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移り気 中

移り気の二話目です。
今回は上・中・下の三話構成なんで、読むとき注意して下さい。
ちなみに紗々ちゃんのエッチシーンはここからでぇす。
本編は【続きを読む】から!





いつも通りお風呂に入り、いつもの時間にお布団に潜った。
いつもの抱き枕をギュっとして、お気に入りの曲を小さな音で聴く。

いつも通りなのに……全然眠たくならない。
音楽を消して、ベッドに座る。

あの男……なにがしたかったんだろう……。
私に会いに来た?

……なんで?
なんで嬉しいって思うの?

あんなやつ……どうでもいい……。
そう、むしろ嫌いだったのに。

ふと窓の外を見る。
カーテンがまだ届かないその窓からは、男の部屋がよく見える。

「電気……まだ点いてる……」
時計を見るともう夜の2時を過ぎている。
こんな時間まで起きてたの初めてかも。

あいつはいつもこんな時間まで起きてるのかな……。
パソコン見てる……。

なに見てるんだろう。
こっからじゃ見えないや……。

こんな風にあいつの部屋を見るのは初めてだ。
だって目が合ったら怖いから。

でも今は……。

「こっち……見ないかな……」
ふと口に出た言葉を聞いて、ジワッと涙が溢れた。

「なんで?……私、どうかしちゃってる」
あいつのこと……好きなんだ……。

じっと見つめるも、見えるのは醜悪な横顔だけ。
別に面食いなわけではないが、一般的に見てあれは無いだろう。
でも今ではあの顔が見たくて仕方ない。

こっちを見て笑ってくれたら……。
想像しただけで胸が熱くなる。

「名前……なんて言うんだろう……」
苗字は志原だったよね?
下の名前は?
年は幾つぐらいだろう。

私何にも知らないんだ……。

「お話……したいな……」
もう心に嘘はつけない。
勝臣への気持ちは未だ消えないが、それの何倍もの愛が胸を支配している。

あの人が好きな物……。

「そういえば……私のこと……」
愛してるって言ってくれてた。
今からお家に行ったら入れてくれるかなぁ?

だめだめ、非常識な子って思われる。
明日学校に行くときに挨拶するんだ。

「あぅ……」
ふとパンツを見られた時のことを思い出す。

「子供っぽいパンツだったかも……」
あの時はあんなに怖かったのに、今ではいい思い出になっている。

「なんか……嬉しいかも……」
エッチなことは嫌いだけど、好きな人なら……。



結局その日は、眠たくなってベッドに倒れこむまで窓の外を見ていた……。





「行ってきます!」
「あら……今日は早いのね?」
「うん!」
急いでランドセルを背負い、玄関に向かう。
昨日からお母さんの様子がおかしいが、正直今はどうでもいい。

早くあの人に会いに行かなきゃ!

急いで玄関を出て隣を見るも、人影はない。

あれぇ?いつもいるのに……。
ちょっと早く出たからかな?

隣の家の前をウロチョロ歩き回る。

勝臣を待ってる時はイライラして「早く来い!」って思うのに、今は全然苦にならない。
待っている時間すら幸せだ。

しかしそんなことをしている内に、始業時間を過ぎてしまった。

「うぅ……さすがに拙いよねぇ……」
皆心配しちゃうだろうし、学校行かなきゃ……。

会えなかった……。
いっぱい話したいことあったのに……。

でも家の前にいると、あの人の臭いがして心地よかった。
多分ゴミの臭いなんだろうけど、それすら愛おしいのだ。

風邪とかひいてないよね?
帰りも寄ってみよ。



結局学校に着いたのはかなり遅れた時間だった。
先生に怒られると思ったが、少し体調が悪くなったと言ったら案外怒られなかった。
むしろ保健室で休ませてもらえたぐらいだ。

寝不足は本当だったので、結局お昼まで寝てしまい、ご飯を食べてからの授業は上の空で聞いていた。
茉莉子ちゃんや勝臣が心配してくれてたけど、今はあの人のことで頭がいっぱいだ。
他のことを考える余裕はない。



「おい紗々、本当に大丈夫なのか?」
「……」
「紗々ちゃん?まだ身体悪いの?」
「……へ?」
「聞いとけよ……心配してんだぞ?」
「あぁ、大丈夫大丈夫、もう帰るし」
「おい間宮、紗々と一緒に……」
「分かってるぅ……紗々ちゃん?一緒に帰ろ?」
「あ、いいよ。私急いでるし」
「おい!待てって!」
「紗々ちゃん……」
なんなの?五月蠅いなぁ。
早くあの人に会いに行かなきゃならないのに……。

学校を出て、走って家に向かう。
いつもなら帰りの時間も家の前にいるはずだ。

通いなれた道を駆け抜け、ようやく目的地にたどり着く。

「いたっ!」
つい声が出てしまったことに恥ずかしくなる。
でも会えた!やっと!

私が声を出したことで気付いたのか、こっちを見てる。
あの人が……私を見てる……。

ドキドキする。
顔を見るだけで満足だと思ってたのに、今では声が聴きたくて仕方ない。

もっと近くに……。
あぁ、汗の臭いがする……。

「あの、あの、えっとぉ……」
「あぁ?なに?」
返事返してくれた!

あ、ダメダメ!
なんかお返事しなきゃ!

「い、いい天気ですね!」
「……あぁ」
バカバカバカ!私のバカぁ!
そんなのどうでもいいじゃん!
そうだ!名前!名前聞かなきゃ!

「あ、あの!お名前!お名前なんて言うんですか!?」
しばらく待つも返事は来ない。

「あ……の……」
あ、指で表札をトントンしてる……。

「し、志原さんって言うんですよね?でも、そうじゃなくて……下のお名前を……」
「はぁ?なんでお前にそんなの教えないといけないの?」
「え?」
あれ?なんか……いつもと違う。

そ、そうか……。
今更だけど、自分がしてきたことを思い出す。

好きだって分かってから、舞い上がって考えてなかったけど、私この人に酷いことしたんだ。
気持ち悪いとか消えてとか言ったり、勝臣に着いてきてもらって、結果的に怪我をさせてしまった……。

それで……私への気持ち……忘れるって言ってた……。

「ご、ごめんなさい!」
「……なにが?」
「あの!酷いこと言ったり……怪我……させちゃったり……」
「悪いと思ってんの?信じられないよ、あんなことされた奴の言うことなんて」
「そ!そんな!違う!違うんです!私!あの!」
「はぁ……」
ため息をついて歩き去ろうとしている。
呼び止めないと……。

「あ!あの!あの!わ、私の……パンツ!」
あぅ……よりによってなんでそれ……。

「あぁ?」
よかった!こっち向いてくれた!

「パ、パンツ……見たくありませんか?」
自分で今なに言ってるか分からない……。
これじゃあ変態さんだよ……。

でもあれだけ見たがってたんだから……。

「はぁ?お前の汚いパンツをなんで見たいわけ?」
「で、でも……昨日は……」
「だから……なんで僕が見たいとか思うの?自意識過剰なんじゃない?見せたいだけだろ?」
「へぅ?あの、そうじゃな……い……」
「違うの?じゃあいいよ」
そう言って去ってしまった。

嫌われた……変な子だって思われてるんだ……。
自意識過剰……だって……。

パンツ……汚くないのに……。
見て……欲しかったのに……。

そうだ、見て欲しかったんだ。
それなのに志原さんが見たがってるみたいに言った。
だから嫌われた……。

私……気持ち悪い……。

肩を落として家に帰る。
いつもなら手伝う晩御飯の準備も、今日はお休みさせてもらった。

学校から遅刻のことは伝わっているらしく、お母さんも心配して今日は寝なさいって言ってくれた。

部屋に戻ってベッドに潜る。
しかしこんな早くから寝付けない。
学校でも寝ていたので余計だ。

窓の外を見る。
さっき出ていったばかりなので隣の家には誰もいない。
庭を挟んで向こうの窓は、目を凝らせば中が伺える距離だ。

今なら、ゆっくり部屋の中を観察出来る……。

そうだ、嫌われたのは仕方ない。
これから好きになってもらうんだ。

もっと、もっと志原さんのことを知らないと。

昔バードウォッチングで使った双眼鏡を思い出し、机の中から取り出した。
やっぱり、これなら部屋の中までよく見える。

まだ家主の帰っていないその部屋は、当たり前だが電気が点いていない。
それでもまだ日も落ちていない今なら、なんとか部屋の間取りぐらいは分かる状態だ。

「あそこにいつも座ってパソコンしてるんだよね」
いつこちらを向くか分からなくて怖かったあの人の横顔が、今では早く見たくてしょうがない。

「凄い散らかってる……」
全部は見えないが、床にはゴミなのかなんなのか分からないものが散乱している。
お片づけはあんまり得意じゃないのか……。

私が片づけてあげたら喜ぶかなぁ?
……へへ。


それから夕ご飯が始まるまでずっと部屋を覗いていた。

急いでご飯を食べて、お風呂に入って歯も磨き、滑り込むようにして部屋に戻る。
あの人が帰ってるかもしれないから。

「あ!いたぁ……」
向こうも丁度部屋に帰ってきたところのようだ。
持っていたビニール袋を無造作に机に置いている。

「……おかえりなさい」
ついつい顔がにやける。
まるで一緒に住んでいるようじゃないか。

私は向こうから気付かれないように、頭を少しだけ出して双眼鏡で覗く。

志原さんは足元のゴミを蹴ってスペースを作っているようだ。
ん?違う?
ゴミの中から何か取り出した。
探し物をしていたようだ。

あれって……カップ麺?
それを持って部屋を出た。
恐らくあれが夕ご飯なのだろう。

凄い……。
こんなにはっきり見えるんだ。

これならいつでもあの人のこと見ていられる。
そう思った瞬間、ふと昔の自分が頭を過る。

「私……見られてた時嫌だった……」
前までは自分が志原さんに見られていたのだ。
それを私は嫌悪し、気持ち悪いと罵っていた。

悪いことしてるんだ……。
でも……。

でも止められない。
もっと見ていたい。

あ、帰って来た!

お湯を入れたカップ麺を持って帰って来た志原さんを、また双眼鏡で観察する。
顔を見たら、さっきまでの罪悪感は吹っ飛び、胸のドキドキに支配される。

ベチャベチャと音が聞こえてきそうなぐらい豪快に食べる姿。
何日か変えていなさそうな汚れた服は、志原さんの臭いが染みついているだろう。
汚い歯や唇もズームして見つめる。

どうしよう、全てが愛おしくてたまらない。

声が聴きたい、もっと近くで見たい、匂いを嗅ぎたい、触りたい……舐めたい……全てを……あの人の全てを感じたい……。

気が付くと息が上がって、はぁはぁと呼吸が荒くなっている。
なんだろう、お股の所が熱くなっている。

無意識に近い感覚でズボンの中に手を入れて、パンツの上からおしっこが出る所を触る。
少し……湿っていた。

ビックリしたが、今はそれどころじゃない。
食い入るようにその姿を目に焼き付ける。

無防備な格好で買ってきた本を読んでいる姿を、じっと見つめる。
なぜかあの人の股間から目が離せない。

短パンの中心を見つめていると、胸の鼓動がどんどん早くなる。
もう一度パンツを触ると、湿り気が増している。

「んぁ……」
変な声が出てしまった。
なに?ここ……触ると気持ちいい……。

あの人の股間を凝視しながら、自分の股間を触る。
なぜか凄くイケないことをしている感覚になるが、それもまたドキドキを増す要因になっている。

足を投げ出してこちらを向いている彼の股間は、なぜか少しずつ大きくなっている気がする。

なんの本を読んでるんだろう……。
私は本の表紙に照準を合わせる。

「にゃっ!」
ビックリして双眼鏡を落としてしまった。

だってあれ……。
確かめるためにもう一度覗いてみる。

「エッチな……本?」
そこには裸の女の子の絵が描いてあった。
見た感じ私ぐらいの年の子なんだろう、上半身は裸でパンツも半分脱げている。

エッチな本を読んでるんだ……。

そう言えばクラスの子が言ってるのを聞いたことがある。
男の子はエッチなことを考えると、あそこが大きくなるって……。

今エッチなこと考えてるんだ……。
だから大きくなってるんだ……。

そこまで理解してから、自分の状態に気付く。
パンツはビチョビチョに濡れていて、身体中が熱くなっている。

私も……エッチになってる……。

もう一度股間を触ってみようか……。
でもちょっと怖い……。

「え?」
彼は片手でズボンを下ろし始める。

「なんで!?なんでなんで!?行き成りお着替えするの!?」
見ちゃダメだ……お着替えを覗くなんて……。

しかし目は逸らせない、彼はズボンと一緒にパンツまでずらしてしまう。

「大きい……」
始めてみるお父さん以外のそれ。
お父さんのなんて比べものにならないぐらい大きい。

「じゅる……あぅ」
自然と涎が出ていたことに気付く。

「触ってる……」
彼は大きくなったそれを握って、上下に動かしている。

「凄い……ああすると気持ちいいんだ……」
直感的に理解する。

「私ももっと触れば、気持ちよくなれるのかな……」
自然と股間に伸びた手は、さっきとは違い筋に沿って擦るように動いている。

「んひゃ!あぅぅ!きもちいぃ……」
今、あの人と同じことしてるんだ……。

「お……おちんちん……」
口に出すと、凄く興奮する。

「大きいおちんちん……いひゃっ!」
その度に股間が痺れるように気持ちいい。

「志原さんのおちんちん……はぁ……はぁ……凄い、濡れてる……私と一緒……私のパンツも濡れちゃってて……」
パンツの中に手を入れて、直接触ってみる。
筋はグチョグチョに濡れていて、ピチャピチャといやらしい音がする。

「見て……私も……こんなに濡れちゃってて……」
隠れるのも忘れ、私は窓の外に見せつけるように腰を突き出す。

あんな本じゃなくて私を見て欲しい……。
でも、このままじゃあの本の子に勝てない……。

私はパジャマの上着を脱いで上半身裸になる。
ズボンも脱ぎ去り、パンツ一丁になって、あの子みたいに少しパンツをずらす。

「ほら……私のエッチなところ……見て下さい……ひひゃああ!うひっ!」
パンツに手を突っ込んで、夢中になって動かす。
片手は双眼鏡を放さず、常に志原さんのおちんちんを映している。

何度か変になりそうになるが、その度に怖くて手を止める。
でもまたすぐに我慢できなくなり擦り始める。

「ひゃあ!ひゃひい!にゃにこれええ!止められにゃいいい!」
私は外から見られるのも構わず、窓に引っ付いて股間を擦る。
今こちらを向かれたらアウトなのだが、見て欲しいという気持ちもある。

しばらくすると不意に彼のおちんちんからなにか飛び出した。

「ふひゃっ!」
驚いたが、不思議とそれを見ていると更に興奮する。
おしっこ?いや、違う……。
白くて粘々してる……。

私のお股から出てるのと同じ?
でもちょっと違う気もする……。

考えている内に彼が動き出す。
驚いてまた窓の下に隠れる。

危ない……本当に見られるところだった……。

安心したらなんだか眠たくなってきた。
身体が気怠い……。

そのまま服を着てベッドに潜り、気が付いたときには朝になっていた。





目が覚めてから昨日のことを思い出す。
気持ちよかったなぁ……。

パンツを触るとまだ少し濡れていた。

「着替えなきゃ……」
パジャマを脱いでから少し考える。

あの人は服をあまり着替えていない。
そういうのが好きなのかなぁ?

でもお洋服は毎日着替えなきゃバレちゃうし……。

「パンツだけなら……」
少し濡れてて不快だが、これならバレないだろう。
洗濯には新しいやつを出しとけばいいし。

結局私は下着を変えずに服を着て、朝ご飯に向かった。



今日も朝はあの人に会えなかった。
少し落胆したが、仕方ないので学校に向かう。
今日はちゃんと時間ぎりぎりには登校出来た。

学校にいてもあの人のことが頭から離れない。
昨日のあれ……写真に撮っとけばよかった……。
あんなシーンなかなか見られるものじゃないかも……。

「ねえねえ!昨日あのごみ屋敷のキモいやつ見てさぁ!」
クラスの子の話が聞こえてハッとなる。
志原さんのこと話してる。

「どこで見たの?あの人怖いよねぇ」
「スーパーで試食してた!まじ臭いから食品コーナーには来ないで欲しいよね!」
「それ最悪!食欲無くなるわぁ!」
そんなことない……凄くいい匂いだもん……。

「私もこの前見たよ!駅前でさぁ……」
「なにしてたの?」
「あの……おしっこしてた……」
「うわぁ!最悪!なにそれ!?」
「男子ってみんなそうなの!?」
「ち!違うよ!俺らはしないって!あいつが頭おかしいだけだろ!?」
「それにその後煙草ポイ捨てしてたし!」
「ホント最低だよね!消えて欲しい!」
我慢できない時もあるじゃん……。
それにポイ捨てぐらいで……。



結局私は話に加わらず、反論することもなかった。
帰り道にそれを思い出してヘコむ。

みんなあの人のこと嫌いなんだよね……。
まぁ私も少し前まではそうだったけど。

でもこれってチャンスだよね?
私だけが好きってことだもん……。

そんなことを考えている時、たまたま道を歩く志原さんを見かける。

「うそ……」
こんな所で会えるなんて。
奇跡?てか運命じゃん?

声を掛けようとするが、足が動かない。
怖いんだ……。

またそっけない態度されたらどうしよう……。
そうだ、それよりもっとあの人のことを知って、それからまた再アタックすればいい。

私は声を掛けずに、そっと尾行することにした。


服装はやはり昨日のまま、着替えはあんまりしないみたい。
そのせいか結構離れているのにあの人の臭いが漂ってくる。
この臭いを嗅いでるだけで、また昨日みたいに変な気分になりそうだ。

あ、煙草に火を点けた。
そういえばいつも煙草吸ってるなぁ。
美味しいのかなぁ?

歩きながら煙草を吸うのはマナー違反だが、まぁ……そんな悪いことしてるわけじゃないし……。

通りすがりの小さな子が煙で咽せている。
親がそれを見て志原さんの方を睨んでいた。

嫌味っぽいよ、言いたいことあるなら直接言えばいいのに。

そういえば道でおしっこしてたって言ってたなぁ……。

うぅ、私なに考えてるの?
いくら好きな人だからって、おしっこしてるとこ見たいとか……。

そうこうしている内に彼はパチンコ店に入ってしまった。
ここはさすがに入れないか……。

仕方なく回れ右して家路につく。

自分の家に着く前に、隣の家を見上げる。
今この家には誰もいない。

あの人が帰ってくるのはまだ少し後だろう……。

いやいや、なに考えてるんだろう。
不法侵入?犯罪だよ?

……でも、あの人のことを知るチャンスだ。

でもでも、どうせ鍵がかかってるから入れない。
そう思いながらも玄関に手を掛ける。

ガチャ……。
うそ……開いちゃったよ?

背中がピリピリする。
誰かに見られていないか、後ろを見て確認するのも怖い。

気が付けば私は急いで中に入ってしまっていた。

「入っちゃった……」
中に入った瞬間、ゴミの臭いとあの人の汗の臭いが充満していることに気付く。
凄い、あの人に包まれてるみたい……。

中は意外に広いようだが、物が所狭しと置いてあって圧迫感がある。
玄関には沢山の靴があるが、明らかに使っていないようで、殆どが埃を被っている。

独り暮らしなのになんでこんなに靴があるんだろう……。
そう思いながらも、比較的埃を被っておらず、使っている痕跡があるものを拾う。

なぜか自然とその匂いを嗅ぐと、酷い刺激臭がした。
普通なら顔を背ける所だろうが、私はウットリしてしばらくその臭いを嗅ぎ続けた。


しばらくして正気に戻り、辺りを確認する。
廊下がまっすぐ伸びていて、両端にドアが二つずつ。
手前の左側にもう一つあるが、大きさ的にトイレのようだ。

悪いことをしている自覚はあるが、どうにも止められそうにない。
順に扉を開けていくことにする。

右側の手前はキッチンだ。
あまり使われていないのか、物は殆どないが掃除はやはりされていない。

冷蔵庫を開けてみると、中はパンパンに詰まっている。
いつのものか分からないような、いや原型を留めていないものさえある。

その中にあったペットボトルのお茶。
賞味期限は大丈夫。
なら最近の物だろう。

コップを使っている様子はないし、これに口をつけて飲んだのだろう。
臭いを嗅いでみると、唾の臭いがした。

ドキドキしながら舌を出す。
今自分がしようとしていることが、いかに最低で気持ちの悪い行為かは理解している。
でも最早自分の気持ちを止められるほどの理性は無い。

ペロッと一舐めするも味はしない。
でも電気が走ったような感覚がした。

しばらく舌でベロベロと舐めまわし、最後に唇を付けて中身を少し飲む。
やはり少し置いておいたものなのか、変な味がしないでもなかったが、初めての関節キスに舞い上がる気持ちの方が勝っていた。

ニヤニヤしながらそれをまた元の場所に戻しておく。
これなら次にまた、あの人が飲んでくれるかも……。
私の唾液がタップリついたこれで……。

お腹の辺りがキュンとして、また少しパンツが濡れた気がした。


キッチンの隣は物置のようだ。
拾ってきたと思われる物が雑多に置いてある。

時間もないのですぐに出て、反対側の部屋に移る。
志原さんの自室の場所は分かっているがそこは最後に回し、トイレと自室の間にある部屋に向かう。

予想通りそこはお風呂に繋がる脱衣所であり、使い終わったタオルが適当に置かれている。
あまり使っていないようで、脱衣かごにも洗濯機にも服は入っていなかった。

服があればあの人の臭いを嗅げるのに……。
変態的な考えが自然に浮かぶことが、当たり前になっていく。
でもそれもまた、あの人に染まっていくようで嬉しかった。

お風呂場を覗くと、そこもまた掃除がなされていないのか、とても身体を洗う場所には思えなかった。
でもここであの人が裸になっていると思うと、妙に胸が高鳴る。

脱衣所に戻り自然と服を脱いでいく。
普段の自分なら絶対にしないだろう。
今から私は無断で人の家のお風呂に入ろうとしているのだ。

まるで一緒に住んでいるかのように自然に、少し埃の積もった脱衣かごに服を入れていく。
ついにパンツまで脱いでかごに入れると、一糸まとわぬ姿になってしまった。

今私はあの人の家で裸になってるんだ……。
予想通りパンツは朝より濡れていて、お股もヌチョヌチョしている。

お風呂場に入り椅子に座る。
股間を触りたくなるのを我慢して、周りを見渡す。

ふと使いさしの石鹸が目に入った。
これで身体を洗ってたんだ……。

私は迷わずそれを手にして、少し水を出して濡らすと、自分の股間を直接石鹸で擦る。

「いひゃああ!気持ちいい……」
志原さんが使ってた石鹸で、私の股間を擦っている。
私の股間を擦った石鹸を、志原さんがまた使う。
そう思うだけで頭が変になりそうだった。

下半身が泡だらけになるまで続け、ようやく落ち着いてシャワーで流す。
脱衣所に戻る時は足がフラフラしていた。

濡れた下半身を拭くためにタオルを探す。
もちろんそれも志原さんが使ったものだ。

カチカチに乾燥したタオルで股間を擦る。
初めは少し痛かったが、次第に柔らかくなっていく。

志原さんが身体を拭いたタオル……。
もしかしたらこれでまた顔を拭いたり……。
おちんちんまで……。
そうだ、これでおちんちんを拭いたんだ……。
志原さんのおちんちんを拭いたタオルで……へへ……。

拭いても拭いても変な液が止まらない。
笑いを堪えられず、エヘエヘ言いながら夢中で擦る。

しかしふと目の前にあった姿鏡に目がいく。

「えへへ……あ……」
だらしなく笑いながら股間を擦る自分は、とても滑稽で……正直気持ち悪かった……。

正気に戻った私はタオルを元の位置に戻した。
服を着ようとしたが、もう少しこのままでいることにする。

一度正気に戻ってしまった気持ちを、また奮い立たせようとしたのかもしれない。


裸のまま廊下に出て、目的の部屋に向かう。
二階もあるが、あまりゆっくりもしてられないので、今日はここで最後だろう。

自分の家でも裸で廊下を歩いたりはしない。
またドキドキが増してくる。

意を決して扉を開けると、昨日覗いていたあの人の部屋が広がる。
他よりも臭いが濃い。

汗の臭いと……なんか変な臭いもする……。
吸い込むと、身体の中まであの人に支配されたような、そんな気分になる。

昨日はここに座ってカップ麺を食べていた……。
あ、昨日のカップ麺が残ってる……。

私は夢遊病患者のようにフラフラと近づき、箸を一本取ると舐めまわした。
冷たい汁の味と、唾液の臭いがする。

私は気付けばまた股間を触っていた。
箸を咥えてチュウチュウしながら、もう一本の臭いを嗅ぐ。

唾液の臭いを鼻で吸い込み、その箸を股間に当てる。
気持ちよさと背徳感で頭がおかしくなりそうだ。


おしっこが出そうになるぐらい股間を触り、落ち着いてから部屋を物色する。
ゴミと思っていた物は、殆どがやはりゴミであったが、中には本やゲームも散らばっていた。

漫画が多いかな、でも見たことないやつばっかり……。
可愛い女の子の漫画……少女漫画なのかな?

今度読んでみるためにタイトルをいくつか覚えておく。

あぅ、これはエッチなやつ?
水着の女の子の写真集。
それも私ぐらいの年の子……。
なんだか嬉しいような悔しいような。

こんな子より私の方がエッチな格好してるのに……。

他には?
あわわ!エッチなビデオだ!

男の人はこういうの見るんだ……。
ジャケットには裸の女の人が映ってる。
裏を見ると、もっと過激だ。

すごい、おちんちんが女の人に入ってる……。
これってどこに入ってるの?
しばらくして少し怖くなり見るのを止める。

あ……これって!
昨日見てた漫画だ!

表紙には昨日見たパンツだけ履いた女の子が載っている。

恐る恐るページを捲る。
さっきのよりかはマシかも?

うわぁ、この子もおしっこ出てる。
愛液?
おしっこじゃないの?
エッチな気持ちになると出る?……の?

マンコ……ってここのこと?
ここってマンコって言うんだ。

すごい、おちんちん舐めてる。
チンポ……チンポって言ってる。
なんかエッチな感じ。

チンポをマンコに突っ込んで、中でザーメン出したら赤ちゃん出来ちゃうんだ。
すっごい気持ちよさそう……。

この子男の人の足舐めてる……パンツも……皆こんなことするんだ……。
命令されて……外で裸になって……おしっこして……。
私もおしっこかけられたい……。


気付くと夢中になってオナニーをしていた。
覚えたてのオナニー。
中に指を入れると気持ちいいと書いてあった。

「あぅ……床がビチョビチョ……」
愛液で汚れた床を拭こうと、周りを探す。
ふと手に触れた布を持ち上げる。

「ひひゃっ!こ、これって!」
パンツ……パンツだ……。
あの人の……パンツ……。

ガチャ。

「ひぃ!」
玄関の扉が開く音がした。
私は急いで立ち上がる。

もう窓から出るしかない。
幸い鍵は元から開いているようだから、バレはしない。

「あ!」
でも今私裸!?
バ……バレるよりいい!

せ、せめてなにか隠すものを……。
そうこうしている内に足音が近づく。

私は咄嗟に手に持っていた志原さんのパンツを履く。
ブカブカだが押さえながら窓に向かい、裸のまま外に出る。

後ろを振り向く余裕はない。
周りだけ気にして、外に誰もいないのを確認する。

走って自分の家の玄関に行き、勢いよく中に入り、お母さんが出てくる前に部屋に向かう。

「なにー?紗々帰ったの?」
「た!ただいま!」
急いで着替えを出してお風呂へ向かう。
幸いお母さんが出てくることは無かったので、そのままお風呂に入ることが出来た。

「あれ?お風呂入ってるの?」
「う!うん!ちょっとね!」
どうしよう……服を全部置いてきてしまった……。

頭を冷やして考える。
相手はあのお母さんだ、言い訳すればなんとかなる……。

私は自分に言い聞かせてお風呂をあがった。



「えらく急いでたわねぇ?」
「実は……河に落ちちゃって……」
「ええ!?だ!大丈夫なの!?」
「うん!怪我はないんだけど……」
「本当に!?見せて!」
お母さんは私の服を捲って身体を見る。
しばらくして落ち着いたのか、ため息をついて椅子に戻る。

「もう、心配させないでよぉ?」
「ごめんね?それとあの……」
「なに?」
「服が全部ダメになっちゃって」
「あぁ、それでお風呂に?お洋服はどこにあるの?」
「友達に体操服を借りたの」
「そうなの?」
「服は全部捨てちゃった……」
「まぁ、仕方ないわねぇ?」
よかったぁ……怪しんでないみたい。

「借りた体操服はどこ?洗濯しておかなきゃ」
「あ!い!いいの!」
「なんで?」
「明日使うから今すぐ持っていく約束なの!」
「そう……洗ってからじゃなくていいの?」
「いいんだってさ!」
「わかったわ、遅くなる前に持っていっちゃいなさい?」
「うん!」
ごめんね……ママ……嘘ついちゃった……。



私は夜になって部屋に帰るとやっと落ち着けた。
あの人の家に服が残ったままだが、お風呂はあまり使ってなさそうなので、また明日取りに行くしかない。

持って帰ってきてしまったパンツを取り出して眺める。
白いブリーフだが、使い込まれていて汚れが目立つ。
チンポが当たる部分は黄色くなっており、小便の臭いとイカ臭いザーメン臭まで込み上げてくる。

志原さんのザーメンパンツ……私さっきまで履いてたんだよ?
窓を覗き、パソコンで夢中の彼を見ながら心の中で問いかける。

ザーメンパンツの臭いを嗅ぎながらマンコを弄ってオナニーする。
しかも志原さんを見ながらだ。

気持ち悪いことをしている……。
でもしょうがない、好きなんだから……。

今日もおチンポシコシコしないかな?
今日こそ写真を撮るために、携帯をカメラモードでセットしておく。

私はエッチな漫画で得た知識をフルに使ってマンコを弄る。
鉛筆を中に入れたり、志原さんのブリーフを擦り付けたり。
今まで知らなかった世界に夢中で浸っていく。

大好き……大好きです志原さん……。
私の全部見て欲しい……。
触って……犯して……汚して……玩具にして欲しい……。

遂に志原さんがズボンを脱ぎ始める。
向こうの窓は大きいので、座ったままでもなんとかチンポが見えている。
私は夢中でそれを撮影する。

ズームして連射、動画もたっぷり撮る。
もちろんオナニーも忘れない。

荒い鼻息をあげながら、まるでチンポを舐めるようにブリーフを舐めまわす。
もしこっちを見てくれたらと思って、もう隠れもしない。

あられもない姿を見せつけながらオナニーに没頭する。

「ふぅ!ふぅ!ふひぃ!レロレロ!おチンポの味がしゅるう!見てええ!紗々のおマンコ濡れ濡れにゃにょおおお!」
出来るだけエッチな単語を叫ぶ。
もしかしたら本当に聞こえているかもしれない。

「紗々決めてたのお!初めて逝く時はおチンポ見ながらにしゅるってええ!」
さっき見て覚えたことの一つ。
絶頂とか言うのがあるらしい。
きっと私が怖くて止めていたところの先にあるのだろう。

「しゅごいいい!逝くっ!逝っちゃうううう!志原さんと一緒に逝っちゃうにょおおお!ほにいい!ひゃあっ!」
私が逝くと同時に、志原さんも射精した。
それを見ながら私は、脱力する身体をなんとか支えて、幸せを噛みしめていた。





「ふぅ、なんかオナニーしてても満足感薄いなぁ」
紗々ちゃんへの気持ちを失ってから、なにをやっても楽しくない。
確かに憎しみは消えないが、それ以上に失った物が大きすぎたのだろう。

「一旦戻してみるか……」
試しに気持ちを戻してみるのも悪くはないかもしれない。
あいつも僕にした仕打ちを思い直して、なんか塩らしくなってたしな。
それに顔を合わせて呪文を言えば、またすぐに気持ちを捨てられるんだし。

解除は簡単。
呪文を言うだけ。
試しにやってみるか。

僕が呪文を唱え終えると、隣の窓から魔法陣が飛んでくる。
紗々ちゃんから気持ちが帰って来たのだ。

「……う、うああああああ!」
なんてもったいないことをおおお!
紗々ちゃん昨日僕になんて言ったあああ!?
パンツ見たくないかってえええ!?
なんで見たいって言わないんだ僕うううう!

あんなに僕のことを気にかけてくれたのにいいい!
謝ったんだぞ!?許せよ僕!
ちっきしょう!
この魔法使いにくいなあああ!

しばらく僕が悶絶してると、隣の部屋からも悲鳴に近い鳴き声が聞こえる。
嗚咽と共に嘔吐の様な音まで。

恐らく向こうも正気に戻ったのだろう。
しかしなにもあんなに……。

やっぱりあの態度は僕の気持ちが移っていたから……。
当たり前か、それなら……。

容赦はいらないよね?





「いやああああ!あがあああ!」
「どうしたの!?紗々!?」
お母さんが入ってきて暴れる私を抱きかかえる。
私は吐き出した胃液と晩御飯でグチャグチャになりながら、頭を抱えて泣き喚いている。

「紗々!紗々!しっかりして!なにがあったの!?」
「うわああああ!違ううううう!私は!私はあああああ!」
それからずっと、私が落ち着くまで、お母さんはしっかりと抱きしめていてくれた。



「……ごめん、もう大丈夫」
「そうなの?ねぇ、なにがあったか話してくれる?」
「……それは無理」
話せるわけない。
さっきまであの気持ち悪い男のことが好きで、ストーカー紛いなことをした挙句、痴態を見せつけるようにしてエッチなことを……そのうえ、あんな汚いものを舐めまわ……。

「うっ!」
「大丈夫!?吐きたいなら吐いていいのよ!?」
「……うぐ……うん。だ、大丈夫」
「体調が悪いわけじゃないのね?」
「うん、ごめんね?」
「大丈夫だからお風呂入ってきなさい?」
「うん……お母さんも……」
「なに?一緒に入るの?」
「うん……だめ?」
「いいわよ?今日はなんだか甘えん坊さんね?」
「ごめんね……」
「私は紗々のお母さんなのよ?紗々は私の子供……」
「うん……」
「甘えるのは当然のことなの、むしろ嬉しいぐらいなのよ?」
お母さんと話していると、だんだん落ち着いてきた。
その後二人でお風呂に入り、必要以上に身体を何度も洗った。
汚いものを落とすように、全てを洗い流すかのように……。
身体中が赤くなって、お母さんがそっと止めてくれるまでずっと。
[ 2013/12/05 22:30 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

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