換して……。

「はむ……じゅじゅじゅっ、うげー!しょっぱい!」
「おしっこ付いてた?ごめんね?レロレロ、うぅ、臭いきついね?」
「ごめんね?でも結構汚れてるでしょ?」
「うん、一週間?」
「そう!頑張ったでしょ?」
「オリモノが凄い付いててオシャレじゃん?」
「サチのもおしっこの染みが広がってていい感じ!白だし判りやすいね」
「あ、知ってる?便秘の時は棒を突っ込んで、中で捏ねるとバッチリ汚れるんだって!」
「へぇ、新情報だね」
互いのパンツを咥えている。
あまりにシュールな光景に、脳がついていかない。

「ミヤコちゃん?行かないの?」
「あ、あの……あれ……」
「あぁ、パンツ交換?」
「パンツ……交換……?」
「上級生の間で流行ってるわよね」
「え?流行り?なにが?」
「ミヤコ知らないのぉ?汚れたパンツを顔に被るのが可愛いんだってぇ」
「え?二人とも……なに言ってるの……?」
「挨拶の時に交換して、汚れを舐めて品評するのが楽しいんだってぇ」
異常だ。
いや、私がおかしいのか?
だって誰も気にしてない。
男子は結構ニヤニヤしながら見てるけど、女子はみんなスルーしてる。

なにかの悪戯?
そんな……でも……。


「あぁん!逝きゅっ!逝きゅうううう!」
「なによ……あれ……」
今度は女の子が顔を赤くして歩いてくる。
スカートの中に傘の柄が入っている。
……あれで刺激してるの?

オナニーぐらい知っている。
私はしたことないけど、気持ちよくなるって……。
それが、あれ……なの?
でも、なんでこんな公衆の面前で……。

「はぁ、はぁ……あ、京子、おはよ……」
「おはよぉ、なに?傘でやってるの?うきゅうう!」
「京子は……割りばし?」
「朝急いでてさ、なにも持ってきてないから、コンビニのごみ箱あさって拾ったの」
「へぇ……ひゃん!でもそれも惨めっぽくていいかも……」
「でしょ?ひぎっ!そう考えるとまた濡れちゃってさ」
「あ、私途中で工事現場にあった三角コーンで、五回逝ったんだけどね?うぎゅううう!」
「ああ、あれ気持ちいいよね?はぁ……ふひぃ……」
「工事のおじさんたちが携帯でずっと撮影しててさぁ、ふにゅうう!マンコの中まで撮られちゃった……逝く!思い出してまた逝きゅううう!」
「それ凄いねぇ……ふひっ!いいなぁ……あぁん!あ、今日はあれやるの?」
「はぁ、はぁ……机の脚を入れるやつ?ちょっと怖いけど頑張ってみるつもり……」
「処女なのに大丈夫なの?ひぴゃあああ!ふぃ、わ、私は鉛筆入れてノート書くぐらいが限界かなぁ」
「結構みんな過激になってきたからねぇ。ふひゃ!先っぽ入ってきたぁ……」
「みいこなんて自分のウンコの臭い嗅いでオナってたからね。ふぅ……」
「ふぎゅう!ひぃ、ひぃ……す、すっごいオナラ出てたしね。まぁ私はそのオナラ嗅いでオナニーしてたんだけどね」
あれは……なんなの?
なんの話をしてるの?
スカートが捲れて、パンツ見えちゃってるよ?
男子が見てるよ?
なんで?

「ミヤコちゃん?大丈夫?具合悪いの?」
「いや、あれ……」
「あぁ、凄いお上品ね」
「……お上品?」
「無様にオナニーするのがお上品なんだってぇ」
「誰が言い出したか知らないけど、結構流行ってるのよ?」
「いやいや、流行りって言うか……」
二人とも何言ってるの?
真珠ちゃん、なんでそんな不思議そうな顔で私を見るの?
伊織ちゃん、伊織ちゃんからそんな言葉聞きたくないよ……。

「本当に大丈夫?保健室行く?」
心配した真珠ちゃんが私の肩に触れようとする。

「さ、触らないで!」
「……え?」
つい咄嗟に手を払ってしまった。
だって……なんだか二人が知らない人みたいで……。

「ご、ごめん!」
「ミヤコちゃん!?」
「ミヤコぉ?」
私は走って逃げてしまった。
でも逃げるってどこに?

運動場を駆け抜けて、校舎を抜ける。
中庭に出ると、そこではすでに学校についた生徒たちが遊んでいた。

辺りを見渡す。
正常な人を探すのだ。
きっといる。
こんなのおかしいって思っている人が、絶対に……。


「こんなのどうかな?プピュ!ピピョ!」
「あ、すごい!どうやってるの?」
「マンコの中に、空気入れで空気を入れるの。それで空気を出すんだけど……こうやってね?マンコの形を変えたら音が変わるんだぁ」
「へぇ、おもしろいじゃん!私はね!これ!」
「クリトリスに糸?なにするの?」
「この先にいろんなもの付けて持ち上げるの!」
「へぇ、気持ちよさそう!」
「昨日の晩試したんだけど、お父さん持ち上げようとして気絶しちゃった!」
「ちょっと赤くなってるもんねぇ」
「あ、見て見て、あそこ、近藤さんがいる」
「ホントだ。近藤さーん!」
「ふひゃっ!逝きゅううううう!」
「ダメだよ!近藤さんは凄く逝きやすくなっちゃったんだから!驚かせたら逝っちゃうよ?」
「そうだった。なんかどんな犬でも5秒で逝かされるとかって芸やってたんだっけ?」
「そうそう、チワワでも5秒で逝くらしいよ?で、最終的にちょっとした刺激で逝っちゃう体になっちゃったんだって」
「努力家だよねぇ」
「でもそのせいで、クラスの男子とかに給食食べてる途中とか、歩いてる時とか遊びで逝かされちゃうんだって」
「聞いたことある!トイレでも逝っちゃうんでしょ?潮吹きマシーンとか呼ばれてるって」
「ホント男子って子供だよね?」
「この時代一芸持ってない人間なんて、生き残れないっていうのにね?」
やばい、本当に気持ち悪くなってきた。
なにあれ?
バカみたい……。

もう、この学校に正気の人間はいないのだろうか?
それとも本当に私がおかしくなったのか?


「おかしくなんてないよ!」
その声に驚いて振り返る。

「絶対似合ってるって!」
「そうかなぁ、へへ、ありがとうね?」
そこにいたのは二人の女子。
どうやら私に言ったのではなかったようだ。

例えそうだとしても、私にとってプラスになる発言ではなかっただろうが。
なぜならこの二人も狂ってるから。

「ほら、スカート捲ってもっとよく見せて?パンツも下してよ?」
「うん、恥ずかしいなぁ……」
「絶対今の方が可愛いって!」
「ちゃんと歯形ついてる?」
「うん!バッチリ!クリトリスちぎれそうになってるもん!」
「由美子が噛んでくれたんだよ?」
「うん、親友の証ね?」
「うれしい……サチは何してほしい?」
「そうだなぁ……」
「そういえば、さっき二組の子が、相手の乳首と自分の耳たぶ接着剤でくっ付けてたよ?」
「そんなことしたら、由美子の可愛い顔しっかり見れないじゃない!」
「も、もう!サチったら!……恥ずかしいからあんまり大声で言わないでよ」
「ふふっ、ごめんね?よし、じゃあ決めた。ちょっと待ってね?」
「なにするの?爆竹?」
「これを……ひぎいいいい!」
「凄い……尿道に入れたの?」
「ほら、由美子……火を点けて?」
「尿道壊していいの?」
「親友の証ね?」
「うれしい!じゃあ火を点けるね?」
「うん……」
「あ、点いちゃった」
「あぁ、ドキドキする……」
ちょっと!止めなきゃ!
そう思って駆け出そうとした瞬間。
パンッ!という乾いた破裂音が聞こえた。

「ひ、ひぎゃああああ!あじゅいいい!いぎゃいい!いぎゃいいいい!」
「ありがとうサチ、凄く嬉しいよ」
股間を抑えて転げまわる親友を見て、涙を流して喜んでいる。
それを周りの男子たちが笑いながら見ているのだ。

確信した……もはや正気なのは私だけ……。
どうしよう、ここにいたら私もいつかは……。

ん?待てよ?
男子が……笑ってる?

もしこれも流行りとやらなのだとしたら、男子はなんでそれを笑う?
女子の流行を見て笑ってる?
あんな堂々と?

もしかして、男子はこれが普通じゃないことをわかってるのでは?

意を決して話しかけてみる。

「ね、ねぇ……」
「ん?なんだこいつ?」
「なんか見せてくれんの?」
「じゃなくて……さ?みんな変じゃない?」
「変?って……なに?」
「いや、だからさ?こんなことして、どうかしてるって……」
「おい、こいつまさか……」
「お前ら、行くぞ」
「うん、報告した方がいいよな?」
「え?あの!ちょっと待って!」
男の子たちは去って行ってしまった。
あの感じ、確かに正気だったはず。

でも報告するって言ってた。
もしかして言わない方がよかったのかも……。


結局教室へ戻り、席に着いた。
心配だったが、今のところうちのクラスはおかしなことにはなっていない。
でも流行りのことは伝わっているらしく、しかもそれがおかしなこととは思っていないようだ。

真珠ちゃんと伊織ちゃんには、絶対流行りに乗らないように厳重注意しておいた。
他のみんなにも言っておかなきゃな……。
流行りと言うだけあって、乗る乗らないは自分の意思らしいし。

でもこれは問題を先送りにしただけだ。
根本的な解決にはなっていない。

変な流行が学校で流行り始めた原因を調べなくては……。


「はい、じゃあ授業始めますよ」
先生がやってきた。
見たところ不自然はないが、油断は出来ない。
なにが起こるか分からないから……。

「この時間は算数のはずでしたが、今日は特別授業です」
ほら、嫌な予感しかしないじゃないか。
きっとおかしなことを言い出すに違いない。
私がいる限り、真珠ちゃんと伊織ちゃんがいるこのクラスで、好き勝手はさせない!

「一か月前に提出してもらった課題の発表会をしたいと思います」
先生疑ってすいませんっした!
めっちょ普通の授業だったと。
ちょっと主人公スイッチ入った自分が恥ずかしいです。
ミヤコ、反省です。

しかしこの闘志、どうしてくれようか。
振り上げた剣は戦うためじゃないって、林原さんも言ってたしなぁ。

「課題は記録に挑戦でしたね?みなさんよく出来てました。皆さんの作品は、学校のホームページに全て載せてあるので、いつでもどこでも見られますよ。そして今日はその中でも、更に優秀だった6人の作品を流すわね?まずは神原さん」
「わ、私ですか?あれ見られるのかぁ、恥ずかしいかも……」
さすがは神原さん。
成績優秀者はこういう課題もそつなくこなすねぇ。
自慢の黒髪ロングを揺らしながら、照れている神原さん。

無駄に豪華仕様なプロジェクターが下りてきて、映像が流れる。
映像作品だったのか、普通に凄いなぁ。

映ったのは神原さんの自室と思わしき場所。
そこには蝋燭が何本も立っている。

でもなんか変だなぁ。
……あ、蝋燭に火が点いてるのに、電気も点いてるんだ。
灯りじゃなくて、別のことに使うのかな?

「じゃあ、これからお尻で蝋燭の火を何本消せるか挑戦します!」
映像の中の神原さんは、生まれたままの姿でフレームインしてきた。
一瞬思考がストップした。

今なんて言ったの?
お尻で蝋燭の火を消す?

なにそれ?
誰がやるの?
芸人さん?

なんで神原さんは裸なの?
全部見えちゃってるんだよ?
男子も見てるんだよ?

「行きます!ひぎいいい!熱いいい!」
神原さんは本当にお尻を押し付けて、蝋燭の火を消していく。
涙を流しながら、賢そうな顔が歪んでいく。

「焼けでりゅうう!お尻焼けちゃううう!」
止めてよ……。
そんな危ないこと……なんでやるの?

「ひゃぎゃあああ!あっ!あぁ……」
ジョロジョロとおしっこが出てくる。
映像の中の神原さんは、顔を抑えて震えているが、肝心の部分は隠せていない。
出てくるところが丸見えである。

全てが出きったところで、手をどけて真っ赤な顔ではにかむ。
それを見た男子たちは声を出して笑っている。

席にいる実際の神原さんも、映像と同じように困ったような顔で笑っている。

「ふぅ、ふぅ……えい!ひぎょっ!?あじぃぃいぃいい!なんでえええ!?あじゃああ!」
今までも凄い悶えようではあったが、それ以上に熱がり転げまわる神原さん。
よく見るとお尻の穴に蝋燭が挿さってしまっている。

「挿さった!挿っちゃってりゅうう!お尻壊れちゃうううう!」
ちょうどカメラにお尻を突き出すようなポーズで止まった神原さんは、必死に蝋燭を抜こうとするが、蝋が固まってしまっているのか、手が滑るのか、なかなか抜ける気配がない。

「もう時間がない!」
焦った神原さんは、そのまま続行するようだが、お尻に挿さったままではやり辛いようだ。

「あ、そうか!こっちで!」
なにを思ったのか今度はお尻ではなく、女の子の大切な部分で火を消そうとする。

「ひ、ひぎいいいいい!しゃぎゃああ!ほひっ!ほひっ!」
白目を向きながら、自慢の黒髪を振り回して悶える。
それからしばらくして、部屋にあった全ての蝋燭の火が消えた。

「お肉の焼ける匂いがすゆぅ……」
汗だくで倒れたまま、うわ言のようにそんなことを呟いている。
そこで映像は終わった。

「最後のまとめが出来てなかったけど、努力は素晴らしかったです!みんな拍手!」
みんなの拍手を照れながら受け入れている神原さん。
それをぼーっと見ていた私だったが、すぐに正気に戻る。

「ちょ!ちょっと先生!こんな映像流して何考えてるんですか!?」
「矢部さん?どうしたの?」
「だってこんなの!おかしいです!もう止めましょうよ!」
守らなきゃ!みんなを!もう課題は提出済みかもしれない、それでもこれ以上の恥をかく必要はない!
男子たちは正気なのだ。
真珠ちゃんや伊織ちゃん、いや、それだけじゃない!
みんなの尊厳は私が守るんだ!

「ちょっとミヤコちゃん!神原さんに謝って!」
「……え?」
なぜか隣の席の真珠ちゃんが、すごい剣幕でこちらを見ている。
綺麗な顔で睨まれると、正直凄い怖い。

「ミヤコぉ……酷いこと言っちゃダメだよぉ?」
「伊織ちゃん?」
伊織ちゃんまで、悲しそうな顔で私を見る。
そして神原さんは……泣いていた。

「あんなに頑張って撮った映像を、こんな映像とか!おかしいとか!酷すぎるわよ!?ミヤコちゃん!ちゃんと謝って!」
「だ、だって……みんなの為を……」
真珠ちゃんまで涙を流して私を睨み続けている。
クラスの女子もみんな怖い顔で私を見ている。

「あ、あの……ごめんなさい……」
「ミヤコは朝から調子悪かったぁ。だから許してあげてぇ?ちょっと疲れてるのかもぉ」
伊織ちゃんがフォローしてくれて、その場は収まった。

……私が悪いの?
違う、私は正しい。
でも、やり方は間違っていたかもしれない。
今は……大人しくしている他ない。

「矢部さん?神原さんも、大丈夫?」
「はい……」
先生の問いかけに、渋々答える。

「は、はい、大丈夫です。ちょっとビックリしちゃって……。ごめんね?矢部さん。泣くつもりなんてなかったの……」
神原さんは私を悪者にしないように、気を使ってくれていた。

「い、いや!私が悪かったの!ホントごめんね!?」
本当にごめんね……。
絶対助けてあげるから……。


「じゃあ気を取り直して、次の発表ね?次は川本さんね」
「え!?ウチのやつ!?まっじでぇ!?」
川本さんは派手目な恰好の女の子で、年上の彼氏がいるって噂だ。
オシャレとかに敏感で、休みの日とかは化粧もするらしい。

でも気が良くて、楽しい子だ。
私も何度か遊んだことがある。

今度はもうなにも言うまいと誓い、映像を見つめる。
今度も自分の部屋かな。

「えーっと、ウチはオナラだけで会話が成り立つかに挑戦したいと思います!」
ツッコミもしちゃだめなのかな……?

「相手はウチの彼氏!もうすぐ来るんで、ちょっち待ってて!」
するとすぐにチャイムが鳴り、部屋に男の人がやってくる。
私たちより二歳年上とのことな彼氏は、優しそうなイケメンだった。

「突然呼び出してどうしたの?」
ソファーに座った彼氏の問いに、川本さんは一見無反応だ。

「アヤ?」
見かねた彼氏さんが、心配そうに川本さんを見つめた時、可愛い音が鳴る。

「ぷぴっ!」
「ぁ……」
彼氏さんは気まずそうな顔をして目を逸らす。
気を使ってるんだろう。
下手だけど気づかなかった振りをしている。

「そ、そう言えばアヤの部屋来るのって初めてだっけ?」
「ぷっぷ!」
彼氏さんの目が泳いでいる。
気まずい沈黙が続く。

「あの……具合悪いなら帰ろうか?」
「ぷーぷっぷ!」
川本さんはオナラを出すのに夢中で、凄い顔になっている。
少なくとも彼氏の前でする顔ではなかった。

川本さんは、彼氏の前では少し猫を被っているって言ってた。
ずっと憧れてた先輩だから、いつもの自分でいられないって。

でもそんな照れてる姿がとっても可愛くて、いつか私もああなりたいって思ってたのに……。

「アヤ?本当にどうしたの?」
川本さんは不意に立ち上がり、その場でパンツを脱いでお尻を突き出した。

「この時はね!音が聞こえないのかもって思って、パンツ脱いで相手の顔にお尻近づけてみたんだ!」
席に座っている川本さんから、補足の説明が入る。

「ちょっ!ちょっとアヤ!なにしてんの!?」
「ぷっぶうう!」
「うっ!」
彼氏の顔があからさまに歪む。
臭いがダイレクトに顔に当たったのだ。

「ぶふっふぅぅ!ぼふっ!」
「ちょっと!アヤ!止めろって!」
「ぶひゅー!」
音も小さくなっていき、これで打ち止めかと思ったその時。

「びゅひゅっ!」
「うわっ!きったねええ!」
オナラと一緒に実まで少し出てしまったようだ。

「うげええ!顔についた!なんなんだよ!もう!俺もう帰るからな!」
「ぶりゅりゅりゅ!ぶちゅっ!」
彼氏さんがフレームアウトした後、しばらく川本さんがただ部屋の中で排泄する映像が続いた。

「ふぅ、結果は見ての通りです!失敗!……すいませーん!」
そこで教室から笑いが起こる。
実際の川本さんも一緒になって笑っている。

「はい、失敗したものの、素晴らしい研究結果でした!みなさん拍手!」
今度は私も何も言わない。
これ以上言ってもヒンシュクを買うだけだから。


「次は間島さんです」
「ぁぅ……私……ですか?」
間島さんは恥ずかしがり屋で、あんまり話したことはない。
でもいつも教室の花瓶の水を変えていたり、黒板を消していたりと、自分のできることでクラスに貢献しようとする、頑張り屋さんであることを私は知っている。

映ったのは駅前の大通り。
日曜なのか人通りも激しい。

そこからすぐに、ビルとビルの間にある隙間へとカメラは進む。
そこには裸の間島さんがいた。

「ぅぅ……」
映像は他の誰かが撮影しているのか。
間島さんは見るからに震えているが、しばらくして決心したのか、大股を開いてガニ股になる。
そのまま顔を両手で覆い、小さい声でうなり始めた。

「ふぅぅ……んん……はぁ!」
すると間島さんのお尻から、少し太めの尻尾が生えてきた。
そう、間島さんは野外に関わらず排便しだしたのだ。
しかも裸で、撮影もされているのに……。

「こ、このまま走ります……」
消え入りそうな声でそう言うと、本当にガニ股のまま走っていく。
驚くことに便は未だお尻から垂れ下がっており、走っても切れていない。

間島さんは人通りの多い道を、全裸に大便を垂らして走っていく。
しかも大切な部分も顔も全て丸見えなのだ。

「お、おかあさーん!見てー!」
近くにいたらしい母親を大声で呼ぶ。

「ちょっと!なんて恰好なの!?」
間島さんのお母さんは、心底驚いてあたふたし始めた。

「私!立派にウンコできるようになったよ!」
「風邪ひくから服を着なさい!」
そこじゃないだろうに……。
サラリーマンや学生など、男の人たちが集まって、面白そうに見ているか、携帯で撮影している。
そして映像はそこで終了。

「間島さんは100メートルも走れたのよね?これは凄い努力だと先生は思います。恥ずかしいのによく頑張ったわね」
先生がそう言うと、間島さんは顔を赤くして下を向いてしまった。
恥ずかしい映像を見られたからではなく、褒められたことが恥ずかしいという感じだった。
あんな大勢の人に、生き恥を見られて、撮影までされているのに……。


「次は橋田さんの作品です」
「あ、私の?えへへ、いいのかなぁ?」
橋田さんは妹がいるからか、面倒見がよくて年下の知り合いが多い。
私も初めのころはよく助けてもらっていた。

橋田さんの映像は、学校で撮られたものだった。
でも私たちの教室じゃない。
これは……3年1組……橋田さんの妹のクラス?

「じゃあみんな!鬼ごっこだよー!ちゃんと逃げてねー!」
「「「「はーい!」」」」
恐らくそのクラスの女子全員がいるのだろう。
15人ほどの女子が、掛け声と共に教室内を逃げ回る。

「よーし行くよー?」
普通に年下と遊んであげているようにしか見えないが、きっと何かあるんだろう。

「捕まえた!」
「あはは!やめてー!」
捕まった女の子は、楽しそうに笑っている。
そして橋田さんは、迷いなくスカートの中に手を入れて、パンツを脱がしてしまう。

「きゃはは!くすぐったいよ!」
「行くわね?」
「きゃは……ぎ、ぎゃあああああ!」
さらにスカートの中に手を入れたと思うと、突然女の子は叫び始めた。
涙を流して身悶えるも、体格差から逃げられない。

「よし、一人目ね?」
なにを……してるの……?

倒れて泣いているその子を尻目に、橋田さんは次の子を捕まえに行く。

「二人目捕まえた!」
「やぁーん!」
やはりまだ楽しそうだ。
あの子の状態を見ていたはずなのに……。

今度はズボンだったので、ズボンごとパンツを脱がせた。
そして橋田さんは、小さな自分の手で拳を作り、そのままその子の大切な所に当てる。

「行くね?」
「触っちゃダメだよぉー!」
「えい!」
「にぎいいいい!いだいいい!いだいいい!」
まさかとは思ったが、無理矢理にその子の大切な部分に、握り拳をねじ込んだのだ。
例のごとく暴れまわる女の子を押さえつけ、橋田さんは笑顔で拳を引き抜く。

「お姉ちゃん……痛いよ……」
よく見るとその子は橋田さんの妹のようだ……。

「我慢しなさい?」
それだけ言って次の標的に向かって走っていく橋田さんの拳は、血で染まって真っ赤になっていた。

順調に数を減らしていき、今や教室にいた15人ほどの女子は全員床に転がって泣いていた。

「はい、みんな立ってー?最後の挨拶だよ?」
そう言って痛がるみんなを無理矢理立たせて前に集める。
その真ん中に立った橋田さんは、血だらけの手で掃除用のモップを掴んだ。

「じゃあ最後に……」
スカートとパンツを脱いで、モップの柄を自分のそこに当てると、みんなを見て「せーの」と声を合わせる。

「「「「上手に破けましたー!」」」」
ピースしながらみんなが言い、橋田さんはモップに体重をかける。

「い、いぎゃああああ!」
勢いよく突いたモップは、橋田さんから生えているかのように、突き挿さっていた。

それを見て笑う年下の女子たちに、モップを揺らされたり蹴られたりするたびに、橋田さんはビクビク痙攣したり泡を吹いたりしていた。
それを見ながら私のクラスの人たちも笑っているのだ。
真珠ちゃんも、伊織ちゃんも……。
それがなにより悲しい……。

「橋田さんの人徳があってこその挑戦でしたね。とてもよかったです」
「えへへ、ありがとうございます」
照れる橋田さんを拍手で称賛し、次の発表に移る。


「次のやつも凄いわよ?元木さん、よく頑張ったわね」
「え?私のやつ?失敗したのに!?うわ!嬉しい!」
元木さんはアイドルを目指していて、オーディションを受けたり、駅前で歌ったりと精力的に活動している。
夢に向かって歩む元木さんを、私は尊敬していた。

元木さんの映像は、間島さんと同じ駅前から始まった。
一度見に行ったことがあるから知っている。
ここは元木さんがいつも歌を練習歌っている場所だ。
人前で歌うことに慣れるためにって、振り付けしながら歌っているのだ。

映像はすでに元木さんを捉えている。
周りには大勢の男の人が集まっていた。

私が見に行った時も、何人かファンみたいな人がいたけど、三人ぐらいだった。
でも今は凄い人だかりだ。

それはそうだろう。
凄く可愛い元木さんが、全裸で立っているんだから……。

「じゃあ皆さん!今日は私が記録に挑戦するので、応援しててくださいね!」
「「「イエーイ!」」」
「なにするのー!?」
「最大の潮吹きに挑戦しまーす!」
「ひゃはは!すげー!」
「こんな小さい子が!?」
「かなり可愛いのにな!」
「録画録画!」
周りのテンションはうなぎ登りだ。
潮吹き……ってなんだろう……。

「じゃあ準備しますね?」
元木さんはそう言って仰向けになると、勢いをつけて足を天に向かって突き出す。
腰をそのままに足を広げて、大切な部分が丸見えの状態になった。

「行きまーす!」
周りのヤジを聞き流して、近くに置いてあったペットボトルを手に持つ。
なにをするの?

「えい!ひぃ!ひぎいい!痛い!痛いいいい!冷たいいいい!」
ペットボトルの口を開けたまま、大切な部分に挿入する元木さん。
中に入っていたコーラと思わしき液体が、体の中に入っていく。

半分ぐらいが入ったところでペットボトルを抜き取り、次になにかお菓子のようなものを掴む。

「はぁ、はぁ……じゃあ、行きますね!?」
掛け声と共にそのお菓子を大切な所に入れる。
なにがしたいの?

「うわ!あれメントスじゃねえか!?」
「あ!そういうことか!」
見ていた男の人たちはなにか気づいたようだ。
一瞬間が空いて、元木さんの目が見開かれた。

「いいい、いぎゃあああああ!中でえええ!暴れてりゅうううう!いぎいいい!」
叫び声とともに、元木さんの大切な部分からコーラが弾け出した。
ブシュー!という音が響き、すごい勢いで出たコーラは、重力に引かれて元木さんの体や顔を汚していく。

「ひゃあ、ひゃあぁ……ど、どうでしたか?」
「すっげー!」
「きゃははは!おもしれー!」
「バカみてえ!ふはは!」
男たちは元木さんを指さして笑っている。

「でもさ?それって潮吹きじゃなくね?」
「え?」
「そうだよな。俺騙されたわー」
「あ、あの!違う!」
「違う?潮吹きじゃないじゃん?」
「そ、それは……」
「ちゃんと潮吹き見せろよー!」
「え?あの……」
「ほら!その恰好のままオナニーしろよ!」
「猿みたいにマンズリ扱けよ!」
「は、はい!」
イチャモンをつけられて、焦った元木さんは言われた通り股を手で擦り始めた。
すると男たちの何人かが近づいてくる。

「手伝ってやるよ」
「ケツの方が入るだろ?」
「おい、新しいコーラ買ってきたぞ!」
「あ、あの……」
元木さんの言葉を無視し、男たちはお尻の穴にコーラを流し込む。

「ちょっ!?はぎゃああ!ひぎいいい!いたいいいいい!」
「黙ってマンコ擦っとけよ!」
「ほら!こうだろ!?」
「ひゃあああ!ひいいい!気持ちいいですううう!」
お尻の穴に入ったペットボトルは、内容物を全て元木さんのお腹に吐き出して空になった。

「じゃあお楽しみの……」
「メントス投入!」
「残り全部突っ込め!」
「うっわ!怖えええ!逃げろ!」
「ふははっ!」
男たちが逃げて、必死な顔で股を擦り続ける元木さんだけが残った。

「ひひゃ、はうん!……へ?ひ、ぎ……じぎゃああああ!あがああ!あがっ!ふひいいいい!」
お尻の穴からさっきとは桁が違う量のコーラが噴出される。
まるで噴水……いや、ホースのような勢いだ。

「いやああああ!逝くうう!逝きゅうううう!」
だらしなく舌を出して、白目のままの元木さんは、そのまま倒れこんでしまった。

「ちょっと失敗だったでしょ?」
映像が終わり、元木さんが可愛らしくピースをしながら言った。

「挑戦することが大切なので、成功や失敗は関係ありませんよ?よく頑張りました!拍手!」
「どーもどーも、えへへぇ」
元木さんはみんなにいつも通りの笑顔を振りまいていた。
あんなことがあったのに……。


「じゃあ次で最後ですね。最後は木野さん」
木野さんは動物が大好きで、特に家で飼っている大型犬をとても大切にしている。
写真も何回か見せてもらったし、私も遊んだことがある。

しかし木野さんの返事はない。
一週間近く休んでいるからだ。

なにか関係しているのか……。
木野さんの映像は、犬が映ったところから始まった。

「はーい!じゃあ私は、この大好きなロペと一緒に、記録に挑戦します!」
映像の中の木野さんは、私が知っている元気な木野さんである。
ロペも元気に尻尾を振っている。

「じゃあロペ?いっぱい気持ちよくなってね?」
そう言うと、木野さんは服を全て脱いでしまう。
そのままロペの後ろに回り……。
うわ……嘘でしょ?

「おちんちん舐めて気持ち良くしてあげるからね?」
「ぐうぅぅ……うわん!」
ロペは舌を出しながらその行為を受け入れる。
木野さんは少し大きめのそれを、口に含んで愛おしそうに舐める。

「ロペ、気持ちいい?大きくなってきたね?」
しばらく続けると、ロペの物は初めより大きくなった。
すると木野さんは、チューブのようなものを取り出した。

「私の挑戦は、ロペとどれだけ長い時間繋がっていられるかです」
繋がる……セックスするってこと?
犬と?
……出来るの?

「だからこうして……」
木野さんは自分の大切な所に、そのチューブの中身を塗っていく。
あ、あれって!?

「接着剤で着ければ、いつまでも一緒だよね?」
「わんっ!」
だ、ダメ!

「ふ……ひぎ!にゃいい!おっきいいいい!ひぐううう!すぐ逝っちゃううううう」
「ぐわん!わんうわん!」
ロペと逆を向いて、お尻を突き合わせるようにしてそれを入れた木野さんは、ロペが自由に腰を振るのに対し、引きずられながら振り回されていた。

「ひぎゃあああ!すごいいい!すごいよおおお!ふぎいいい!」
しばらくして先生が映像を早送る。

「ここから六時間後まで飛ばすわね?」
六時間……?
六時間もこのまま?

「あぁ……あったかい……ロペのおちんぽあったかいぃ……」
うつろな目で腰をヘコヘコ動かす木野さんは、体中傷だらけだった。
引きずられてできたものだろう。
ボロ雑巾のようになったその姿は、一見人とは思えないものだった。

「あ、ロペぇ……またおしっこ出てりゅうう……あったかぁい……」
大切な所におしっこされても、嬉しそうにヘラヘラ笑っていた。
しばらくして先生が映像を止める。

「次に映るのはここから一週間後、つまり今日の映像です。親御さんが届けてくれました」
一週間……まさか入院してるとか……?
しかしその考えは甘かった。
入院していてくれたほうがどれだけよかったか……。

「あはは……あは……」
映ったのは、虚ろな目で笑いながらご飯を食べる木野さんだった。
ご飯は犬用のお皿に入れられている。

そう、木野さんはまだ繋がったままなのだ……。
ロペが気にせず体を動かすたびに、木野さんが引きずられて動く。

お腹は大きくなって、まるで妊娠しているかのようになっている。
まさか本当に妊娠……は出来ないよね?

不気味に笑いながら糞尿を垂れ流す木野さんを映しながら、映像は止まった。

「木野さんのお腹が大きいのは、妊娠したからではなく、犬の尿や精子が膣内に溜まっているだけなので、勘違いしないようにね?」
先生はそう言うと、みんなが笑う。
だれも木野さんの心配なんてしていないように……。


「あの……先生……」
「どうしたの?矢部さん?」
さすがに気になって先生に問う。

「木野さんは……今も……?」
「そうね、ご両親も喜んでいたわ。ロペに丁度いいチンポケースが出来たって」
「……やっぱりおかしい」
私がそう言うと、またみんなが私を見る。
その目はさっきと同じ、軽蔑や嫌悪の目だ。
でも私は負けない。

「こんなの間違ってる!みんなおかしいよ!なんでこんなの見て笑えるの!?なんであんなこと平気な顔してやってるの!?おかしくされてるんだよ!誰なの!?ねえ!男子は知ってるの!?先生は!?誰がみんなをおかしくしてるのよ!」
「ミヤコちゃん……?」
「ミヤコ?」
私が取り乱して叫ぶと、真珠ちゃんと伊織ちゃんが心配そうに近づいてきた。

「はぁーい、全員大人しくなれー」
「え?」
その時、教室に誰かが入ってきた。
お父さんぐらいの年の男の人で、身長は小さく、お腹がだらしなく出ている。
ブツブツの顔に眼鏡を掛けたその人は、我が物顔で教室を闊歩する。

「お前が矢部ミヤコ?」
「は、はい……」
「ええっとぉ?なに?催眠が効いてないの?」
「催眠?……まさか」
この人が!?

「転校生なんだって?全校生徒に毎日少しずつかけてたから、途中からのお前は完全催眠までまだ足りなかったんだろうな」
「な、なにを……」
やばい、逃げないと!

「はい、ストップ」
「うっ!」
走り出した体が急に止まる。

「じゃあどうするかなぁ……面倒くさいし全部消しちゃうか……えい……」
「あ……れ……?」
男が私の額に指を置くと、頭がすぅっとする感覚がした。
なんか凄く気持ちいい……。
あは、あはは……。



「ミヤコちゃん、ミヤコちゃん!」
「ふ、ふえ?」
なに?私何して……。

「もう、授業終わっちゃったわよ?」
「え?……授業?」
なにそれ?
ええっと?

「ここ、どこ?」
「学校でしょ?なに言ってるの?」
「ふへぇ?」
学校?え?
ええっと、私どうすればいいんだっけ?

「あのぉ、私は……」
「ほら、なんて格好してるの?」
私は今、青いタンクトップと、黒の短パンを履いている……。

「この恰好じゃだめなの?」
「なに言ってるのよ、もう……学校なんだから当たり前でしょ?」
「そうだっけ?」
「ほら、手を後ろにして?」
「こう?」
後ろに手を持っていくと、なぜか手錠をはめられた。

「あの……手、動かないんだけど……」
「次は足ね?」
あれ?無視ですか?

「もっと開いて?そう、縛るわよ?」
「えぇ?」
足を大きく開くと、鉄の棒に足首を括られる。
これでは足が閉じれない。

「ちょっと疲れるんだけど……」
「我慢してね?」
ずっと足開いた状態なの?
腰を落とすと、ガニ股の状態になる。
短めのスカートが捲れて、下からパンツが見えてしまう。

「う、パンツが……」
男子がニヤニヤしながら見ている。
なんか嫌な感じがする……。

「それよりトイレ行きたくない?」
「あ、あぁ、確かにちょっと……」
でも歩くのが精いっぱいで、トイレなんてとても……。

「じゃあ待っててね?誰かぁ!男子!ミヤコちゃんがトイレしたいらしいの!」
「え!?ちょっ!なんで男子呼ぶの!?」
「ん?男子にマンコ蹴ってもらわないと出ないでしょ?」
「あ……そう……だよ……ね?」
痛そうだけど仕方ないよね……。
おしっこ出したいし……。

「よし!俺が蹴ってやるよ!」
「あ、ありがと……」
やって来たのはお調子者の男子だ。
意地悪ばっかりするから、女子には嫌われている。

「ほら!ちゃんとお願いしろよ!」
「え?あぁ……ミヤコ、おしっこ出したいから蹴ってくれる?」
「違うだろ!?お前は小便漏らしたいんだろ!?あとどこ蹴ればいいかわからん!それに蹴って下さいだ!」
注文多いなぁ……うぜぇ……。

「ミヤコは小便漏らしたいので、マンコ蹴って下さい」
「うおしっ!」
「ひぎっ!」
私がお願いすると、間髪入れずに股間を蹴り上げられた。

「いったぁいいい!」
それと同時におしっこが出る。
パンツと足、スカートまで濡れて気持ち悪い。

「次は糞漏らせ!いえいっ!」
「はぎっ!?」
なぜかお腹を殴られた。

「おい!糞漏らせって言っただろ!?」
「げほっ!げほっ!そんな急に……」
「次は漏らせよ!えいっ!」
「ふぐっ!ぷっ!」
しっかりとお尻に力を入れながら受けたが、オナラしか出なかった。

「おい!なに臭い屁扱いてんだ!あぁ!?」
「あ……ご、ごめんなさい……」
「ちゃんと謝れよ!みんなにも!」
「あ、あの……屁を扱いてしまってごめんなさい……」
「じゃあ次はしっかり糞漏らせ!」
「ふぎゅうう!」
またお腹を殴られ、今度こそウンコが出てきてしまった。

「ふはは!ホントに漏らしたよこいつ!」
体を無理矢理後ろに向けられ、スカートを捲られる。
みんなにウンコを漏らしたパンツを見られている。

「あ、あの……」
「あぁ?お礼か?」
そうか、こういう時はお礼を言うのか……。

「お腹殴ってくれてありがとうございます……」
「他には?」
「え?」
「他のお礼は?」
「あ、あの……おしっこも……マンコ蹴ってくれてありがとうございます……」
「屁も嗅いだぞ?」
「わ、私の臭い屁を嗅いでくれてありがとうございます……」
「汚いパンツまで見せられた」
「ミヤコの汚いウンコが付いたパンツを見てくれて、ありがとうございます……」
凄く恥ずかしいし、なんか悔しいけど……これが普通なんだから仕方ない……んだよね?

「ほら、汚れた服取ってやるよ!」
「う、あぁ……」
スカートをハサミで切られた。
汚れたスカートはそのままゴミ箱に捨てられる。

「きったねえパンツもな!」
「うぅ!」
ハサミの冷たい感触が肌につき、恐怖で固まってしまった。
幸い怪我もなくパンツは抜き取られ、顔の前に持ってこられる。

「おい、パンツ咥えて綺麗にしろ」
「……え?」
な、なんで?

「あぁ?出来ないの?普通なのに?」
「あ、あの……」
私はゆっくり口を開けると、すぐにパンツをねじり込まれる。

「うぐっ……」
「吐くなよ?ちゃんと噛んで綺麗にしろ」
「ふぁい……クチャクチャ……」
「濡れたマンコは腰ふって乾かせ」
「ふぁい……」
腰を前後に振りながらパンツを咀嚼する。
苦い味が口の中に広がる。

「おい、屁でも扱いたら早く乾くんじゃないか?」
「あ、そうか……」
頭いいな……。

「クチャクチャ……んっ!……ぷっ!」
「ひひゃひゃ!すっげえ!バーカ!バーカ!」
なぜだか涙が出てくる。
普通のことしてるだけなのに……。

「あの……」
「なんだ?」
「か、痒い……」
「どこがだ?」
「えっと……ま、マンコ……」
いくら腰を振っても乾くわけない。
次第に痒くなってきたのだ。
しかし手は後ろで止められているので、自分で掻くことは出来ない。

「じゃあ机の角にでも擦り付ければいいじゃねえか」
「そ、そうか……」
私はよたよたと歩いていき、自分の席の机にマンコを押し付ける。

「は、はぁ……ふぅん……」
なんだか気持ちいい……。
痒みも取れた……。

「ふひぃ……」
男子たちが私を見て笑っている。
でも仕方ない。
痒くなるのは生理現象だ。

「う……」
今度はお尻の穴も痒くなってきた。
便が付いたままだからだ。

私は後ろを向いて腰を突き出し、机の角にお尻の穴を擦り付ける。
しかし足を固定されているので上手くいかない。

「おい、いいもの貸してやるよ!」
「え?」
それは私のリコーダーだった。

「貸すって……それ私のじゃ……」
「あぁ?いらないの?」
「あの……いる……」
なんに使うのか分からないが、痒みをとってくれるなら。

「ほら、ここで持っててやるから、自分で入れろ」
「入れるって?」
「ケツの穴に入れるんだよ!わざわざ言われなきゃ分かんねえのか?バカだなぁ!」
「ご、ごめんね?うぐ……はぁ、はぁ、ひにゅ……」
お尻を突き出したまま寄っていく。
リコーダーの先が穴に当たるように、腰を動かして位置を探る。

「そうそう、そこだ、そこ」
「い、行くね?」
「なにするか説明してからな?」
「う、うん……ミヤコはお尻の穴が痒いから、リコーダーを入れます……」
「なんで痒いかが抜けてる。あとケツ穴だ」
「う、うぅ……」
私はもう痒くて我慢出来なくなって、大声で叫ぶ。

「ミヤコは!ウンコがこびり付いたケツ穴が痒いので!リコーダーをぶち込みます!」
「よし、やれ……」
「ひゃあいいい!ひぎいいい!はぁぁぁ……気持ちいい!はぎゃ!?」
「動かしてやるよ!」
「あ、ありがとうごじゃいまひゅうう!ふひゃああ!ひぎいい!ひゃあああ!逝きゅううう!ケツ穴で逝っちゃうううう!」
「はは!バカみたいな顔して逝っちまええ!」
「ひゃいいい!逝きましゅううう!逝ぐううぅぅ!」
私はビクビクしながら前に倒れる。
手は使えないので、顔をもろに打つ。
ケツにはリコーダーが挿さったままだ。

「ピー!ピュル!」
リコーダーが高い音を出した。
なんだと思ったが、私のオナラで鳴ったようだ。

そんな私を見ながら、みんなが笑っている。
暖かい友達を持ってミヤコは本当に幸せ者だ。
本当に、この学校に来て……よか……た……。
[ 2013/10/19 17:27 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

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